FTCと労働省、非競争的、不公正、欺瞞的な慣行から労働者を守るために提携
2023年09月21日、米国の連邦取引委員会(FTC)と労働省(DOL)は、労働者を保護するFTCの取り組みを強化する新たな連携を発表しました。この新しい覚書では、労働市場の集中、雇用主に有利な的な契約条件、”ギグ・エコノミー “における労働者の立場などの重要な問題について、FTCとDOLが協力する方法を概説しています。
背景
連邦取引委員会(Federal Trade Commission、FTC)は、の様々な調査により多くの市場はすでに少数の大企業に支配されていると考えています。市場の取引が少数の企業にのみ行われると、市場内での企業間の競争力が低下し、企業は雇用者の賃金を引き下げ、福利厚生を削減し、不安定で搾取的な労働条件を提示し続けることができます。このため、FTCでは、企業による労働者を不利な立場に置く反競争的な契約条件の取り締まりを強化しています。現在FTCでは、雇用契約における競業避止条項(noncompete clauses、同業への転職を禁じること)を禁止する規則案を検討している他、いくつかの委員会命令において労働者保護のための措置を講じています。また、米国の労働市場における競争に悪影響を及ぼす企業間の合併の精査も優先課題としています。
さらにFTCは、労働者、特に継続する雇用関係を持てないことが多い「ギグ・エコノミー」の労働者を狙った、欺瞞的で不公正な行為や慣行を阻止するための行動も起こしています。FTCは、例えば、Amazon、Uberなどに対する訴訟、利益を不当に得る企業に対する進行中の規則制定や罰則違反の通知などで対抗しています。
注目すべき内容
この新協定により、FTCと労働省(U.S. Department of Labor、DOL)は、以下の事柄についての協力体制を確立することを覚書(memorandum of understanding、MOU)として発表しました。このMOUは、労働市場における大企業などによる市場権力の乱用と闘うために独占禁止法を執行することの重要性を確認した大統領の市場競争に関する大統領令に沿ったものです。
- 両機関の間の情報の共有、それぞれの職員に対する相互研修の実施、両機関の権限内での調査活動の提携など、緊密に協力する。
- 両機関が関心を持ち対抗する企業の行為として、企業の談合行為や違法な仕事内容の提供など法的責任を回避するために行われる行為、業務に関連する収益やコストに関する違法な情報開示、競業避止義務や研修返済契約条項などの一方的で制限的な契約条項の賦課、労働市場の集中の程度や企業の収益中心の計算方法による意思決定が労働者に与える影響などを挙げています。
今回の合意は、FTCが行っている強制措置や委員会の規則制定などを労働者保護により活用するための、FTCの行動の一環です。FTCはこのMOUが、全米労働関係委員会と最近交わしたMOUやギグワークに関連するFTCの執行方針声明など、労働者が直面する問題についてDOLとの協力関係を強化するために必要であると考えています。
FTCのリナ・M・カーン委員長は、「労働省との今回の合意は、違法な商行為から労働者を守るための政府全体の取り組みの一環です。労働省とのパートナーシップを深めることで、労働者の賃金を抑制し、優れた福利厚生や労働条件を提供せず、彼らの経済的自由を阻害する企業の違法行為に対して政府全体で取り組む。」と述べました。また、シーマ・ナンダ労働法務官は「労働者にとって不公平で不利益なことは、法を遵守する雇用主にとっても不公平で不利益なことです。このパートナーシップは労働者が働きやすい環境を制限する誤った職業分類や契約条項などの違法行為と闘う2つの組織の助けになる。」と述べました。
覚書にはFTCのリナ・M・カーン委員長とジュリー・A・スー労働長官代理が署名しました。
参考情報
連邦取引委員会と労働省、非競争的・不公正・欺瞞的慣行から労働者を守るために新たな協定に署名
連邦取引委員(FTC)とは
連邦取引委員(Federal Trade Commission、FTC)は、米国における公正な取引を監督・監視する連邦政府の機関です。同国の競争法にあたる法律などに基づき、商業活動に関わる不公正な競争手段、不公正または欺瞞的な行為または慣行を、人・団体・または法人が行わないようにするために設立されています。1914年に商務省(Commerce Department)の企業局(Bureau of Corporations)から独立する形で設置されました。元々は当時の反競争的状況を防ぐ取り組みの一環として、不公正な方法による取引を防ぐことが主な任務とされていました。その後、FTCに反競争的行為を監督する広い権限を与える法律が制定され、1938年には「不公正または欺瞞的な行為または慣行」を防ぐ任務が追加されました。それ以降、FTCは商品取引における消費者保護全般を所掌するようになり、1975年には産業全体の取引規制に関するルール策定の権限が付与されています。その他、消費者プライバシー、児童プライバシーといった個別分野も扱っています。
ギグ・エコノミーとは
ギグ・エコノミー(Gig Economy)とは、インターネットを通じた単発の仕事でお金を稼ぐといった働き方や、そうした仕事でお金が回っている経済のことを例えています。ギグ(gig)とは、ライブハウスなどでギタリストやサックスの演奏者が、ゲストとして一度限りのセッションを行なうこと意味しています。企業側のメリットとして、正社員の雇用と比べてコストが抑えられる点が挙げられます。例えば、システムの開発や営業活動の一部などを、クラウドサービスやギグ・エコノミーに委ねるケースが増えてきています。人手不足で困っている企業にも、単発で仕事を依頼できる経済形態は有用です。労働者にとっても、自由な時間の使い方ができ、例えば、子育てや家族の介護に時間を費やす、都会を離れて田舎に移住する、といった自分が望むライフスタイルに合わせて、仕事をすることができます。しかし、労働者にとっては、デメリットもあります。基本的に、ギグ・エコノミーはフリーランスや個人事業主という位置づけになるため、最低賃金などの賃金面の保障がありません。また、曖昧な部分が多い契約の締結や業務上の秘密や個人情報の保護なども課題となっています。
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