NHTSA、軽自動車に自動緊急ブレーキシステムを義務化する規制案を通知
2023年6月13日、運輸省(DOT)の道路交通安全局(NHTSA)は、規則制定案(NPRM)として、軽自動車に対して、歩行者を対象として含んだ自動緊急ブレーキ(AEB)を要求する自動車安全基準を提案しました。超党派インフラ法では、すべての乗用車にAEBシステムを装備することを要求する規則を公布するよう指示しており、DOTはそれに対応する形で今回この規則を提案しています。ここでは、「背景」「内容」について記事になっています。
背景
2019年、全米の自動車事故による歩行者の死亡者数は6,272人で、全自動車死亡者数の17%を占めています。この数字は近年増加の傾向をみせています。また、警察の報告では、軽自動車の追突事故が年間220万件近くあり、1,798人が死亡、574,000人が負傷しています。
自動緊急ブレーキ(automatic emergency braking、AEB)システムは、さまざまなセンサー技術とサブシステムを連携させ、車両が他の車両、主に先行する車両に衝突しそうであることを検知し、ドライバーがブレーキをかけていないもしくは弱くかけている場合に自動的にブレーキをかけるシステムのことを言います。
このシステムは、主にレーダーとカメラ画像ベースのセンサーを使用していますが、現在ではレーダーとサーマルセンサーを使用するシステムも登場しています。AEBシステムは、歩行者との衝突も検知して対応するものもあり、このシステムをAEBの中でも特に歩行者AEB(pedestrian automatic emergency braking、PAEB)と呼ばれています。
様々なテストにより、近年このシステムが暗闇のテスト条件下で歩行者の衝突を回避できることが示されています。
2022年1月、運輸省(Department of Transportation、DOT)は、国家道路安全戦略(National Roadway Safety Strategy、NRSS)を発表しました。DOTはNRSSを通じて、全米の交通機関が道路、街路、ネットワークの計画、開発、運用を行えるよう、コンプリート(完全な)・ストリート政策(Complete Streets policies)の実施や支援を進めています。
コンプリート・ストリート政策では、歩行者を含むすべての道路利用者にとっての安全性、快適性、目的地への接続性を優先し、州や救急医療サービス機関との連携に重点を置いた安全システムの採用を奨励し、技術支援をおこなっています。
DOTの道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration、NHTSA)は、より安全な車両を提供するという役割を持つ部門です。NHTSAは2010年、新車アセスメントプログラム(New Car Assessment Program、NCAP)の一環としてAEBシステムの試験を開始し、この技術をめぐるそれぞれの研究と進捗について報告しています。
NHTSAは、2011年モデルのNCAPの「推奨先進技術」に前方衝突警告(Forward Collision Warning、FCW)システムを含め、2015年11月にはこのNCAPプログラムに衝突被害軽減ブレーキ(Crash Imminent Braking、CIB)とダイナミックブレーキサポート(Dynamic Brake Support、DBS)技術を追加し、これらの技術の評価を2018年モデルから開始しています。
直近では、NHTSAは2022年3月のNCAPに関する意見募集を参考にAEB試験の改正を提案しています。また、NCAPとは別に、2016年3月にはNHTSAと道路安全保険協会(Institute for Highway Safety、IIHS)は、米国軽自動車市場の99%以上を占める20の自動車メーカーが、2022年9月1日までにほぼすべての新型軽自動車に低速AEBを標準装備することを約束したと発表しました。
現在までにNHTSAは、PAEBテクノロジーを含むAEBを新規の乗用車に要求するという目標のため、例えば車両の高スピード時や暗闇時でのAEBの試験方法を改正するなどを行い、同時に情報の収集や意見募集を積極的に行っています。
内容
現在、NHTSA では、AEBシステムはすでに成熟レベルに達しており、すべての新規の軽自動車に義務付ける準備が整っていると考えています。そのため、今回の規則制定案の通知(Notice of proposed rulemaking、NPRM)では、追突事故や歩行者との事故の頻度と深刻度を低減できるAEBシステムを軽自動車に義務付ける新たな連邦自動車安全基準(Federal Motor Vehicle Safety Standards、FMVSS)を提案しています。
具体的には、先行車両もしくは歩行者に対応するAEBシステムに関して4つの要件を基準に含めることを提案しています。
- 新規の軽自動車は時速10km以上の前進速度でドライバーにFCWを提供するAEBシステムの搭載が義務付けられています。NHTSAは、聴覚と視覚を通じてFCWを提示することを提案しています。また、触覚などの追加警告モードも認められています。
- 新規の軽自動車は先行する車両や歩行者との衝突が迫っている場合、前進速度が時速10kmを超えると自動的にブレーキをかけるAEBシステムの搭載が義務付けられています。
- ②のAEBシステムは、決められた試験手順において、衝突を防止することが求められています。決められた試験には、先行車両を使用した試験が3つ、歩行者用マネキンを使用した試験が4つ含まれています。例えば、歩行者テストを日中と暗闇の両方で行うことが提案されています。また、先行車両のテストでは、2つの誤検知テスト(鋼鉄製の溝板の上を走行することと、駐車中の2台の車両の間を走行すること)が含まれています。
- 車両はAEBシステムの誤作動を検知し、ドライバーへの通知が求められています。誤作動の原因として、積雪やゴミ、濃霧、太陽光のまぶしさなど、視覚的にセンサーの誤作動を起こさせるもののみが含まれています。
今回、最終規則の公表から4年以内に、すべてのAEB要件が段階的に導入されることが提案されています。すべての車両は、3年以内に先行車両に対するAEBに関連するすべての要件と、PAEBのすべての昼間試験要件を満たす必要があります。
ただし、暗闇での試験に関しては、昼間試験より幾分低い要件が提示されています。また、少量生産の製造業者、最終段階にのみ関わる製造業者、改造を専門とする製造業者には、すべての要件についてさらに1年間の猶予が与えられる予定です。
参考
連邦自動車安全基準:軽自動車自動緊急ブレーキシステム
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