米国|EPA、大型エンジンとその搭載車両の基準を最終決定

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大型エンジンとその搭載車両による大気汚染の防止策プログラムの大事なステップ

2023年01月24日、環境保護庁(EPA)は、大型エンジンやその搭載車両からのNO(窒素酸化物)、オゾンや粒子状物質(PM)などの排出を削減するためのプログラムを最終決定しました。最終的なプログラムでは、大型エンジンからの排気に関して、現在の基準と比較して大幅に厳しく、様々なエンジンの動作条件を広くカバーする新しい基準が含まれました。ここでは、プログラムで示された基準の決定の「背景」「内容」「この基準の影響」が記事になっています。

背景:

交通・輸送部門から放出される温室効果ガス(GHG)のうち、米国の排出量は世界最大と言われています。大型車両とそのエンジンは、NO(窒素酸化物)、オゾンと粒子状物質(PM)を大量に排出し、交通・輸送部門からの排出の大きな部分を占めています。

NOは大気に排出された場合、地域社会の住民の早死、呼吸器疾患(小児喘息を含む)、心血管系、およびその他の身体の器官において甚大な影響があると考えられています。NOに加えて、オゾンとPMの排出も温室効果ガスであるため、国家環境大気質基準(National Ambient Air Quality Standards、NAAQS)を達成し維持するための重要な標的です。

また、大型車両やそのエンジンからのこの3種の排出が特に問題となっている理由は、大型車両であるトラックの貨物ルートの近くに住む人々の住環境に影響することです。米国では有色人種や低所得者がトラックルートの近くに住む傾向があり、また保育施設や学校もこのルートに近接している例が多くみられるため、このような社会的な弱者がこのNOを含む3種の温室効果ガスの排出に最も影響があると考えられているからです。

このような背景から、環境保護庁(United States Environmental Protection Agency、EPA)はバイデン大統領の大統領令で示された温室ガス削減目標に従い、交通・輸送部門からのゼロエミッション(排出)となる未来への移行を進めるために、空気浄化および気候規制を策定する包括的な戦略「クリーントラック計画」を行っています。

今回の最終規則はこの「クリーントラック計画」の最初のステップとなっています。

トラックなどの大型車両へ搭載されているヘビーデューティー(Heav-duty、HD、頻度高く使用される)エンジンはNOを排出する最大のカテゴリーで、2045年には船舶を含めたエンジン搭載機器の全国排出量の32%、路上の車両の90%占めていると推測されています。

EPAは、大型エンジンとそれを搭載する大型トラックに関する最終のNO排出基準を策定するために、2022年3月に規則案を発表し、4月にバーチャル公聴会を開催しました。そして、26万件以上の州・地方政府、大型エンジン製造業者、排出規制供給業者および大型産業関係者、環境団体、環境正義団体、州・地方・部族団体、消費者団体、労働団体、私人など、幅広い関係者からパブリックコメントを受け取りました。

その中にはNOの新たな規制の必要性、厳しい規制の実現可能性とコスト、大型エンジンの耐用年数や保証期間の大幅な延長、プログラムの進め方や柔軟性などが議題としてあがりました。最終規則のI項Bではパブリックコメントに関するEPAの見解も示されています。

内容:

最も大事な変更点は、最終的な規則の下では、エンジンが路上で動いているすべての時間において厳しいNO排出基準を満たす必要が出てきたという事です。

具体的には、アイドリングストップ中に技術が未改善であるためNO排出量が多くなる車両があることなども考慮に入れ、NO排出量の測定方法や基準が厳しくなっています。

その他、数値基準やその試験手順、規制の耐用年数、排出ガス関連の保証、その他の要件など、既存の大型のエンジン搭載車カテゴリー(ヘビーデューティーもしくはHDセクターともいう)のエンジンからの排出ガス削減に関する主要な内容が最終規則では変更されています。

例えば、長い耐用年数の最後まで排出基準が満たされるように保証する要件などが含まれています。このNOの規則は2023年3月27日に発行され有効となります。

以上に加えて、他のカテゴリー(小型車、船舶用ディーゼルエンジン、機関車、その他のさまざまなタイプの路上を走行しない車両や機器)の大気汚染物質排出基準を実施する規制の限定的な改正も最終決定されています。

具体的には、この最終規則では、第1項において、最終規則の概要、最終規則の影響、および最終規則がどのようにEPAの法定要件と一致しているかについて説明してます。第2項においては、大型エンジンからの追加の排出ガス制御の必要性が説明され、第3、第4項では最終的な基準と法令遵守の柔軟性については、それぞれ説明されています。

第5から10項では、最終プログラムの推定排出削減量、大気質の改善度合い、コスト、および収益化されたメリットについての分析結果が説明されています。第11項は、大型以外の他のセクター(小型車両、船舶用ディーゼルエンジン、機関車、およびさまざまなタイプの道路上で使用しないエンジンや搭載車両など)や機器の大気汚染物質排出基準を実施する限定的な規制の改正について説明しています。

この基準の影響:

この規制の後も、大気汚染物質であるPM、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、およびその他の大気の毒性物質についても、モデル年である2027年までに基準が設定され、規制が開始される予定です。

その際に、今回とそれに続く大型車両の排出ガスに関する規制は、少なくとも3年以上モデルケースとして、公布後少なくとも4年は適用される予定です。EPAは、この規制により2040年には大型車からの排出量は40%以上削減され、さらにこれ以外の他の車両や機器に対する規制も加わることで、2045年までには排出量のほぼ50%が削減できると計算しています。

この規則の基準は、エンジン政策の技術が進化し、今後も継続的な技術改善が行われること、またエンジンは常にメンテナンスが行われるということを考慮に加えて基準が設定されているため、大型トラックなどの大型エンジンを作製している事業者やトラックを使用する運送事業者のそれぞれ技術開発やメンテナンス作業に大きな影響があると予想されます。

この最終規則では、GHG基準の更新に関する最終的な決定は行っていませんが、今後規則制定の一環として、特定の大型車両とそのエンジンの排気に関してのGHGフェーズ2基準の変更が行われるかもしれません。

参考:

EPA、大型エンジンとその搭載車両の基準を最終決定

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