自動車ディーラーに対する新たな規制案
2022年07月13日、連邦取引委員会(FTC)は、「自動車ディーラー取引規制規程」と題する規則案を公表し、2022年09月12日までの意見募集を開始しています。これは、自動車取引規制規程を新たに連邦規則の中に設けるものとなっており、次の要件が主なものとなっています。
■ 自動車ディーラーが自動車の販売、リース、融資の手配の過程で特定の不正表示を行うことを禁止
■ ディーラーの広告や販売時の説明において正確な価格開示を義務付け
■ ディーラーが消費者から料金について明示的な同意を得ることを要求
■ 消費者に利益をもたらさない付加的商品やサービスの販売を禁止
■ ディーラーに広告や顧客取引の記録の保存を義務付け
背景
米国消費者保護機関である連邦取引委員会(FTC)は、販売、融資、リースなど自動車市場に適用される主要な法律と規制を執行する責務を担っており、過去10年間、FTCは50件以上の自動車関連の強制訴訟を起こしており、その中には、誤解を招く自動車広告、融資書類の偽造、「ヨーヨー」融資、不正な追加料金、差別、プライバシーとデータセキュリティの問題などが含まれていたと報告されています。
2010年に署名され、法律となったドッド・フランク法の第1029条は、FTCに自動車ディーラーによる不公正又は欺瞞的な行為又は慣行に関する規則を定める権限を与えています。
FTCは、法執行に従事してはいるものの、委員会の規模は比較的小さく、リソースも限られているため、ディーラーに関する何万件もの苦情を調査し、対処することは困難であるとしています。
自動車市場で観察される問題の多くは、連邦および州の度重なる執行措置に直面してもなお存続しており、欺瞞的で不公正な行為を抑止するための追加措置が必要であることを示唆していると指摘されています。
加えて、自動車市場における不公正又は欺瞞的な行為又は慣行を禁止する規則があれば、FTCは損害を受けた消費者の救済を求め、FTC法違反に関わる事件において他の形態の金銭的救済を得ることができるようになるとしています。
さらに、他のディーラーが欺瞞的あるいは不公正な手段でビジネスを獲得した場合、法を遵守しているディーラーが被害を受けることになることにも触れ、これらの理由から、FTCは、自動車市場における不公正または欺瞞的な行為または慣行に対処するための規則を発行するために、規則制定権限を活用することが適切であるとして、今回の規則策定の動きに繋がっています。
規則の内容
新たな規則が提案されている箇所
16 CFR Part 463 MOTOR VEHICLE TRADE REGULATION RULE 自動車取引規制規程
■ § 463.1 Authority. 権限
■ § 463.2 Definitions. 定義
■ § 463.3 Prohibited misrepresentations. 不正表示禁止
■ § 463.4 Disclosure requirements. 情報開示要件
■ § 463.5 Dealer Charges for add-ons and other items. アドオン及び他の商品に係わるディーラー変更
■ § 463.6 Recordkeeping. 記録保持
■ § 463.7 Waiver not permitted. 認められない権利放棄(ウェイバー)
■ § 463.8 Severability. 分離可能性
■ § 463.9 Relation to State laws. 州法との関係
規制概要
不正表示については、次の項目についてディーラーが不正表示(misrepresentation)を行うことは明確に違反として位置づけられています。
(a) 自動車の購入、融資、またはリースにかかる費用または条件。
(b) 付加価値のある製品またはサービスの費用、制限、利益、またはその他の重要な側面。
(c) 融資またはリースの条件、または取引の有無。
(d) 広告価格に織り込まれているが、すべての消費者が利用できるわけではないリベートまたは割引の利用可能性。
(e) 広告価格での車両の入手可能性。
(f) 商品、サービス、条件について、消費者が事前承認または保証を受けているか、または受ける予定があるかどうか。
(g)消費者の融資申し込みに関するあらゆる資料情報。
(h) 取引が最終的に完了した時点、またはすべての関係者を拘束する時点。
(i) 取引が成立しない場合、または消費者が取引を希望しない場合に、頭金や下取り車の預かり、手数料の請求、法的手続きの開始、または何らかの措置を講じること。
(j) 自動車ディーラーが、消費者の下取り車に対する融資やリースの一部または全部を完済するかどうか、またはいつ完済するか。
(k) 消費者のレビューや評価が、ディーラーやその製品、サービスに対する偏りのない、独立した、あるいは通常の消費者のレビューや評価であるかどうか。
(l) ディーラーまたはその従業員、製品、サービスが、米国政府、または米国国防総省やその軍事部門を含む連邦、州、または地方政府機関、部署と提携しているか、またはそれらによって承認されているか、またはそれらと関連していたかどうか。
(m) 消費者が賞品や懸賞を獲得したかどうか。
(n) 州境または国外を含む、車両の移動の可否、またはその状況。
(o) 車両を差し押さえることができるかどうか、またはどのような状況で差し押さえることができるか。
(p) このパートで特定されている必要な開示事項のいずれか。
§ 463.3より引用・仮訳
情報開示要件については、次の項目について開示しない場合は、違反する不公正あるいは欺瞞的行為あるいは慣行として位置づけられることが明記されています。
(a) Offering Price 売出価格
(b) Add-on List アドオンリスト
(c) Add-ons not required 必要ないアドオン
(d) ファイナンスまたはリース取引における支払額と対価の合計
(e) 月々の支払額の比較
それぞれの項目の詳細説明は§ 463.4に記載されています。
ほか、「§ 463.5 アドオン及び他の商品に係わるディーラー変更」や「§ 463.6 記録保持」のセクションが主な要件となります。
参考
■ 自動車ディーラー取引規制規程案(87 FR 42012)/米国連邦官報
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