EUGBとして認定を受けるために必要な基準(EUGBS)を設定
2023年11月30日、欧州官報にて、欧州グリーンボンド基準(EUGB)の設定に関する欧州委員会規則 (EU) 2023/2631が公布されました。
この規則は、2050年までに気候中立性を達成するためのEUの中核戦略である欧州グリーンディールの不可欠な部分の位置付けで、気候変動や環境に配慮した事業向けの資金調達として発行される債券であるグリーンボンドの自主的なEU基準を確立します。
EUGBSはEUグリーンボンド市場の有効性、透明性、 比較可能性、信頼性を高め、EUグリーンボンドの発行と投資を奨励することが目的です。
欧州委員会規則 (EU) 2023/2631は、2023年12月20日に発効し、2024年12月21日に適用となります。
背景
グリーンボンドは、環境的に持続可能な技術、エネルギーと資源の効率、さらには環境的に持続可能な輸送インフラや研究インフラに関連する投資に資金を提供するための主要な手段の1つです。
欧州グリーンボンド基準(EUGBS)の設定規則の設定は、EUのサステナブルファイナンスの動きに大きく関係しています。
2018年03月08日、欧州委員会はサステナブルファイナンス(持続可能な成長への資金調達) に関する新たなアクションプランを発表し、その行動計画の一つとしてEUGBSの作成が明記されました。
この流れの中、2018年07月にテクニカル・エキスパート・グループ(TEG)を設立し、EUタクソノミー(サステナブル活動に関する分類システム)の策定、そしてEUGBS等の設定の検討が開始されました。
従来グリーンボンド発行は業界基準に基づいていたため、十分な標準化や「気候変動や環境に配慮した事業」の共通した定義がないことから、グリーンウォッシング(実質を伴わない環境訴求)のリスクが指摘されていました。
欧州委員会は、2020年01月14日の「持続可能なヨーロッパ投資計画(SEIP)、欧州グリーンディール投資計画」 と題された通信で、投資機会をさらに拡大し、明確なラベルを通じて環境的に持続可能な投資の識別を容易にするために、グリーンボンドのEU基準を確立する構想を発表しました。
欧州グリーンボンド基準(EUGBS)は、グリーンボンドの発行体と投資家の両方にとって有益となります。
欧州グリーンボンド基準(EUGBS)は、債券を発行する発行体が自主的に指針として選択できるもので、発行体は、EUの分類に沿った合法的なグリーンプロジェクトに資金を提供していることを証明することができます。また投資家は、より持続可能な技術やビジネスへの投資をより確信を持って行えるようになります。
概要
民間と国・地方自治体を含むEU域内外の発行体は、EUGB基準を自主的に満たすことで、発行する債券をEUGBと名乗ることが認められます。
欧州グリーンボンド基準(EUGBS)は、債券発行で調達した資金が環境面で持続可能な事業に割り当てられているかという債券自体の要件と、調達資金の割り当ての透明性そして外部評価に関する要件を規定しています。
1. EUタクソノミーと整合する調達資金の使用
EUGB調達資金は、タクソノミー規則 (EU)2020/852 で環境的に持続可能と分類される経済活動に満期前に原則として全額使用することが義務化されました。
EUGB発行体は、欧州グリーンボンドが満期に達する前に欧州グリーンボンドによって資金提供されるすべての資本的支出がタクソノミーに適合する締切日を明記した資本的支出計画を公表することが義務化されました。
2. 開示と透明性の確立:レポーティングと外部評価による検証の義務化
債券収益がどのように配分されるかに関する透明性を確立するため、発行体が投資家に提供する開示義務を定めています。
加えて、外部評価機関からの評価・検証の取得が義務化されています。
1)レポーティング義務: 発行前のファクトシート、発行後に資金割り当て先を開示するアロケーションレポートそして環境へのインパクトレポートを発行を義務化。
- ファクトシート
- アロケーションレポート: 資本的支出計画の進捗報告:グリーンプロジェクト毎の割り当てられた資金の額、グリーンプロジェクトの地域別の割合等を開示
- インパクトレポート: 各グリーンプロジェクトの概要、達成しようとしている環境目標、環境の改善効果の測定方法や想定される改善効果等の情報を開示
2) 外部評価機関からの評価・検証の取得義務:ファクトシート及び発行後のアロケーションレポートに対して義務化。
3. 外部審査員の登録制度
欧州グリーンボンドの外部審査員(債券がグリーンであるかどうかを評価する責任を負う独立した組織)の認定プログラムと登録制度と監督枠組みを確立しています。
欧州証券市場機構(ESMA)が一括してEUグリーンボンドの外部評価機関の認定及び監督をします。
4.EUGBの資金使途の柔軟性
EUGBの調達資金に関して、タクソノミー規則の目的に合致するものの、技術的スクリーニング基準(TSC)と呼ばれる詳細な基準が定められていない経済活動に対して、暫定的に15%の割り当てを認めるとされています。
目次
表題I 主題と定義
第1条 主題
第2条 定義
表題II 「欧州グリーンボンド」または「EUGB」認定の使用要件
第1章 ボンドに関わる要件
第3条 欧州グリーンボンド」または「EUGB」認定
第4条 EUGBの資金使途
第5条 EUGBの資金使途の柔軟性
第6条 金融資産
第7条 資本的支出計画
第8条 技術的審査基準と取得権の適用
第9条 税務上の非協力管轄区域の除外
第2章 透明性と外部評価の要件
第10条 欧州グリーンボンドのファクトシートと発行前評価
第11条 アロケーションレポートとアロケーションレポートの発行後の評価
第12条 EUGBインパクトレポート
第13条 国家の発行体
第14条 欧州グリーンボンドの目論見書
第15条 発行体のWebサイトでの公表とESMAおよび管轄当局への通知
第3章 証券化債券に関する「欧州グリーンボンド」または「EuGB」認証の使用条件
第16条 証券化債券に関する「欧州グリーンボンド」または「EuGB」認証申請
第17条 合成証券化を目的として発行された社債の除外
第18条 特定の証券化エクスポージャーの除外
第19条 証券化の場合の追加開示要件
表題III 環境的に持続可能であるとして市場に出されている債券および持続可能性関連債券のオプションの開示テンプレート
第20条 環境的に持続可能な債券として販売される債券またはサステナビリティ·リンク債の発行体に対する発行前開示
第21条 環境的に持続可能な債券として販売される債券またはサステナビリティ·リンク債の発行体に対する定期的な発行後の開示
表題 IV 欧州グリーンボンドの外部評価員
第1章 欧州グリーンボンドの外部評価の条件
第22条 登録
第23条 欧州グリーンボンドの外部審査員登録申請
第24条 登録に関連する重要な変更
第25条 言語体制
第2章 ガバナンスに関する組織の要件、プロセス、および文書
第26条 一般原則
第27条 シニアマネジメントおよび取締役会のメンバー
第28条 アナリストおよび外部評価者の従業員、および外部評価者の評価活動に直接関与するその他の人物
第29条 コンプライアンス機能
第30条 内部ポリシーと手順
第31条 評価方法とレビューに使用される情報
第32条 評価方法論またはその適用における誤り
第33条 アウトソース
第34条 記録保持の要件
第35条 利益相反と情報の機密保持
第36条 他のサービスの提供
第3章 評価
第37条 ESMAまたはその他の管轄当局への言及
第38条 評価の公表
第4章 第三国の外部審査員によるサービスの提供
第39条 一般規定
第40条 同等性判定
第41条 第三国外部審査員の登録取消し
第42条 第三国の外部審査員の認定
第43条 第三国で提供される本規則に基づくサービスの承認
表題 V 所轄当局およびESMAによる監督
第1章 所轄当局
第44条 所轄当局の監督
第45条 所轄当局の権限
第46条 所轄当局間の協力
第47条 職業上の秘密
第48条 予防措置
第49条 行政ペナルティーおよびその他の行政措置
第50条 監督権限および罰則を科す権限の行使
第51条 控訴の権利
第52条 決定の公開
第53条 ESMAへの行政ペナルティおよびその他の行政措置の報告
第2章 ESMA
第54条 情報要請
第55条 一般調査
第56条 現場検査
第57条 第54条、第55条および第56条に規定される権限の行使
第58条 情報交換
第59条 ESMAによる監督措置
第60条 罰金
第61条 定期的なペナルティの支払い
第62条 罰金および定期的なペナルティ支払いの開示、性質、執行および配分
第63条 監督上の措置、罰金を科すための手続き規則
第64条 第59条、第60条および第61条に基づく決定の対象となる人の聴聞
第65条 裁判所によるレヴュー
第66条 登録、認定、監督料
第67条 外部審査員および第三国の外部審査員のESMA登録
表題VI 委託行為
第68条 委託行使
表題VII 最終条項
第69条 外部審査員に関する経過規定
第70条 第三国の外部審査員に関する経過規定
第71条 レヴュー
第72条 発効と適用
付属書I ファクトシート書式
付属書II 年次アロケーションレポート書式
付属書III インパクトレポート
付属書IV 発行前、発行後、またインパクトレポートのレビューの内容
参考情報
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