米国納税義務者に関する情報の報告義務について規定したもの
2023年08月18日、財務省は「外国口座税務コンプライアンス法(FATCA法)」に基づく省令を2件官報公布しました。
「外国口座税務コンプライアンス法(FATCA法)」とは
外国講座税務コンプライアンス法(FACTA, Foreign Account Tax Compliance Act)とは、米国に納税義務のある者(個人および法人)に対する米国外の金融機関を利用した租税回避と徴税の強化を目的とし、米国外の金融機関に対し顧客が所定の米国納税義務者であるかその確認と報告を求める法律で、2010年に米国で制定されたものです。
その実施のため、タイでは2017年に「仏暦2560年(西暦2017年)国際税務コンプライアンス向上のためのタイ国政府および米国政府間協定実施法(FATCA法)」が施行されました。
政府はその附属書である「2016年3月4日付で調印された国際税務コンプライアンス向上およびFACTA導入のためのタイ王国政府と米国政府間協定」に基づき、金融機関に対し顧客が所定の米国納税義務者であるか、確認と報告を行うよう求めています。また、顧客が米国納税義務者に該当する場合は税務情報・金融口座情報を毎年米国の管轄当局へ報告することが義務づけられています。
今回発出された2つの省令は上記に基づく国際間の税務情報交換に係る規則を定めたものとなっています。
「財務省令 管轄当局へ報告義務のある情報の収集と提出」
この省令の主な内容は以下の通りです。
▪「仏暦2560年(西暦2017年)FATCA法」第3条により定義されている”報告義務者”である所定の金融機関(銀行等の預金機関・証券会社・保険会社等)は新規金融口座が開設される際、毎回顧客の同意を得た上でその口座が米国納税義務者報告対象の口座に該当するか確認しなければなりません。そして当該口座であった場合は報告義務者はその口座を米国納税義務者報告対象の口座に指定します。
▪米国納税義務者の口座情報は、前暦年に係る情報は翌年6月末日までにIDES(International Data Exchange Service)という国際的なデータ交換サービスシステムを利用した電子報告を行うことが義務づけられます。
▪報告の際に求められる情報は以下の通りです。
- 金融口座の所有者および管理者情報(氏名、住所、米国納税者番号)
- 金融口座情報(口座番号、口座の残高もしくは保険証券の解約払戻金、利息など)
- 業務報告者情報(事業者名、事業者番号)
▪報告に係る情報は、報告義務者が情報を受け取った年から6年間保管をする義務があります。
「財務省令 報告義務者としての証明書の申請と発行」
この省令の主な内容は以下の通りです。
▪FATCA法第6条に基づき報告義務者としての証明書発行を管轄当局宛て申請する場合は、管轄当局が指定する電子申請を行うことが求められます。
▪報告義務者としての証明書発行手続きは、報告すべき米国口座情報を得た翌年の01月末までに手続きを行わなければなりません。
▪証明書発行に際し、管轄当局は申請内容を審議を行う際、完全な情報を得るため財務省歳入局、財務省財政経済事務局、タイ銀行、証券取引委員会事務局、タイ保険委員会(OIC)など関係機関に意見を求めることがあります。
▪この省令の施行日の前暦年分の申請については、この省令の施行日より2ヵ月以内に申請書を提出することが求められます。
参考情報
「財務省令 管轄当局へ報告義務のある情報の収集と提出」2023年08月18日官報公布(2023年08月09日発出)
「財務省令 報告義務者としての証明書の申請と発行」2023年08月18日官報公布(2023年08月09日発出)
「仏暦2560年(西暦2017年)国際税務コンプライアンス向上のためのタイ国政府および米国政府間協定実施法(FATCA法)」
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