労働省賃金労働局、「ホワイトカラー」職の水準の引き上げとタイムリーな変更を行える規則を提案
2023年09月08日、労働省の賃金および時間課は、役員、管理職、専門職、外勤営業職、コンピューター関連の従事者に対する最低賃金及び時間外労働手当の適用除外に関する規則の更新及び改定を提案し、通知を行いました。ここでは、いわゆる「ホワイトカラー」職となる労働者の年間総報酬水準を引き上げることにより、現在「ホワイトカラー」職として雇用されている低賃金の労働者が「非ホワイトカラー」職となり、企業はその労働者に対する時間外割増賃金の支払い義務が生じる可能性があります。この提案の通知に関する意見を2023年11月07日まで募集しています。
背景
労働省(Department of Labor)の賃金および時間課(Wage and Hour Division)は、公正労働基準法(Fair Labor Standards Act、FLSA)に基づき、対象となる雇用主に対して、週40時間以上働く労働者に通常賃金の少なくとも1.5倍の時間外割増賃金を支払うことを義務付けています。一方で、FLSAは、最低賃金と時間外労働手当の支払いを免除する「適用除外」項目も設けています。この適用除外は、一般的に「ホワイトカラー」または「役員、管理職、専門職(executive, administrative, or professional、EAP)」適用除外と呼ばれています。適用除外に相当するには、以下の3つのテスト条件を労働者がそれぞれ満たすことを要求されています。(1)業務の質や量の変動により減額されることのない、予め定められた固定給の支払い(給与基準テスト、salary basis test)、(2)最低規定額以上の給与の支払い(給与水準テスト、salary level test)、(3)規則で定義されている、役員、管理職、または専門職としての職務(職務テスト)、です。雇用主は、この免除の適用性を立証する責任を負います。
「適用除外」の(1)~(3)のテストの詳細な条件は、歴史的に、どの程度「免除されない仕事を大量に行う低賃金のホワイトカラー労働者」に時間外労働の手当を保護するのか、という考えにより左右されてきました。そのため、基準となるテスト内容は維持する一方で、一般的な収入の増減を考慮して比較するために標準とする給与水準を更新し、例えばそれぞれのテストのしきい値を調整する方法が取られてきています。
注目すべき内容
労働省は、今回の改定で、標準とする給与水準(salary level)を、最も賃金の低い国勢調査地域(現在は南部)のフルタイム給与所得者の週収の35パーセンタイル(週1,059ドル、通年で年間55,068ドル)に引き上げること、また、職務テストで高報酬労働者(highly compensated employee、HCE)とされる年間報酬総額のしきい値を、全国のフルタイム給与所得者の85パーセンタイル(143,988ドル)の年換算週収に引き上げることを提案しています。同省はまた、これらを含んだ全てのしきい値を時間差なく効率的に更新するために、自動更新する事を規則に追加することも提案しています。
この提案により、規則で定義されているテストでは「適用除外」とされる、職務を長時間に行う低賃金のホワイトカラー労働者が最低賃金と時間外労働手当の支払い対象に含まれることになります。同省では、現在の給与水準のしきい値である週給684ドル以上で、今回提案されている給与水準のしきい値である週給1,059ドル未満の労働者が340万人であると見積もっており、今後提案が採用されれば、雇用主がこの枠に当てはまる労働者らに時間外労働手当を支払う義務が生じます。労働省ではこのしきい値を採用することで、労働者が雇用主にとって都合よくEAPとして雇用されているかを判断するための効果的なテストとなることを期待しています。
加えて、同省は、米国準州の給与水準の引き上げも提案しています。従来、同省は連邦最低賃金の適用を受けない準州に対して特別給与水準を設定してきました。2019年規則では、プエルトリコ、グアム、米領バージン諸島、および北マリアナ諸島連邦の労働者について、50州とコロンビア特別区の従業員に適用される週給684ドルという新たな標準給与水準を適用する代わりに、2004年に設定された給与水準である週給455ドルに維持しています。今回、労働省はFLSAを全国に一律に適用するという観点から、これら対象地域の全労働者に50州と同様の標準給与水準を適用することを提案しています。ただし、アメリカ領サモアの労働者のみ、特別給与水準を維持することが提案されています。
また、映画産業に従事する労働者の特別基本給を更新することも提案しています。
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