HAP排出を削減する革新的で新しい技術を使用することで、地域排出源も排出削減を維持することを期待
2023年09月22日、米国環境保護庁(EPA)は、2020年大気浄化法の規則を強化し、有害大気汚染を大量に排出する産業施設が「主要排出源」から「地域排出源」に再分類される際に、その排出量を増加することができないように規制することを提案しました。これは、大気汚染防止法に基づく、「主要排出源の地域排出源への再分類」規則の改正案で、主要排出源から地域排出源への再分類を選択する排出源に対し、米国政府による強制力のある許可条件を義務付けています。大気汚染物質を排出するもしくは排出する可能性のある産業施設を持つ事業体に影響があります。
背景
1995年、環境保護庁(Environmental Protection Agency、EPA)は「一度設定されれば、常に設定される(Once In, Always In)」方針を発表し、大規模発生源の有害大気汚染物質(hazardous air pollutant、HAP)排出基準の対象となる施設は、継続してこの基準の対象となると決定しました。この方針は、主要排出源の継続的な排出削減と法令順守を目的としていました。しかし、前政権下で、EPAは2020年11月19日に、「主要排出源は、HAPを排出する可能性を単一のHAPで年間10トン、HAPの組み合わせで年間25トンの主要排出源の閾値未満に低減すれば、いつでも地域排出源に再分類できる」という規則を発行しました。今回、バイデン大統領の大統領令「公衆衛生と環境を保護し、気候危機に取り組むための科学を回復する(Protecting Public Health and the Environment and Restoring Science to Tackle the Climate Crisis Exit)」を受け、EPAは2020年大気浄化法に基づいた規則を見直し、再分類によってHAP排出量が増加することを防ぐ措置が必要である判断しました。
注目すべき内容
今回の提案は、主要排出源から地域排出源への再分類を選択する排出源が排出量を増やす懸念に対処した提案です。
- 今回の提案では、主要排出源から地域排出源への再分類の選択には、連邦政府からの許可条件が設定されます。具体的には、再分類の際に設定される「可能性」の制限値を連邦政府が強制できるようにすることが提案されています。
- 今回の提案は、2018年01月25日以降に再分類に登録した排出源を含め、再分類を選択するすべての排出源に適用されます。
- EPAは、HAP排出を削減する革新的で新しい技術を使用することで、地域排出源への再分類後も排出削減を維持することを期待しています。
これにより、EPAは、再分類のために設定された規制値の継続的な実施が行われ、一層の法令順守が行われるだろうと期待しています。
参考情報
EPA、大気有害物質の排出量の増加を防ぐため、2020年大気有害物質規制の強化を提案
大気浄化法とは
大気浄化法(Clean Air Act、CAA)は、米国で1963年12月に制定された大気汚染防止のための法律です。酸性雨対策やオゾン層の保護が目的で、自動車や工場施設からの二酸化炭素、二酸化硫黄、フロンガス、四塩化炭素などの削減や全廃が主な内容となっています。車両や施設の燃費や排ガス制御について無報告もしくは虚偽報告を行うとアメリカ司法省と環境保護庁から訴訟を起こされ、大気浄化法違反の制裁金が課せられる場合があります。
有害大気汚染物質の国家排出基準とは
有害大気汚染物質の国家排出基準(National Emission Standards for Hazardous Air Pollutants、NESHAP)は、有害大気汚染物質(Hazardous Air Pollutants、HAP)の固定発生源(排出源)についての基準です。有害大気汚染物質は、動物もしくはヒトの癌や生殖機能への影響や先天性欠損症などの他の健康への重篤な影響、または環境への悪影響を引き起こすことが知られている、または疑われる汚染物質のことを指します。EPAは、有害大気汚染物質の排出源として規制の対象となる施設の検査を実施し、法令に遵守しているかを判断します。EPAは、「排出に関する報告書と記録の確認」「施設担当者との面談」「排出する場所があるプロセスの検査」「施設の設計および作業慣行の基準に関する検査」「漏れ検出と修理方法の見直し」について、NESHAPに基づいて検査します。NESHAPの対象となる排出源として、施設は通常、少なくとも2年に1回、州または地方事務所による評価を受けます。そのため、HAPを排出する、もしくはその可能性のある施設(民間の場合、たとえば事業体の製造工場など)は、各排出源カテゴリーのNESPAHの内容やその改定を知る必要があります。
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