EPAとメキシコに公営石油企業PEMEXも協力を発表
2022年11月11日、エジプトのシャルムエルシェイクで開催されたCOP27で、米国環境保護庁は、バイデン・ハリス政権下で、メタンやその他の有害な大気汚染を削減するため、基準を強化・更新すると発表しました。
この基準の強化により、環境保護庁は米国の排出源からの有害な排出物とエネルギー浪費を2005年のレベルより87%削減できると予測しています。またこの一環として、11月14日には、環境保護庁は世界10番目の売り上げを持つ公営石油企業PEMEXとメタン排出の削減において協力することも発表しました。
ここでは、メタンやその他の有害な大気汚染を削減するために今回補足提案した「基準案更新の背景」「基準の更新内容」、基準更新発表後の「PEMEXとの協力関係」について記事になっています。
基準案の背景:
バイデン・ハリス政権は、地球の温暖化を止めることを目標にメタン排出を削減できる新技術を開発することが、最終的に米国に経済的利益をももたらす、と考えています。
そのため、2022年8月16日にバイデン大統領が署名した「インフレ抑制法(inflation Reduction Act、IRA)」では、気候変動対策に力点が置かれ歳出全体の約8割に当たる約3,910億ドルが、気候変動対策に充てられました。
メタンは強力な温室効果ガスをもち、大気に到達してから最初の20年間で平均して二酸化炭素の約80倍の熱を閉じ込め、今日発生する温室効果ガスによる温暖化の約3分の1の原因となっています。
そのため、メタン排出量を大幅に削減することは、気候変動の速度を遅らせるために、米国が短期的に取ることができる最も重要な行動の一つとなっています。
石油および天然ガス事業は、メタンに加えスモッグを形成する揮発性有機化合物(VOC)やベンゼンなどの有毒な大気汚染物質など、健康や気候に変化を及ぼす大気汚染物質の重要な発生源になっています。
研究によると、石油および天然ガス産業の中でも少数の施設や機器からの大量の漏れが、メタン排出量の半分担っていることがわかっています。このため、米国は石油および天然ガス産業などでメタンを大量に放出する施設や機器、およびその他のインフラ全般を、「スーパーエミッター」と呼称し、その設備に基準を設ける必要があると注視していました。
加えて、米国は中小企業の革新的なメタン検出技術やその他の最先端技術の開発・展開を促進することが、国内雇用や経済にも良い方向に働くと考えていました。
これらの背景から、米国はメタンの検出などのメタン排出削減に向けた技術開発を進める、さらにこの技術を活用してスーパーエミッターを含む数十万の既存の石油および天然ガス事業から排出されるメタンガスの排出を、より包括的な基準によって制限する基準案を更新しようとしています。
基準の更新内容:
2021年11月にEPAが発表した基準案を補足するこの更新は、幅広い利害関係者からの意見と約50万件のパブリックコメントを反映しています。
補足提案の主な内容は次の通りです。
■ すべての石油もしくは天然ガス施設が、低コストの中で適切に閉鎖されるまで、漏れがないか定期的に監視。
■ 承認プロセスを合理化し、革新的で費用対効果の高いメタン検出技術の使用を促進。
■ リモートセンシング技術からのデータを活用して、大規模なメタン漏れを迅速に特定して修復。
■ 油田・ガス田を掘削する際に生じる随伴ガスを焼却処分するためのガスフレアを適切に制御する要件を改訂。
■ 現在規制されていないドライシールコンプレッサの排出基準を確立。
■ 油田・ガス田施設で空気圧コントローラーと空気圧ポンプのゼロエミッション基準を設定。
■ 無駄になっている天然ガスの回収を増加。
■ 基準案にはスーパーエミッター応答プログラムが含まれています。スーパーエミッター対応プログラムの透明性を保つため、石油および天然ガスの所有者および事業者に送信される通知は、その対応および是正措置とともに、Webサイトで入手可能とする。
EPAはこの提案された基準により、2023年から2035年までに推定3,600万トンのメタン排出量、つまり8億1,000万メートルトンの二酸化炭素が削減されると予測しています。
また、同期間に970万トンのVOC排出量が削減され、39万トンのベンゼンやトルエンなどの化学物質を含む大気有害物質の排出量が削減されると予測しています。
加えて、EPAは、2021年2月に省庁間ワーキンググループによって推奨された温室効果ガスの暫定的な社会的コストと、全米科学工学医学アカデミーの勧告に対応する温室効果ガスの最新の社会的コスト推定をも考慮し、この推計と分析をEPA技術報告書として公開して事前評価を求めています。
現在、EPAは、2023年2月13日まで補足提案についてコメントを受け付けています。また、2022年11月17日と30日に、補足提案と公開プロセスへの参加に関する情報を地域社会、部族、中小企業に提供するための仮想トレーニングを主催し、Webサイトでこれらのトレーニングに登録できるようにしました。
公聴会への登録は、補足提案が連邦官報に掲載された後に開始されます。EPAは2023年に最終規則を発行する予定です。
PEMEXとの協力関係:
2022年11月14日、EPAは、発表されたメタン排出に関わる補足基準の更新予定を受け、メキシコに本社を持つ業界大手のPEMEXとメタン排出量削減のために協力することを発表しました。
この協力を通じて、EPAとPEMEXは以下の目的で協力することを表明しました。
■ 大きな排出が見られる発生源施設、インフラストラクチャと機器の発生源、メタンの運用源など、PEMEXの事業全体にわたる主要なメタン排出源を特定する。
■ これらの排出を減少させるため、フレアの捕捉とフレアの効率化、定期的に起こるガス抜きを無くすための機器の交換と運用上の変更、定期的な漏れの検出と修理を含んだ緩和策を採用する。
■ EPAの技術支援を受けて、PEMEXは2023年前半までに、PEMEXの陸上石油・ガス事業において定期的なフレア発生とガス抜き、および漏えいメタン排出を削減するための対策や計画を策定および発表する。
これらのことを現実化し、世界メタン誓約と世界メタン誓約エネルギーパスウェイ、ならびに世界ガスフレアリングおよび削減パートナーシップ、およびゼロルーチンフレアリングイニシアチブへの公約に沿って、メタン排出量を削減するというメキシコの目標を前進させる予定です。
この新しい協力関係により、EPAとPEMEXは、経済分析なども通じて、陸上の石油および天然ガス事業全体で短期的にメタン排出量を削減するためにお互いに協力します。さらに、容易に利用可能なメタン削減技術と慣行を展開するために、PEMEXが優先する事項をサポートします。
EPAは、これらの研究、対策、協力を実施することで、メタンなどの温室効果ガス排出量を削減して、短期的に気温上昇を抑え、大気環境と公衆衛生を大幅に改善し、無駄になる天然ガスを節約し、運用効率を改善し、油田・ガス田の運用と保守のコストを削減すると考えています。
参考:
バイデン・ハリス政権は、メタン汚染を削減する提案を補足提案することで、共同社会を保護し気候変動と闘いながらアメリカの技術開発を強化します
注目情報一覧
新着商品情報一覧
調査相談はこちら
概要調査、詳細調査、比較調査、個別の和訳、定期報告調査、年間コンサルなど
様々な調査に柔軟に対応可能でございます。
- ●●の詳細調査/定期報告調査
- ●●の他国(複数)における規制状況調査
- 細かな質問への適宜対応が可能な年間相談サービス
- 世界複数ヵ国における●●の比較調査 など