EU|エネルギー効率化指令(EU) 2023/1791が公布

EU域内のエネルギー効率化のためのエネルギー消費削減目標と節約義務を設定

2023年09月20日、欧州官報にてエネルギー効率化指令(EU)2023/1791が公布されました。

EU理事会と欧州議会が2023年3月10日に暫定的に合意したエネルギー効率化指令案は、2023年07月25日にEU理事会が採択、2023年09月13日に署名されました。

エネルギー効率化指令は、2020年時点の2030年のEU全体の最終エネルギー消費予測値と比較し、2030年に少なくとも11.7%削減することを法的拘束力のあるEU全体目標として規定し、その目標を達成するためのルールと義務を設定しています。

2012年に指令(EU)2012/27として最初に採択されたエネルギー効率化指令は、2018年に更新され、 今回の更新は2度目の更新となります。

背景

エネルギー効率化指令は、2030年までに温室効果ガス排出を1990年比で少なくとも55%削減するための政策パッケージ「Fit for 55」の一環です。

2019年12月12日、EU理事会は欧州委員会と共同で、2050年までに気候中立性を達成するためのEUの中核戦略である「欧州グリーンディール」を策定しました。

2021年07月14日、欧州委員会は従来のEU立法を改正・更新し、欧州グリーンディールの実施に向けた新たな取り組みを導入するための一連の政策提案「Fit for 55」を採択しました。

「Fit for 55」は、2030年までに1990年レベルと比較して温室効果ガス排出量を少なくとも55%削減することを目指しています。

また、エネルギー効率化は、ロシアによるウクライナ侵攻を機に掲げられた、EUのロシア産化石燃料依存からの脱却計画「リパワーEU」の重要な柱でもあります。

2022年05月18日、欧州委員会は「リパワーEU」の詳細に関する政策文書と関連改正法案を発表しました。リパワーEU計画では、欧州グリーンディール法の「Fit for 55」パッケージに基づく拘束力のあるエネルギー効率目標の9%を13%に引き上げる提案を含む、長期的なエネルギー効率化対策を強化することが提案されています。

エネルギー効率化指令によって、エネルギーの効率化に関する連合の目標を確実に達成し、連合内でエネルギー効率を促進するための共通措置の枠組みが確立されます。

また、EU理事会は、同じく2023年07月25日に「Fit for 55」の代替燃料インフラ規則案(AFIR)、海運における再生可能な低炭素燃料の利用に関する規則案(FuelEU Maritimeイニシアティブ)も採択しています。

概要

エネルギー効率第一原則の確立

EUのエネルギー政策の基本原則として「エネルギー効率第一」が法的に確立されました。

これは、エネルギー部門および非エネルギー部門で行われるすべての関連政策および主要な投資決定において、エネルギー効率が EU諸国によって考慮されなければならないことを意味します。

エネルギー効率化目標

EU加盟国は共同で、2030年までに2020年のEUの最終エネルギー消費予想値(基準シナリオ予想値)と比較してエネルギー消費量を11.7%削減する義務が課せられました。 

その結果、2030年までのEU全体のエネルギー消費量は、一次エネルギーで9億9,250万石油換算トン(992.5石油換算メガトン)以下、最終エネルギーで7億6,300万トン石油換算(763石油換算メガトン)以下に設定されました。

年間エネルギーの節約

EU諸国は、各国の状況(エネルギー原単位、1人当たりGDP、エネルギー節約の可能性、固定エネルギー消費量の削減)を反映した客観的な基準を組み合わせて、国毎に指標を設定することが義務付けれました。

EU加盟国は2030年まで累積最終使用エネルギー節約を達成するため必要があり、2023年末までには最終エネルギー消費量の少なくとも0.8%、2024~2025年には少なくとも1.3%、2026~2027年には1.5%、2028~2030年には1.9%の年間節約が求められています。

目次

第1章 主題、範囲、定義およびエネルギー効率目標

第1条 主題と範囲
第2条 定義
第3条 エネルギー効率第一原則
第4条 エネルギー効率目標

第2章 公共部門の模範的な役割

第5条 エネルギー効率をリードする公共部門
第6条 公共団体の建物の模範的な役割
第7条 公共調達

第3章 エネルギー利用の効率性

第8条 エネルギー節約義務
第9条 エネルギー効率義務スキーム
第10条 代替政策手段
第11条 エネルギーマネジメントシステムとエネルギー監査
第12条 データセンター
第13条 天然ガスの計量
第14条 暖房、冷房、家庭用温水の計量
第15条 暖房、冷房、家庭用温水のサブメーターとコスト配分
第16条 リモート読み取りの要件
第17条 天然ガスの請求情報
第18条 暖房、冷房、家庭用温水の料金と使用量の情報
第19条 天然ガスの計量および請求情報へのアクセスのコスト
第20条 暖房、冷房、家庭用温水の計量と請求、消費情報へのアクセスのコスト

第4章 消費者情報と権限付与

第21条 暖房、冷房、家庭用温水に対する基本的な契約上の権利
第22条 情報と意識の向上
第23条 エネルギー効率化のためのパートナーシップ
第24条 弱い立場にある顧客の保護とエネルギー貧困の緩和

第5章 エネルギー供給の効率

第25条 冷暖房の評価と計画
第26条 冷暖房供給
第27条 エネルギー変換、送電、配電

第6章 水平的規定

第28条 資格、認定、認証制度の利用可能性
第29条 エネルギーサービス
第30条 国家エネルギー効率基金、資金調達および技術サポート
第31条 換算係数と一次エネルギー係数

第6章 最終条項

第32条 罰則
第33条 委任
第34条 委任の行使
第35条 実施の審査とモニタリング
第36条 移項
第37条 規則 (EU) 2023/955の修正
第38条 廃止
第39条 発効と適用
第40条 宛先

附属書I 最終エネルギー消費および/または一次エネルギー消費における2030年の欧州連合のエネルギー効率目標に対する各国の貢献

附属書II コージェネレーションによる電力計算の一般原則

附属書III コージェネレーションプロセスの効率を決定する方法

附属書IV 公共調達のエネルギー効率要件

附属書V 第8条、第9条、第10条および第30条(14)に基づくエネルギー効率化義務制度またはその他の政策措置の影響を計算するための一般的な方法および原則

附属書VI エネルギー管理システムの一部として実施される監査を含むエネルギー監査の最低基準

附属書VII データセンターのエネルギーパフォーマンスをモニタリングおよび公開するための最小要件

附属書VIII 天然ガスの実際の消費量に基づく請求および請求情報の最低要件

附属書IX 暖房、冷房、家庭用温水の請求と消費情報の最低要件

附属書X 冷暖房効率の可能性

附属書XI 費用対効果の分析

附属書XII コージェネレーションによる電力の原産地保証

附属書XIII エネルギーネットワーク規制および電力ネットワーク料金のエネルギー効率基準

附属書XIV 送電システム事業者および配電システム事業者に対するエネルギー効率要件

附属書XV エネルギーパフォーマンス契約または関連する入札仕様書に含める最小限の項目

附属書XVI 廃止された指令とその後の改正のリストと国内法への移行期限

附属書XVII 修正表

参照

指令(EU) 2023/1791

エネルギー効率指令概要

ヨーロッパグリーンディール

Fit for 55 パケージ

リパワーEU政策文書

リパワーEUプレスリリース

指令(EU)2012/27

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