司法省、商務省、財務省が米国の国家安全保障のための制裁や輸出管理などに関する共同コンプライアンスノートを発行
2023年07月23日、米国の司法省、商務省、財務省のそれぞれ担当部門が、米国の制裁、輸出管理、およびその他の国家安全保障法に適用される自主的な自己開示ポリシーを共同で発表しました。この共同コンプライアンスノートでは、3つの機関による共同の取り組みを示し、政府機関の国家安全保障に関わる米国の執行・制裁および輸出法の遵守について民間ビジネス界にガイダンスを提供しています。
概要・背景
ロシアによるウクライナに対する侵攻の後、米国政府は国際的なパートナーや同盟国と共に、ロシアの軍事力を低下させようと、前例のない範囲と規模の制裁措置と輸出規制を実施しています。米国では、まず米国財務省外国資産管理室(US Department of the Treasury’s Office of Foreign Assets Control、OFAC)と米財務省(Department of Commerce’s Bureau of Industry and Security、BIS)が歩調を合わせて米国の制裁法や輸出管理法の下で規制を施行し、さらに司法省(Department of Justice、DOJ)が2省と協力してこれらの法に違反した者を訴追することを行っています。しかし、3省のこうした努力にもかかわらず、制裁や輸出規制を回避する悪質な行為が続いています。最も一般的な手口のひとつは、第三者の仲介業者の関与を偽装し、真の取引業者の身元を不明瞭にして、規制から回避をしています。そこで今回、ロシア関連の制裁および輸出管理逃れの事例を説明した2023年03月02日の共同コンプライアンスノートに続く2度目のコンプライアンスノート(3省の共同であるため、通称トライシール(3つの印)コンプライアンスノート)を発表しました。
DOJの国家安全保障担当司法長官は、「米国の企業は機密技術を保持し、また金融システムにも参加しているため、米国の国家安全保障を守る上で重要な役割を果たしている」と述べ、「潜在的な制裁や輸出管理違反を知ったらすぐに名乗り出る企業はこれらの自己開示ポリシーによって保護されるべきである」との考えを示しています。また、国家安全に関して商務省の担当である輸出執行担当商務次官補も、「最先端のテクノロジーが悪意のある人の手に渡ることを防ぐことが必要であり、企業は規則に違反した可能性がある場合すぐに報告することが必要である」という考えを示しました。加えて、OFACの責任者も、「敵対者が米国や同盟国との国際的な制裁と輸出管理を回避するために洗練された仕組みを使用しているため、政府機関と民間企業は自由闊達な意見交換と情報開示を行い、自主的で開示的な社会を目指す必要がある」という考えを示しました。今回、DOJ、BIS、OFACは、それぞれの省の最近のコンプライアンスにかかわる事案の内容や、国際的な金融犯罪を行うネットワークについて注意喚起を行い、この自己開示ポリシーの重要性を強調しました。
注目すべき内容
DOJ、BIS、OFACより、主に以下の内容が記載されたコンプライアンスノートの共同発表が行われました。
- 金融犯罪執行ネットワーク(Financial Crime Enforcement Network、FinCEN)のマネーロンダリング防止および制裁内部告発プログラムは、銀行秘密法の違反に加えて、米国の貿易および経済制裁の違反について政府に情報を提供すると、その告発者にインセンティブ(奨励、報酬の意)がある仕組みとなります。
- 民間企業は、潜在的な違反を発見した場合、それが管理違反であろうと刑事違反であろうと、速やかに開示し、是正する必要がある。
- 以上のことは、民間企業のみならず、米国の国家安全保障および外交政策に関する政府の活動についても、警告されています。
参考情報
■司法省、商務省、財務省が自主的な自己開示に関する共同コンプライアンスノートを発表
産業安全保障局(BIS)とは?
米国の産業安全保障局(Bureau of Industry and Security, BIS)は、米国の輸出の拡大を促進しつつ大量破壊兵器の拡散の阻止を図ることを目標にする商務省の一機関で、国家安全保障と高度産業技術に関する問題を扱っています。BISの活動には、効果的で効率的な方法で物品や技術の輸出を統制する輸出規制や反ボイコット・公共安全法令を施行すること、輸出規制と戦略的貿易の問題に関して他国と協力しまた時には援助すること、米国の産業界が国際的な武器規制協定を遵守するよう補助すること、米国の防衛産業の基盤の成長可能性を監視すること、国家の基幹施設の保護を行うため指導と協力を促進することが含まれています。このため、BISは輸出管理規則(Export Administration Regulations、EAR)に基づき安全保障上の脅威などを理由に、特定の外国企業、研究機関、個人等の名称をエンティティリスト(禁輸措置対象リスト)として公示し、輸出規制を行っています。このリストにはファーウェイなどの中国系企業が含まれており、リスト上の企業との取引には、輸出許可が必要か否かを明らかにするための輸出管理分類番号 (Export Control Classification Numbers、ECCN)が必要となっています。
米国財務省外国資産管理室(OFAC)とは?
米国財務省外国資産管理室(US Department of the Treasury’s Office of Foreign Assets Control、OFAC)は、米国人もしくは非米国人が規則によって禁止されている取引や行動を起こした場合、制裁を加える政府機関です。制裁の対象は、米国の安全保障を脅かす多岐にわたる行為で、特定の地域や国(例えば,クリミア、キューバ、イラン、北朝鮮、シリアなど)、その政府や人(例えば、テロリスト、麻薬密売人、大量破壊兵器の拡散者など)に物やソフトウェア、技術の輸出を行うこと、これらの金融機関に新しい貸付や持分を提供すること、石油・ガス関連事業活動を支援すること、関連企業の社債や新しい金融手段を取り扱ったりすることなどが含まれます。これらの行為に対し、米国での資産などの凍結を行います。
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