欧州の生態系の再生が目的
2024年07月29日、欧州官報にて自然再生に関する規則 (EU)2024/1991が公布されました。掲載の20日後の2024年08月07日に発効し、全ての加盟国で直接適用となります。
この規則は、欧州の自然を再生する規則です。2030年までにEUの陸地及び海域の20%以上、2050年までに再生が必要な生態系すべてを対象に再生措置を講じることを目指しています。破壊された生態系を回復させ、生物多様性を高めることが目的です。
この規則は、陸上から海洋、淡水、都市生態系まで、それぞれの生態系において、自然再生に関する具体的で法的拘束力のある目標と義務を定めています。
自然再生規則は、「2030年に向けたEU生物多様性戦略」の一環として、劣化した生態系の回復、気候変動緩和・適応の目標達成、食料安全保障の強化を促します。
背景
欧州委員会は、自然再生規則を欧州グリーンディールの一環である2020年05月に発表された「2030年に向けたEU生物多様性戦略」に基づき、2022年06月22日に提案しました。
ヨーロッパの生息地の80%以上が劣悪な状態にあります。
自然再生規則では、自然を保護するだけでなく、修復するための措置を講じることを目指しています。この規則は、陸上と海上の幅広い生態系にわたって拘束力のある目標と義務を設定することで、自然の状態を改善することを目指しています。
この規制は、EUが国際的な公約、特に2022年の国連生物多様性会議(COP15)で合意された昆明-モントリオール世界生物多様性枠組みを達成することに役立ちます。
概要
1. 陸と海の生態系の回復
2030年までにEUの陸地と海域の少なくとも20%を共同で回復するための措置を策定し、実施することを義務付けられています。
この規則は、湿地、草原、森林、河川、湖を含む陸上、沿岸、淡水、森林、農業、都市の生態系、および海草、海綿、サンゴ床を含む海洋生態系を対象としています。
規則の附属書I、IIに列挙されている劣悪な状態にあるとみなされる生息地については、以下の目標が設定されています。
- 2030年までに少なくとも30%回復
- 2040年までに少なくとも60%回復
- 2050年までに少なくとも90%回復
2. 花粉媒介者の生息数の回復
2030年までに野生の花粉媒介昆虫の個体数と多様性の減少傾向を反転させるための具体的な対策要件を導入しています。
3. 生態系に特化した対策
農地、森林、都市生態系など、さまざまな種類の生態系に特定の要件を定めています。
1) 農業における生態系の回復
以下の3つの指標のうち少なくとも2つで増加傾向を達成することを目指した措置を講じることを求めています。
- 草原の蝶指数
- 多様性の高い景観特性(HDLF)を持つ農地の割合
- 耕作地の鉱物質土壌の有機炭素蓄積量
また、国レベルで共通農地鳥類指数を引き上げるための期限付き目標も設定しています。
農業目的で使用されている泥炭地の有機質土壌で水分が枯渇しているものについて、2030年までに30%、2040年までに50%、2050年までに50%を再湿潤化
2)森林における生態系の回復
2030年末までに(a)枯れ立木、(b)倒れた枯木、(c)年齢構成が多様な森林のシェア、(d)森林持続性(connectivity)、(e)有機炭素の貯留量(f)在来樹種が優占する森林の割合 (g)樹種の多様性のうち少なくとも6つが増加トレンドになるよう手段を講じることが求められています。
3)河川の自然な接続及び関連する河川敷の自然な機能の回復
河川水流に対する水平・垂直方向の障害物(ダムなど)についてリストアップし、2030年までに障害物のない2万5千キロの流路を確保する目標に向けて、取り除くべき障害物を特定します。
4. 追加植林
少なくとも30億本の追加樹木を植えることを目指す措置を講じます。
目次
第1章 一般条項
第1条 主題
第2条 地理的範囲
第3条 定義
第2章 再生目標と義務
第4条 陸上、沿岸、淡水生態系の再生
第5条 海洋生態系の再生
第6条 再生可能エネルギー
第7条 国家防衛
第8条 都市生態系の再生
第9条 河川の自然なつながりと関連する氾濫原の自然機能の再生
第10条 花粉媒介昆虫の個体数の回復
第11条 農業生態系の再生
第12条 森林生態系の再生
第13条 30億本の追加植樹
第3章 国家復興計画
第14条 国家復興計画の準備
第15条 国家復興計画の内容
第16条 国家復興計画案の提出
第17条 国家復興計画の評価
第18条 海洋生態系の回復対策の調整
第19条 国家復興計画の見直し
第4章 監視と報告
第20条 監視
第21条 報告
第5章 委任および実施法
第22条 附属書の改正
第23条 委任行使
第24条 委員会手続き
第6章 最終規定
第25条 規則(EU)2022/869の改正
第26条 見直し
第27条 一時的停止
第28条 発効
附属書 I 陸上、沿岸及び淡水生態系 – 第4条(1)及び(4)に規定する生息地タイプ及び生息地タイプ群
附属書II 海洋生態系 – 第5条(1)及び(2)に規定する生息地タイプ及び生息地タイプのグループ
附属書III 第5条(5)に規定する海洋生物
附属書IV 第11条(2)に規定する農業生態系の生物多様性指標の一覧
附属書V 全国レベルの農地共通鳥類指数
附属書VI 第12条(2)及び(3)に規定する森林生態系の生物多様性指標のリスト
附属書VII 第14条(16)に規定する再生措置の例の一覧
参考情報
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