ハイドロフルオロカーボンの輸入において手続き違反を行った事業者に対する執行措置内容
2023年3月2日、米国環境保護庁(EPA)が、気候変動に関する関係諸国の関与を支援する取り組みとして、ハイドロフルオロカーボンの輸入を管理するための執行措置を発表しました。ここでは、「執行措置の背景」「執行措置の内容」について、記事になっています。
執行措置の背景:
ハイドロフルオロカーボン(hydrofluorocarbons、HFC)は、冷凍および空調機器で一般的に使用されていますが、大気中に放出されると温室効果ガスとして二酸化炭素の数千倍も地球温暖化に影響がある物質です。
1987年に一般にフロンと呼ばれたクロロフルオロカーボンの全面廃止が決定し、その代わりに代替フロンとして使われるようになりました。しかし、クロロフルオロカーボンよりオゾン破壊性は小さいものの、HFCにもオゾン層破壊の性質があり、これは代替フロンとして使用開始当時からわかっていたため、次世代の代替冷媒開発が進む間の暫定的使用が前提でした。
そのため、モントリオール議定書によってすでに2020年の全面廃止が決定され、その後特定フロンとして分類されるようになっています。このような性質のため、HFCは、バイデン政権下では、超党派のAIM法(American Innovation and Manufacturing Act of 2020)の下で、温室効果ガスとして、温室効果ガス報告プログラム(Greenhouse Gas Reporting Program、GHGRP)の施行の対象となっています。
GHGRPでは、年間約8,000の施設が排出量を報告する必要があり、報告されたデータは毎年10月に一般に公開されます。米国は、世界規模で2036年までにHFCの生産と消費を段階的に85%削減することに合意しており、この報告プログラムを行うことで、モントリオール議定書のキガリ改正に定められた国際的なHFCの段階的削減を実現させようとしています。
米国はこのHFCを段階的削減により、2100年までに最大0.5°Cの地球温暖化が回避できると考えています。このため、米国環境保護庁(Environmental Protection Agency、 EPA)は各国の段階的廃止を前進させるためには、HFCの生産と消費、輸出入の正確な報告を必須事項としています。
以上の理由から、EPAはHFC輸出入に関する手続き制度の遵守は米国のHFC段階的削減プログラムの施行に重要で、違法輸入はこのプログラムを弱体化させ、ルールに従う企業に不利益をもたらし、地球温暖化の一因となるとしています。
そのため、2020年、EPAは、AIM法に基づく最初の違反通知(Notices of violation、NOV)を、規制物質を輸入に際して手続きを怠った違反者に対して発行しました。また、2022会計年度において、EPAは米国税関国境警備局と協力し、173,000世帯に年間電力を供給することで放出される889,000メートルトン以上の二酸化炭素と同じ温室効果を持つHFCの違法輸入を防止しています。
執行措置の内容:
今回、EPAは温室効果ガスであるHFCの使用を削減するという国内および国際的な目標を掲げ、この目標を確実に施行するためのいくつかの施行措置を発表しました。これらの民事罰には、輸入量を報告しなかったHFC輸入業者との和解がすでに成立している3件が含まれています。
この3件では、Artsen Chemical America, LLCは247,601ドルの罰金、Harp USA, Inc.は275,000ドルの罰金、および IGas Companies(Assured Comfort AC Inc、BMP International, Inc、BMP USA, Inc、Cool Master USA LLC、Golden G Imports LLC、LM Supply、Scales N Stuff, Inc.を含む企業グループ)は総計382,473ドルの罰金が科されています。
EPA は、既にNature Gas Import and Export, Inc、Waysmos USA, Inc. Oldach Associates, LLCに対しても違反通知を発表しており、これら HFCs の報告を怠った輸入業者に対しても、同様の措置を進める予定です。また、今後も報告義務を怠った企業にも積極的に同様の措置を進める予定です。
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