マレーシア|地下空間の所有権について

マレーシアにおける地下空間開発

2021年01月、マレーシアのサラワク大学の研究者Farah Zainiが、「マレーシアにおける地下空間所有:権利の定義」と題する論文を公表しています。同国における地下空間利用の問題点を把握する上で非常に参考になるため、ここでは一部を紹介致します。マレーシアでも古くから土地所有権に関する法令はあるものの、土地所有者と地下空間開発者の間で多くの議論が起こり、地下空間開発は大きな問題となっていることが指摘されています。

地下空間利用の問題

■ 1965年の国土法第92A条によると、地下空間は地表の下にある土地と定義されています。

■ 1965 年国土法パート VA および 2008 年の土地鉱山局長の通達 1/2008 を参照すると、地下空間は、地表の開発に関連する活動を伴うか、または独立した開発機能として開発することができるとされます。

■ どのようなタイプの開発であっても、地上の土地所有者は、1965年国土法第44条(1)(a)で承認されているように、自分の土地に対する権利を持っているため、主な関心事となる一方、地下空間の所有権については、所有者の権利は国土法第92条B(3)(a)(b)に従っています。

■ 2011年に行われたMRTの地下駅開発の際に、地下空間に対する土地所有者の権利の問題が提起され、地下空間は国有地だけでなく、異なる所有者が関与する私有地でも開発可能であることが多くの関係者に知られるようになりました。

■ 本論文では様々な観点から分析・考察を行っていますが、注目したいのは、2つの論点です。

1.地下空間に対する地上の土地所有者の権利と地下空間の所有者の権利

2.深さ

調査結果の一つに、現在の土地譲渡の慣行が深さを規定していないのには理由があるとし、もし深さが指定されていれば、土地所有者は自分の土地を楽しむことができず(便益を享受することができず)、1965年のNLC第44条(1)の権利が否定されてしまうためであることが指摘されています。

この点については、関連する論争の内容を見ると、土地の譲渡における深さの明示的な規定は重要であるとしながらも、地下空間の権利化のために深さが重要であっても、土地の所有権がどの程度の深さであるかを具体的に示すべきではないという考え方もあるとしています。

【参考】

■ Farah Zaini, Aminah Mohsin,”Underground Space Ownership in Malaysia: Defining the Rights”,Contemporary Business and Humanities Landscape Towards Sustainability, 2021, Pg. 191 – 198

日本の場合は?

では、この地下空間の所有権や深さについて、日本の場合はどうなっているのでしょうか。まず、土地の所有権については、民法第207条に「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ」とあり、範囲についての規定はありません。しかし、「法令の制限内において」とあるように、関連法令の規定を確認しなければならない構造になっています。

地下空間の場合、日本では大深度法が関連法令の代表例としてあげられます。同法令では、その範囲として、施行令の規定と合わせ、「地表から40m以深」または「建物の支持基盤の最深部から10m以深」のうちより深い方の地下を「大深度地下」と定義しています。この大深度地下では公共の利益に貢献する特定の事業について、認可制度が設けられています。一般の宅地などについては、「地表から40m」までを一つの基準と考えることができるかもしれませんが、明示的に地表から40mの地下までが所有権の範囲だと記載があるわけではありません。また、大深度法は適用範囲が規定されており、政令で指定されている大都市圏などいくつかの都道府県のみに限られています。そのため、地下利用の所有権について相談がある場合には、相談の具体的状況の情報と合わせて相談することを推奨致します。海外の規制調査については当社へご相談ください。

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