合併前通知と報告の内容を改正し、独占禁止法に抵触するかもしれない合併および買収を初期の段階で審査
2023年6月29日、クレイトン法のセクション7A(d)に従い、連邦取引委員会(FTC)は、ハート・スコット・ロディノ独占禁止法(HSR)を実施する合併前通知規則、合併前通知および報告書の形式および説明書の改正を提案し通知しました。この提案に関するコメントを2023年8月28日まで募集しています。ここでは「背景」「内容」について記事になっています。
背景
現在、クレイトン法(Clayton Act)およびその下の規則では、合併および買収の当事者に対し、合併前届出書(Hart-Scott-Rodino Antitrust Improvements Act(HSR)届出)を連邦取引委員会(Federal Trade Commission、FTC)および司法省反トラスト局担当の司法次官補に提出することと、提出後は取引を完了せずに少しの間待機することを義務付けています。
この報告および待機期間の要件は、FTCが提案された合併または買収が米国連邦法第 15 条のクレイトン法第 7 条を含む独占禁止法に違反する可能性があるかどうかを判断でき、さらに必要に応じて、反競争的買収を差し止めるために連邦裁判所に差し止め命令を求められることを目的としています。
このため、クレイトン法では、提案された取引が独占禁止法に違反する可能性があるかどうかを判断するために、合併および買収の当事者に対し、通知もしくは報告書に必要かつ適切な形式で取引に関する情報と文書資料を記載することを求めています。
HSR届出後の初期審査と判断を実施するこの「待機時間」はもともと非常に短く、さらに毎年提出されるHSR届出の数が多いことから、以前よりFTCは通知もしくは報告書の形式の改正を考えていました。
加えて、近年
①ビジネスを行うために市場がダイナミックに変化し成長している
②買収に伴う商取引の多様化と複雑化が増加している
③外国の補助金が米国内の競争プロセスを歪めたり、買収後の競争を弱体化させたりすることも考慮しなければならない
④FTCが取引の潜在的な競争上の影響をすべて審査する取り組みを強化している
⑤FTCによって調査される取引の多くは別の管轄機関よっても同時に調査されている、といった5点の理由で、取引が反競争的買収であるか否かを判断することが難しくなっています。
内容
今回の規則制定案の通知(Notice of proposed rulemaking、NPRM)において、FTCは規則、通知もしくは報告書の形式および説明書を修正し、HSR届出に必要とされている情報を追加することを提案しています。これらの変更により、30日間の待機期間中に、合併および買収の当事者が競争上の懸念を引き起こしたり、調査の範囲を狭めたり調査の必要性を減らしたりする取引を、FTCが詳細な調査により特定することができ、取引の初期審査の効率と有効性を向上することができます。
また、これらの修正には、2023年連結歳出法(Consolidated Appropriations Act)に含まれている2022 年の合併出願手数料近代化法 (Merger Filing Fee Modernization Act of 2022) によって義務付けられている「情報収集」を実施するための変更も組み込まれています。
さらに、FTCは規則における提案された文章的変更と事務手続き的変更を有効にするために、内容説明の修正も提案しています。加えてこのNPRMでは、特定の補助金に関する情報収集を実施するための変更も提案しています。
具体的には、米国にとって戦略的または経済的脅威となる事業体または国の補助金が競争プロセスを歪めたり、買収後の競争を弱体化させる方法で会社のインセンティブを変更したりする可能性がある取引は、外国の事業体から受け取った補助金に関する情報を届出において記載・提供する必要がでてきます。
これらの変更案は、提出される届出の形式の再編成と共に、新しい内容の追加の両方を行うことで、合併前通知プロセスが改善されると考えられます。 さらに、これらの変更により、2022 年の合併出願手数料近代化法が適切に施行されることになります。
参考
合併前通知、報告および待機期間要件の改正を提案
注目情報一覧
新着商品情報一覧
調査相談はこちら
概要調査、詳細調査、比較調査、個別の和訳、定期報告調査、年間コンサルなど
様々な調査に柔軟に対応可能でございます。
- ●●の詳細調査/定期報告調査
- ●●の他国(複数)における規制状況調査
- 細かな質問への適宜対応が可能な年間相談サービス
- 世界複数ヵ国における●●の比較調査 など