EU|タクソノミー規則を補完する2つの委任法が公布
タクソノミー規則と2つの委任規則
タクソノミー規則として知られる「持続可能な投資を促進するための枠組みを確立し規則(EU)2019/2088を改正する2020年6月18日付欧州議会及び欧州理事会規則(EU)2020/852」が2020年06月22日に公布された後、それを補完する委任法令の審議が進められていました。
2021年12月09日と10日、タクソノミー規則を補完する2つの委任規則が公布されました。
■ 経済活動が気候変動の緩和または気候変動への適応に実質的に貢献していると認定される条件を決定するため、また、その経済活動が他の環境目的のいずれにも重大な損害を与えないかどうかを決定するための技術的審査基準を確立して欧州議会および欧州理事会規則(EU)2020/852を補足する2021年6月4日付欧州委員会委任規則(EU)2021/2139
■ 環境的に持続可能な経済活動に関する指令2013/34/EUの第19a条または第29a条に従う事業者が開示すべき情報の内容と表示方法を規定し、当該開示義務を遵守するための方法論を規定することで欧州議会及び理事会規則(EU)2020/852を補完する2021年7月6日付欧州委員会委任規則(EU)2021/2178
タクソノミー規則とは?
タクソノミー規則の目的は第1条1項に明記されています。
本規則は、投資が環境的に持続可能である程度を確立するために、経済活動が環境的に持続可能であると認定されるかどうかを判断する基準を定めている。
(EU)2020/852 Article 1
「環境的に持続可能な経済活動」とは?その主な基準の概要には、次の環境目標の1つ以上に実質的に貢献すること、それら環境目標のいずれも著しく損なわないこと、指定された最低現の保護措置を遵守することなどが挙げられています。
■ 気候変動の緩和
■ 気候変動への適応
■ 水・海洋資源の持続可能な利用と保護
■ 循環型経済への移行
■ 汚染の予防と管理
■ 生物多様性と生態系の保護と回復
タクソノミー規則を眺めると、投資に係わる要件、金融商品に対する要件が目にとまります。ただし、日本の大多数の企業にとって重要なのは、「非財務情報を公表する義務を負う事業者」に対する要件です。
注記:別法令で定める詳細を調査したところ、主な対象は「平均従業員数500人の基準を超える公益事業体(public-interest entities)」とのことなので、本件の日本企業に対する影響については下方修正します。
この「非財務情報を公表する義務を負う事業者」は、他の法令で義務を課せられている事業者を意味しますが、タクソノミー規則では、特に非金融事業者に対して次の事項を公表する非財務情報に含めることが要求されています。
■ 環境的に持続可能であると認定された経済活動に関連する製品またはサービスに由来する売上高の割合
■ 環境的に持続可能であると認定された経済活動に関連する資産またはプロセスに関連する資本支出の割合および営業支出の割合
今回公布された委任法は、開示されるべき情報の内容と表示方法を、それらを遵守するために使用される方法論を含めて規定する内容を含んでいます。
日本企業への考えられる影響(2021年12月末追記)
上記に追記した注記に関連して、タクソノミー規則と関連法令で主な影響がある主な事業者は「 金融商品を提供する金融市場参加者」となりますが、その金融商品に係る「経済活動が気候変動適応に実質的に貢献していると認定される条件」が委任法で規定されたため、欧州で事業を展開する日本企業への影響は十分に考えられます。
したがって、以下の状況が想定されます。
① タクソノミー規則および関連法令で欧州の金融商品に係る特定の経済活動の評価方法(環境的に持続可能な経済活動とは何か)が規定
② 金融商品を扱う機関・組織は評価方法を見直し、商品の内容を再検討
③ 投資等を受ける企業側は経済活動の評価方法が変わったことを受けて、自社の経済活動を再評価、必要に応じて再検討
つまり、欧州で事業を行う日本企業も、投資等を受ける側として、自社の経済活動の再評価や見直しの機運になる可能性がある点に注意が必要です。
これまで自社で「環境的に持続可能な経済活動」をしていると喧伝していても、今回新たに明確な投資等の判断基準が定められたため、これに準拠しない経済活動はもはや「環境的に持続可能な経済活動」とはみなされなくなる、ということになります。そしてその詳細を定めるのが、今回の委任法のうちの一つになっています。
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