超大型複合トラックのCO₂排出性能基準について
2025年07月25日、新型大型車CO2排出性能基準規則(EU)2019/1242を改正する委任規則(EU)2025/1045がEU官報にて公布されました。本改正は、超大型複合トラック(EHCロリー)を新たに車両サブグループとして追加し、CO₂排出性能基準に反映させるものです。これにより、輸送効率が高くCO₂排出量が相対的に少ない車両の特性が、公式な排出削減目標の計算に適切に考慮されます。
背景
■ EUは、気候変動対策の一環として、運輸部門、特に大型貨物車両の排出削減を重要課題に位置付けています。2019年に制定された新型大型車CO2排出性能基準規則(EU)2019/1242は、新規大型車両に対しCO₂排出性能の基準を導入し、加盟国全体での排出削減を進める枠組みを提供しました。特に2025年からの基準適用、2030年以降の強化目標を設定し、自動車産業全体に長期的な排出削減の方向性を示しています。
■ しかし、その後の技術進展や物流実態を踏まえ、従来の分類体系では十分に評価できない車両が存在することが明らかになりました。その代表例が「超大型複合トラック(EHCロリー)」です。EHCロリーは、特定の道路インフラや運行条件に適した場合、1トンの貨物を1km輸送する際の排出量(gCO₂/tkm)を、標準的なトラックよりも大幅に低減できる可能性があります。すなわち、総重量が大きいにもかかわらず、輸送効率の観点から環境負荷が軽減され得る車両です。
■ これまでの制度では、こうした輸送効率の高さが排出性能の算定に十分反映されておらず、規制の趣旨である「効率的かつ環境に優しい輸送手段の普及促進」と整合しない状況が生じていました。そのため、欧州委員会は新型大型車CO2排出性能基準規則(EU)2019/1242を改正し、EHCロリー専用の車両サブグループを創設することを決定しました。
概要
■ 委任規則(EU)2025/1045は新型大型車CO2排出性能基準規則(EU)2019/1242を改正し、EHCロリーを含む車両を新たに分類し、それに応じたCO₂排出基準値を設定するものです。附属書Iの改正により、従来の車両サブグループ表に「11-EHC」「12-EHC」「16-EHC」といった区分が追加され、EHCロリーの特性に適合する形でCO₂性能が評価されます。
■ 基準値は2025年から2029年までの参照期間と、2030年以降に分けて規定され、後者では追加的な削減率を適用する形が取られています。例えば、EHCに該当するサブグループの基準値は、非EHC車両と比較して低く設定されており、輸送効率を反映した合理的な扱いがなされています。
■ さらに、サブグループ区分において「キャブタイプ(日中キャブ、寝台キャブ)」「エンジン出力」「運行範囲」などの要素が整理され、より精緻に車両が分類される仕組みとなりました。これにより、車両設計や運用方法に応じた評価が可能となり、メーカーや運送事業者にとって透明性の高い規制運用が実現します。
■ 本改正は、加盟国すべてに直接適用されるものであり、EU域内での統一的なルールを確保します。結果として、効率的な大型車両の導入を後押しすると同時に、CO₂削減目標達成に向けた実効性を高めることが期待されています。さらに、EHCロリーの普及を通じて、輸送当たりの環境負荷を軽減し、持続可能な物流システム構築に貢献するものと位置付けられます。
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