EU| 産業排出指令(IED)に基づく畜産業の利用可能な最良技術(BAT)を定める実施決定の公布
EU畜産業に導入される汚染物質の環境への排出を最大限抑制する利用可能な最良技術(BAT)の確立が目的
2023年12月18日、欧州官報にて食肉処理場、畜産副産物及び食用副産物産業に関する利用可能な最良技術(BAT)の結論に関する実施決定(EU) 2023/2749が公布されました。
この実施決定は、 産業排出指令2010/75/EUに基づき、EUでの畜産設備施設の操業許可証付与の条件となる汚染物質の環境への排出を最大限抑制する利用可能な最良技術(BAT)の結論です。
背景
産業排出指令(IED)は、2010年に気候変動緩和と大気汚染物質排出抑制のために導入されたEU指令で、2050年までの気候中立を目指す欧州グリーン・ディールの一環として、重要な位置を占めています。
産業排出指令(IED)は、EU内における発電所や廃棄物焼却場といった大規模産業施設と大規模畜産施設を規制対象としています。これらの施設は、活動固有の汚染物質の環境への排出を最大限抑制する「利用可能な最良技術(BAT)」を適用することにより、排出条件に準拠する必要があります。
BATとは、排出量と環境全体への影響を削減するために設計された排出制限値やその他の許可条件の根拠を提供するための、事業の展開やその運営方法において最も効果的で先進的な特定技術のことです。 技術には、使用される技術と、設備の設計、構築、保守、運用、廃止の方法の両方が含まれます。
産業排出指令2010/75/EUの13条に従い、2011年05月16日の欧州委員会決定により設立された加盟国、関連業界、環境保護を推進する非政府組織の代表からなるフォーラムは、2023年05月22日に、食肉処理場、動物副産物および/または食用副産物産業向のBAT参照文書の提案内容に関する意見を欧州委員会に提出しました。(公表済み)
本実施決定(EU) 2023/2749の附属書に記載されたBAT結論の内容は、BAT参照文書の提案内容に関するフォーラムの意見を考慮したものとなっています。
概要
対象
BATの対象となる活動は以下の活動です。
- 1日あたり50トンを超える死骸生産能力を持つ食肉処理場の運営
- 処理能力が 1日あたり10トンを超える動物の死骸または動物の排泄物の処分またはリサイクル
- 主な汚染負荷がBAT 結論の対象となる活動に由来する指令 91/271/EEC の対象とならない独立して運営される廃水処理
- 動物副産物および/または食用副産物の加工 (レンダリング、脂肪溶解、羽毛加工、魚粉および魚油の生産、血液加工およびゼラチン製造など)
- 肉骨粉および/または動物性脂肪の燃焼
- 非凝縮性ガスを含む悪臭ガスの燃焼(熱酸化装置や蒸気ボイラーなど)
- 死屍の焼却
- 皮革と皮の保存
- 皮と臓物(内臓)の取り扱い
- 堆肥化と嫌気性消化
- 異なる起源からの廃水の複合処理
BAT結論
一般的なBAT結論は以下の通りです。
1. 環境マネジメントシステム
BAT1: 環境マネジメントシステム(EMS)を策定し、実行すること。
BAT2: 環境管理システムの一部として、インプットとアウトプットの目録を確立、維持し、定期的に (重大な変化が発生した場合を含む) 見直すこと。
BAT3: EMSの一部として化学物質管理システム (CMS) を精緻化し、導入すること。
BAT4: 正常動作条件以外事態(例:環境保護に重要な機器の故障)の発生頻度を減らし、正常動作条件以外事態中の排出量を削減するために、EMSの一環としてリスクベースの管理計画を策定し、実施すること。
2.モニタリング
BAT5:インプットとアウトプットの目録によって特定された廃水の流れの場合、BATは主要な場所(例: 廃水の前処理の入口および/または出口、最終廃水処理の入口、排出物が施設から出る地点)で主要なプロセスパラメータ(例: 廃水の流れ、pH、および温度の継続的なモニタリング)を監視すること。
BAT6: 少なくとも年に1回、水とエネルギーの消費、廃水の量、食肉処理場の冷却システムを補充するために使用される年間冷媒量を監視すること。
BAT7: 少なくともEN規格に従った頻度で水への排出を監視すること。
BAT8: 少なくともEN規格に従った頻度で大気へのチャネル放出を監視すること。
3.エネルギー効率
BAT9:エネルギー効率を高めるために、計画と監査及び一般的な省エネ技術の両方を使用すること。
4. 水消費と廃水発生
BAT10: 水の消費量を減らし、廃水量を減らすための技術を使用すること。
5. 有害物質
BAT11: 洗浄および消毒における有害物質の使用を防止する、または削減するための技術を使用すること。
6. 資源効率
BAT12: 資源効率を良くするための技術を使用すること。
7. 水への排出
BAT13: 水への制御されない排出を防ぐために、生成された廃水に適切な緩衝貯蔵容量を提供すること。
BAT14: 水への制御されない排出を減らすための技術を使用すること。
8. 大気への排出
BAT15: 非凝縮性ガスを含む悪臭ガスの燃焼(熱酸化装置や蒸気ボイラーなど)による 一酸化炭素、粉塵、窒素酸化物、硫黄酸化物の大気への排出を削減するための技術を使用すること。
9. 騒音
BAT16: 騒音排出を防止する、または削減するために、環境管理システムの一部として騒音管理計画を設定、実施し、定期的に見直すこと。
BAT17: 騒音放射を防止する、または削減するための技術を使用すること。
10.悪臭
BAT18: 悪臭排出を防止する、または削減するために、環境管理システムの一部として悪臭管理計画を設定、実施し、定期的に見直すこと。
BAT19: 悪臭放出を防止するかまたは低減するための技術を使用すること。
11. 冷媒の使用
BAT20: 冷却や凍結によるオゾン層破壊物質や地球温暖化係数の高い物質の排出を防ぐため、オゾン層破壊係数がなく地球温暖化係数の低い冷媒を使用すること。
更に、食肉処理場用のBAT結論、そして動物副産物および/または食用副産物を処理する施設用のBAT結論が、一般的BAT結論に追加して記載されています。
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