EU内での企業グループに対する単一課税枠組み(BEFIT)の指令案に対する意見募集
欧州委員会は、2023年09月12日、EU共通の所得課税の枠組み(BEFIT)に関する理事会指令案 2023/532を採択し、意見募集を開始しました。募集期間は2023年09月19日から2023年11月23日までです。
BEFITは、EUにおける企業課税の包括的な枠組みです。
このイニシアチブは、EU加盟国間でより効果的な利益配分を確保しながら、EU企業が課税標準を計算するための共通ルールを導入することを目的としています。
EUにおける法人課税に対する一貫した共通ルールを確立することで、EU域内の複数の加盟国でクロスボーダービジネス行う企業グループのコンプライアンスコストを削減することを目指しています。
より単純な規則により、EU内で事業を展開する企業の税務コンプライアンスコストが最大65%削減できる試算が出ています。
背景
企業向け所得課税の新たな枠組み(BEFIT)の提案は、コロナ渦そしてロシアのウクライナ侵攻で引き起こされた不安定な経済情勢の中、EU経済の回復を支援し、十分な税収を確保するための長期的および短期的なビジョンとして、EUにおける持続可能、かつ雇用機会豊富な成長を支援し、公平で安定した事業環境を構築することが目的です。
BEFITの提案の目的は3つです。
- 単一市場の競争力を高める
- 企業のコンプライアンスコストを削減する
- EU への投資を支援する
現在EUには27の異なる個々の国の税制があり、企業の税務コンプライアンスを困難にし、またコストがかかります。 これにより、EUへのクロスボーダーの投資が妨げられ、欧州の企業は競争上不利な立場に置かれています。
企業グループの課税標準を決定するための新しい単一の税務規則を導入することで、複数の加盟国で事業を展開する大企業の税務コンプライアンスコストを削減し、各国当局がどの税金が適切に支払われるべきかを判断することを容易にします。
2021年5月18日に欧州委員会は、21世紀の事業税に関する通達と題する提案を採択し、域内の税制見直しの一環として、法人課税の方向性を示した政策文書「21世紀の事業課税」を発表しました。この中で、BEFITの詳細を2023年中に発表するとしていました。
BEFITは2021年に提案された「共通連結法人税課税標準(CCCTB)」構想に置き換わります。
概要
BEFITは、共通の課税標準と公式を使用した加盟国間の利益配分のための、EU単一の法人税枠組みとなります。
目的
BEFIT の主な目的は次の通りです。
1. コンプライアンスコストの削減:国境を越えて事業を展開する EU企業が直面する税務規則の複雑さとコンプライアンスコストを軽減し、企業の回復力を高める。
2. 投資の誘致:国境を越えた投資に対する障害を取り除き、単一市場を国際投資にとってより魅力的な地域とする。
3. 持続可能な成長:行政の簡素化への道を切り開き、公正かつ持続可能な成長を促す環境を作り出す。
4. 持続可能な税収を確保する
対象
年間合計収益が少なくとも7億5,000万ユーロで、最終的な親会社が所有権または利益を与える権利の少なくとも75%を保有し、EU内で活動するグループに適用が義務付けられます。
連結財務諸表を作成する限り、オプトインすることを選択できる小規模グループの場合、適用はオプションとなります。
詳細
提案は、財源浸食と利益移転(BEPS)に関するOECD/G20包摂的枠組みの国際的な最低法人税率関する第2の柱に基づいています。
1. 事業体レベルで課税標準を計算するための共通ルール
同じグループのメンバーであるすべての企業は、財務会計諸表に対する共通の税金調整ルールに従って課税標準を計算します。
2. EUグループレベルでの課税ベースの集計
全てのグループ会社の課税ベースは1つに集約されます。 損失が国境を越えて利益と自動的に相殺されるため、国境を越えた損失が軽減されるとともに、移転価格遵守における税務の確実性が高まります。
3. 総合課税ベースの配分
2028年7月から2035年6月までの移行措置として、単一課税標準における域内の各グループ企業が占める割合を、過去3会計年度の税引き前利益の平均を基に計算し、各グループ企業に割り当てます。
参考
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