EPA、一次銅製錬に関するNESHAPの改正を提案し、意見募集
2023年07月24日、米国環境保護庁(EPA)は、2022年01月11日に連邦官報に掲載された「排出源:一次銅製錬」カテゴリーの有害大気汚染物質の国家排出基準(NESHAP)の改正案を補足する、補足通知を発表しました。EPAは、今回の補足通知で、主要排出源区分のリスクと技術のレビュー(RTR)、および地域排出源区分の技術レビューの結果を背景に、いくつかの内容の改定を提案しています。EPAは、この提案に関係する意見を2023年09月07日まで受け付けています。
背景
今回の提案で影響があると考えられるおもな業界は、北米産業分類システム(NAICS)コードの331410である一次銅製錬に関わる事業体です。このカテゴリーの施設は、乾式製錬(熱を加えて有用な金属を回収する方法、pyrometallurgical process)プロセスを使用して銅鉱石精鉱から銅を製造する「一次銅製錬」という作業を行う施設です。一次銅製錬を行う施設(発生源で排出源)からは、有害大気汚染物質の金属(HAP(Hazardous Air Pollutants) metals)と呼ばれる、アンチモン(antimony)、ヒ素(arsenic)、ベリリウム(beryllium)、カドミウム(cadmium)、クロム(chromium)、コバルト(cobalt)、鉛(lead)、マンガン(manganese)、ニッケル(nickel)、セレン(selenium)化合物を排出する可能性があり、有害大気汚染物質の国家排出基準(National Emission Standards for Hazardous Air Pollutants、NESHAP) の対象となっています。2002年06月12日に公布された最終規則では、銅精鉱の乾燥機、製錬炉、スラグ洗浄容器、および既存の転炉について、HAP金属の代わりに粒子状物質(particulate matter、PM)の基準が設定されています。
EPAは、大気浄化法(Clean Air Act of 1963、CAA)の下で、達成可能な最大制御技術(maximum achievable control technology、MACT)を土台とした基準となるように、「排出源:一次銅製錬」カテゴリーにおけるNESHAP基準のリスクと技術の見直し(risk and technology review、RTR)を行うことが義務付けられています。そのため、2022年01月11日、EPAは2002年の最終規則から、以下の規則値の変更を提案していました。
- 既存及び新規排出源における陽極精錬からの金属HAPの代替としてのPM規制値。
- 既存及び新規の排出源における製錬炉のルーフラインベントからの金属HAPの代替としてのPM規制値。
- 既存及び新規の排出源における転換器からの金属HAPの代替としてのPM規制値。
- 既存及び新規の排出源における陽極精錬工程のルーフベントからの金属HAPの代替としてのPM規制値。
- 影響を受ける銅精鉱乾燥機、転換部門、陽極精錬部門、製錬容器からの煙突またはその他の排気口の既存および新規の組み合わせによる水銀の規制値。
- 新しいコンバーターのための金属HAPの代用としてのPM規制値。
注目すべき内容
今回の補足通知では、2022年01月11日以降に得られた情報や測定値を基に、先に提案されたRTRに以下のことが補足され通知されています。
- 2022年01月11日に提案されたRTRには地域排出源区分の技術レビューが含まれていたが、今回の補足提案には、地域排出源区分の変更は含まれていない。
- 主要排出源区分に対する必要な技術レビューを完了するために、EPAは、以下の汚染物質に対するHAP基準の追加を提案しています:ベンゼン、トルエン、塩化水素(HCl)、塩素、多環芳香族炭化水素(polycyclic aromatic hydrocarbons、PAH)、ナフタレン、およびダイオキシン/フラン(dioxin/furans、D/F)。
- 2022年01月11日に提案されたRTRで提案された点を評価し、その内容を通知しています。
- 2022年規則案の公表以降に収集された追加情報に基づき、2022年01月11日のRTR提案において当初提案された規定の一部の基準改定も提案しています。
EPAは、この補足通知の内容に関係する意見を2023年09月07日まで受け付けています。
参考情報
■一次銅製錬施設に対する有害大気汚染物質の国家排出基準(NESHAP)の改正案の補足通知
有害大気汚染物質の国家排出基準とは
有害大気汚染物質の国家排出基準(National Emission Standards for Hazardous Air Pollutants、NESHAP)は、有害大気汚染物質(Hazardous Air Pollutants、HAP)の固定発生源(排出源)についての基準です。有害大気汚染物質は、動物もしくはヒトの癌や生殖機能への影響や先天性欠損症などの他の健康への重篤な影響、または環境への悪影響を引き起こすことが知られている、または疑われる汚染物質のことを指します。EPAは、有害大気汚染物質の排出源として規制の対象となる施設の検査を実施し、法令に遵守しているかを判断します。
EPAは、「排出に関する報告書と記録の確認」「施設担当者との面談」「排出する場所があるプロセスの検査」「施設の設計および作業慣行の基準に関する検査」「漏れ検出と修理方法の見直し」について、NESHAPに基づいて検査します。NESHAPの対象となる排出源として、施設は通常、少なくとも2年に1回、州または地方事務所による評価を受けます。そのため、HAPを排出する、もしくはその可能性のある施設(民間の場合、たとえば事業体の製造工場など)は、各排出源カテゴリーのNESPAHの内容やその改定を知る必要があります。
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