カルフォルニア州がバッテリー関連業者へのリサイクルまでの一括管理を規制化
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2022年09月19日、「責任あるバッテリーリサイクル法(Responsible Battery Recycling Act of 2022)」が公布されました。この法律は、2023年01月01日以降に市や地方自治体などによって採択されるであろう対象バッテリーのリサイクルに関する管理プログラムのためのすべての規則や条例を先導するものとなっています。
生産からリサイクルまでの一括管理者、生産者、製造業者、流通業者、小売業者、輸入業者、リサイクル業者またはリサイクル収集場所管理者など対象バッテリーに関わる業者が一括管理組織(stewardship organizations、スチュワードシップ組織、単語の定義参照)をつくり、指定されたリサイクル管理計画を策定し、これを資源リサイクルおよび回収局(Department of Resources Recycling and Recovery)および有害物質管理局(Department of Toxic Substances Control)に提出し、これら部門による監督および承認を受けることとなります。
この記事では、この法律のリサイクルに関わる業者への規定内容を中心に「法律の背景」「法律の内容」「用語の定義」「リサイクル管理計画の記載内容の概要」をまとめています。
法律の背景:
カルフォルニア議会は、この「責任あるバッテリーリサイクル法案」をもって、二次バッテリーリサイクル法(Rechargeable Battery Recycling Act, 2006)と携帯電話リサイクル法(Cell Phone Recycling Act, 2004)をそれぞれ 2026年9月と2027年をもって廃止し、有害物質管理局と協議の上で2025年04月01日までに同法を実施するようにカリフォルニア州に要求しています。
内容:
この法律では、この対象バッテリーの生産からリサイクルにまで関わる業者(リサイクルまでの一括管理者、生産者、製造業者、流通業者、小売業者、輸入業者、リサイクル業者、またはリサイクル収集場所管理者)は一括管理組織を形成し、州によって指定された「リサイクル管理計画(定義を参照)」を策定し、資源リサイクルおよび回収局と有害物質管理局にそれ提出し、部門による内容確認(実施の150日前までに確認される必要がある)とその後の承認を受けることが必要になっています。
ちなみにカルフォルニア州は有害物質管理局と協議の上、2025年04月01日までに発効日を定めて同法が実施するように求められているため、リサイクル管理計画の責任者は規制の発効日から24ヶ月以内にリサイクル管理計画が承認される必要があります。
また、この法律は、リサイクル管理計画の責任者が毎年調査を受け、一括管理者、スチュワードシップ組織、生産者、製造業者、流通業者、小売業者、輸入業者、リサイクル業者、または収集場所管理者がリサイクル管理計画に沿っているのかを記載した「年次報告書」を資源リサイクルおよび回収局に提出することが義務付けられており、報告の虚偽は偽証罪に問われます。
この法律は、2023年01月01日以降に市や郡などといった各地方自治体によって採択されるはずの対象バッテリーのリサイクル管理計画のためのすべての規則、規制、コード、条例、またはその他の法律を先導するものです。
発行日よりその後毎年、対象バッテリーの生産者のリストは州のインターネットウェブサイトに更新・掲載され、同法に準拠していない生産者はリストから削除されます。
また、リサイクル管理計画承認されると計画書に記載された小売業者または流通業者もリスト化され、リスト外の業者は州内での対象バッテリーの販売、配布、販売の申し出、または輸入が禁止されます。
プログラム運営者は規制の執行に関連した手続き費用を部門と有害物質管理局に支払い、これらの資金は対象バッテリーリサイクル基金となります。
この法律に違反した場合、1日あたり$ 50,000を限度とし、業者に行政民事罰が課されます。
用語の定義:
対象バッテリー(Covered Battery):電気エネルギーを受信、貯蔵、および送達するように設計された1つ以上の電気化学セル(電解質と電気エネルギーを送受するためのシステムを含む)つまり、取り外し可能な重量5Kg以下の二次バッテリー(電池)を意味します。
一括管理組織(stewardship organizations、スチュワードシップ組織):課税を免除される組織で、本章に従って生産者によりスチュワードシップ・プログラムを開発及び実施するために設立された組織を意味します。
リサイクル管理計画の記載内容の概要:
規則に従ったプログラム運営者が、対象バッテリーの収集、輸送、リサイクル、および安全かつ適切な管理のために策定した計画を意味します。同法42420.1項(参考1)ではこの計画書には、(a)~(q)項目が必要となっています。一部抜粋すると、次の通りです。
(a)42420.1 項の (j) で定義される生産者の名前と、スチュワードシッププランの対象となる対象バッテリーのブランド名
(b)計画の策定・実施に関して助言を求めた諮問機関と協議した内容の説明。
(c)リサイクル効率の測定と説明。
(d)収集方法と収集場所
(f)消費者が回収場所に、無料で、このバッテリーを荷降ろすことへの許可。
(g)対象バッテリーの回収のための適切な方法を示す教材とそれを無償で提供する方法。
(h)州または連邦のなど統治機関による別の規制との比較。
(i)大規模な小売業者についてはすべての店舗をこのバッテリーの収集場所とし、条件を遵守することの内容確認。
(j) 損傷、欠陥、またはリコールされたバッテリーの受け入れは要求されないが、消費者にこれらのバッテリーが受け入れられる場所の情報提供とその方法。
(k)生産者はリサイクル計画の経費の説明。また、承認後3年間の予算(組織の管理費、運営費及び資本に加え承認前の費用も含む)を組むための内容説明。
(l)収集場所での回収後に、対象バッテリーが処理およびリサイクルされるプロセスの説明。
(m)リサイクルに関連する業者や団体の活動の調整、および調整方法の説明。例えば、リサイクル業者や解体業者を含む既存のバッテリー収集およびリサイクル組織や適切な廃棄物管理において課題を持つ地域や地方自治体などとの協議内容。
(o)消費者のリサイクルへの参加を促進するための活動の説明。
(p) 他の一括管理組織などと協力して、対象バッテリーの適切な注意ラベルを開発および実施し、適切な収集およびリサイクルを実施するための戦略内容。
(q)一括管理計画の有効期限切れ、不承認、または取り消された場合の緊急時対応計画の内容。
参考: