2025.08.06
EU|欧州委員会、AI法に準拠するための具体的かつ実践的な指針を示す「汎用AI実務規範」の最終版を受領
汎用AIの実務規範について
2025年07月10日、欧州委員会はAI法に対応するための自主的な手段として、「汎用AI実務規範(General-Purpose AI Code of Practice)」の最終版を受理しました。この実務規範は、汎用AIモデルの提供者がAI法に準拠するための具体的かつ実践的な指針を示す内容となっています。
背景
■ AI法は、2025年08月02日から適用されるEUの新たな包括的AI規制であり、特に汎用AI(General-Purpose AI)モデルに対しては透明性、安全性、著作権遵守といった複数の義務を課しています。こうしたモデルは、複数の用途にわたって広く活用されるため、個別のAIシステムだけでなく、その基盤技術の段階から適切な管理が求められています。
■ 特に「体系的リスク(systemic risk)」を伴うモデル、すなわち能力が非常に高く、EU市場において重大な影響を及ぼす恐れのあるモデルについて、より厳格な規制が課されています。業界がこれに対応し自主的にリスクを管理しつつ、AI法に適切に対応できる仕組みの必要性が指摘されていました。
■ 実務規範は、2024年07月から始まったマルチステークホルダーによるプロセスを経て作成されました。参加者には産業界、学術界、市民社会、著作権者、そしてEU加盟国の代表が含まれ、1,600件を超える意見提出や40回以上のワークショップを通じて内容が精査されています。
概要
■ 汎用AI実務規範は、「透明性」「著作権」「安全性とセキュリティ」の3つの章から構成されています。「透明性」と「著作権」に関する章は、すべての汎用AIモデル提供者に適用され、「安全性とセキュリティ」は体系的リスクを伴う高性能モデルの提供者にのみ関係します。
■ 「透明性」の章では、汎用AIモデル提供者がAIモデルに関する必要な情報を一元的に記録できる「モデル文書化フォーム(Model Documentation Form)」を提供しています。これは、AI法第53条の義務への対応を支援するもので、透明性を高めるための実用的なツールです。
■ 「著作権」の章では、汎用AIモデル提供者がEUの著作権法を遵守するための具体的な方針を整備するためのサポート手法について明記されています。データの使用や再利用に関するルールを明確にすることで、開発段階から法令違反を防止する体制構築が可能となります。
■ 「安全性とセキュリティ」の章は、AI法第55条に基づく義務を負う、より高度なモデル提供者のために設計されており、モデルの悪用リスクや、制御不能に陥るリスクといった「体系的リスク」への対応策を示しています。化学兵器や生物兵器の開発支援といった深刻なリスクへの対策も含まれています。
■ この実務規範は欧州委員会等によって「適切」と評価されているため、実務規範への順守を通して、汎用AIモデル提供者はAI法への準拠をシンプルに証明できます。また、事務局は規範を遵守した汎用AIモデル提供者に対して、法施行初年度(2025年08月02日〜2026年08月01日)は協力的な姿勢を取り、未完了の取り組みがあっても善意に基づく対応として評価する方針が打ち出されています。
■ 今後、欧州委員会によって実務規範に関する追加のガイドラインが発行され、対象範囲の明確化や法的解釈の補完が予定されています。さらに技術進展に対応するため、規範自体も定期的な見直し・更新が予定されており、事務局主導による柔軟なアップデートが行われる見込みです。
参考情報
注目情報一覧
新着商品情報一覧
調査相談はこちら
概要調査、詳細調査、比較調査、個別の和訳、定期報告調査、年間コンサルなど
様々な調査に柔軟に対応可能でございます。
- ●●の詳細調査/定期報告調査
- ●●の他国(複数)における規制状況調査
- 細かな質問への適宜対応が可能な年間相談サービス
- 世界複数ヵ国における●●の比較調査 など