米国|EPA、TSCAの下での累積リスク評価に関する一連の原則と、それをTSCA第6条リスク評価において特定のフタル酸系化学物質がもたらす累積リスクの評価に適用する案
フタル酸の単独もしくは累積リスク評価方法に対するパブリックコメントとピアレビューを求める
2023年02月24日、米国環境保護庁(EPA)は、有害物質管理法(TSCA)に基づく累積リスクを評価するための一連の原則と、TSCA第6条のリスク評価を受けているフタル酸エステル化学物質によってもたらされる累積リスクの評価にこれら原則を適用するための方法を発表し、パブリックコメントを求めました。
ここでは、「有害物質管理法(TSCA)に基づく累積リスクを評価するための一連の原則の背景」「累積リスク評価の原則の内容」「フタル酸エステル類の累積リスク評価の背景」「フタル酸エステル類の累積リスク評価の内容」について記事になっています。
有害物質管理法(TSCA)に基づく累積リスクを評価するための一連の原則の背景:
これまで、環境保護庁(United States Environmental Protection Agency、EPA)は、主に単一の化学物質によってもたらされるリスクを調べることによって、TSCA法の下で行われるリスク評価を行ってきました。
しかし、多くの場合人々は同時に似たような効果を持つ複数の化学物質にさらされます。このようなケースでは、複数の化学物質による健康への複合リスクを調べることが、人間の健康へのリスクを評価するための最良の方法であるはずです。つまり、EPAの化学物質安全汚染防止局では、人々が一度に複数の化学物質にさらされるリスクを考慮できる科学的ツールの開発を目指しています。
この「累積リスク評価アプローチ」は、複合的なリスクをより適切に評価し、累積的な化学物質リスクを評価することで、様々な化学汚染にさらされている地域社会に有用な情報が提供できます。
累積リスク評価の原則の内容:
EPA の「Draft Proposed Principles of Cumulative Risk Assessment Under the Toxic Substances Control Act(有害物質規制法に基づく累積リスク評価原則(案))について」では、累積リスク評価とは何か、また TSCA の科学的・規制的状況においてどのように使用され得るかについて発表されています。
累積リスク評価は、常に最良の方法であるとは限らず、TSCAリスク評価が法定期間内に完了しない可能もあります。また、それぞれの化学物質のリスク推定値はまだ開発されておらず、今回EPAは個々の場合の累積リスク評価を決定しているわけではありません。しかし、化学物質が毒性学的に十分に類似しており人々が同時に複数の化学物質に暴露されることが判明した場合、現段階でも適切に累積リスク評価がされる必要があります。
そこで、今回は累積的なリスク評価や新たに発見したリスクを発表・提案するのではなく、複数の化学物質の累積リスクの評価の方法論を提案し、コメントを求めています。今回の「累積リスク評価の原則」は、複数の化学物質を複合的にリスク評価するための最初のステップとなっています。
フタル酸エステル類の累積リスク評価の背景:
フタル酸エステル類は、プラスチックをより柔軟で耐久性のあるものにするために、ポリ塩化ビニル製品を含む多くの工業製品および消費者製品に使用される化学物質のグループです。工業製品および消費者製品に広く使用されているため、人々は多くのフタル酸エステルにさらされる可能性があります。フタル酸エステル類は食品中に見つかっており、ヒトの血液サンプルでも検出されています。
数多くの実験動物研究により、出生前のフタル酸エステル曝露が「フタル酸症候群」として知られる雄の発達と生殖に影響を与える可能性があることが実証されています。
EPAでは現在、フタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)、フタル酸ブチルベンジル(BBP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジイソブチル(DIBP)、フタル酸ジシクロヘキシル(DCHP)といった、TSCAの優先度の高い物質に指定されているフタル酸エステル5種と、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)といったメーカーから要求されたリスク評価の対象となるフタル酸エステル類2種についてリスク評価を実施しています。
フタル酸エステル類の累積リスク評価の内容:
EPAは、「有害物質取締法(TSCA)に基づきフタル酸エステル類を、要求した優先度の高いフタル酸エステル類及び製造業者の累積リスク評価手法案」において、フタル酸エステル類の化学物質を今回発表した累積リスク評価手法で評価することを提案しています。
つまり、EPAは、DEHP、BBP、DBP、DIBP、DCHP、およびDINP(ただしDIDPは含まない)は毒物学的に類似しており、相加的・複合的・累積的な危険をもたらすとして、リスク評価に反映する必要があると判断しました。そして、米国市民はこれらのフタル酸エステルに同時曝露されているとして、TSCAに基づく累積リスク評価のためにこれらのフタル酸エステル類をグループ化して評価することを提案しています。
この提案に関するコメントは発表日の60日後まで募集されています。今後EPAは、2023年5月8〜11日に公開仮想会議を開催し、累積リスク評価の原則とその枠組みをピアレビューします。このレビューの内容は科学的アドバイスと推奨事項に組み込まれます。
参考:
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