米国|粒子状物質(PM)に関する国家大気質基準の再検討

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米国|粒子状物質(PM)に関する国家大気質基準の再検討

PM2.5の基準を下げる変更案

2023年1月27日、環境保護庁(EPA)は、粒子状物質(PM)の国家環境大気質基準(NAAQS)の再検討を行い、年間のPM2.5一次粒子の基準レベルを下げる提案しました。その他の改定も行い、この提案に対するコメントを2023年3月28日まで募集します。ここでは、「この提案の背景」「この提案の改定内容」「EPAが求めるコメント」について記事になっています。

この提案の背景:

粒子状物質(Particulate Matter、PM)には、直径が10ミクロン以下の粒子でPM10といわれているものと、その中でもさらに2.5ミクロン以下の粒子であるPM2.5があります。

それぞれに粒子として直接排出されるもの(一次粒子)と、ガス状の物質として排出されたもの後で、大気中で化学反応を起こし粒子化するもの(二次生成粒子)が存在します。多くの場合、異なる排出源に由来し、化学組成も異なります。

ガソリン、石油、ディーゼル燃料、または木材の燃焼による排出により、大気に見られるPM2.5汚染の多くと、PM10のかなりの割合を生み出します。PM10には、建設現場などからの粉塵、山火事とブラシ/廃棄物の燃焼、花粉、バクテリアの破片も含まれます。

PM10もしくはPM2.5の短期または長期の暴露と、死亡率および心血管への影響、呼吸器系の影響、神経系の影響、および癌の発生とは因果関係がある可能性が高いと言われています。動物毒性学的研究、対照ヒト曝露研究、疫学研究を含む長年の研究により、健康被害と相関関係がある事が多数報告されています。

特に、年齢(子供及び高齢者)、心血管や呼吸器における基礎疾患、人種や民族性、社会的経済により、暴露の影響が異なり、社会的経済的地位の低い地域社会の住民がより高い濃度のPMにさらされていることもわかっています。

PMにおける国家環境大気質基準(National Ambient Air Quality Standards、NAAQS) の最後の見直しは、2020 年 12 月に行われました。その見直しにおいてEPAは、NAAQSを改定せずPMの一次および二次生成粒子の基準を維持しました。そしてEPAは、2020年の最終決定の公表後、複数の締結国や事業者などにこの最終決定に対する意見を求めました。

そして、それに対するコメントに基づき、EPAは、2021年6月に、「2020年PMにかんする NAAQS最終決定」を再検討する決定を発表しました。そして現在まで、EPAは,科学的証拠と技術的情報が更新され,現行の基準が適切ではない可能性があると考え、再検討を行っていました。

EPAは、特に2020年政策アセスメント(Policy Assessment)が、PM2.5一次粒子の基準について適切性を疑問視すると結論付けたことを重視していす。一方で、このアセスメントはPM10一次粒子やPM二次生成粒子の基準については適切と結論づけていました。

これに加え、クリーンエア科学諮問委員会(Clean Air Scientific Advisory Committee、CASAC)では、多くの人が年間のPM2.5一次粒子の基準を8.0~10.0 µg/m3に改定することを支持し、10.0~11.0 µg/m3を支持する人は少数でした。一方、CASACでは、24時間あたりのPM基準の改訂については、結論に達しませんでした。

CASACの大多数は、25〜30μg/mの範囲に修正する必要があるとする一方、CASACの少数派は現在の基準を維持することを推しました。

この提案の改定内容:

最終的にEPAは、2020年政策アセスメントが基準値の妥当性に疑問を呈する科学的証拠と情報があると結論付け、CASACで指摘指摘された通り年間のPM2.5一次粒子の基準値を、現行の12.0μg/m3から9.0~10.0 µg/m3に改定することを提案しました。

米国のほとんどの地域では、今回改定が提案されている国家環境大気質基準の年間基準が地域の管理基準となっており、今回の改定の影響は米国全国に渡り、PMの削減ができると期待されています。PM2.5一次粒子の基準以外に、以下の6点の基準変更の提案がなされました。

  • 現行の24時間あたり(短期最高値)のPM2.5一次粒子の基準(38.0 µg/m3)は維持する

この件に関して、EPAはより厳しい年間基準により、24時間当たりのピーク濃度の両方が低下すると考え、24時間当たりの基準は維持したままとなりました。この値は、十分な安全マージンを備え、しかし必要以上に厳しいわけではない基準としてEPAは考慮しました。またCASACのアドバイスを適切に考慮したと考えています。

  • 現行の年間のPM10一次粒子の基準は維持する
  • 現行の24時間あたり、もしくは年間のPM2.5二次生成粒子の基準は変更しない
  • 現行の24時間あたり、もしくは年間のPM10二次生成粒子の基準は変更しない

PMの二次生成粒子の基準については、可視性、気候への影響、および材料からの影響に焦点が当てられています。

特に可視性(太陽光を適切に通すかどうか)への影響については、視認性障害に対しての定量分析に基づいた科学的根拠に変更や追加はなく、24時間当たりのPM二次生成粒子の基準を満たす地域では、光の消失レベルも上限を下回る標準値であったため、EPAは変更を行う必要がないという結論に達しました。

  • EPAは、PMに関するNAAQSの大気質指標(AQI)及び監視要件の改定を行う

大気指数(Air Quality Index、AQI)とは、いくつかの国や地域で採用されている大気汚染の程度を示す指標で空気中の粒子状物質(PM2.5)や二酸化硫黄などの汚染物質の濃度を測定し、空気の汚染度を指数化したものです。AQIの測定方法やその基準については、今回のPM2.5一次粒子の基準値の改定と整合性が取れるような改定を行います。

  • PMに関するNAAQSに関連する他の主要な案件についても改定を行う

データ計算の更新、参照および同等の方法の承認、低濃度測定を考慮した品質保証統計計算の更新、PMメソッドの改善をサポートするための更新、環境リスクのある地域社会を考慮したネットワーク設計、およびNAAQS汚染物質のプローブおよびモニタリング経路配置基準の更新などが含まれます。

EPAが求めるコメント:

今回、EPAは、この24時間あたりのPM2.5もしくはPM10(35 µg/m3)の基準を維持しましたが、今後最大下げ幅11 µg/m3である24 µg/m3にまで下げるかどうかについての意見を求めています。また、年間と24時間当たりの値の組み合わせやそのアイディアをサポートする科学的根拠についても、コメントを求めています。さらに、AOIに関する改定についても意見を求めています。

EPAはNAAQSにおけるPM基準を超える高濃度PM地域があった場合の執行ツールを使用するとしていますが、今回はNAAQSの実施プログラムの変更を提案しているわけではないため、実施または指定に関連する特定の提案についてコメントを求めていません。

参考:

粒子状物質(PM)に関する国家大気質基準の再検討

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