アメリカ退職者の団体とキャントウェル上院議員は、薬剤給付管理者(PBM)の透明性を高め、責任を問う超党派の薬局給付管理者透明性法を上院で可決するよう、共同会見で求める
2023年10月13日、上院商務・科学・運輸委員会委員長のマリア・キャントウェル上院議員は、シアトルでAARP(旧称:アメリカ退職者協会)の代表、さらに代表的な薬剤師と共に記者会見を開き、処方薬コストの急激な上昇に注意を喚起しました。さらに薬剤給付管理者(PBM)の透明性を高め責任を問うため、現在上院での通過を待っている超党派の「薬剤給付管理者透明性法」を上院で可決するよう求めました。独立系薬局を営業している薬剤師、AARP、そして超党派を結成する議員は、処方薬のコストを上昇させ、独立系薬局を廃業に追い込む欺瞞的で不公正な慣行が薬剤給付管理者によって行われていると考えており、議員はそれに対抗する法案を現在上院に提出しています。
背景
上院商務・科学・運輸委員会委員長のマリア・キャントウェル上院議員(民主党、ワシントン州選出)は、「薬剤給付管理者(pharmacy benefit managers、PBM)がこのまま存在すれば、独立系薬局の多くは閉鎖され、市民は多種類の薬剤の選択や入手が困難となり、より情報の少なく高価な薬剤を入手しなければならなくなる。」と考えています。そのため、キャントウェル上院議員は2023年01月、チャック・グラスリー上院議員(共和党、アイオワ州選出)ら計14名と共に超党派を結成し、共同でPharmacy Benefit Manager Transparency Act(薬剤給付管理者透明性法)の再提出を行いました。この法案に関して、2023年02月の上院商業委員会の場で、薬剤師、腫瘍内科医、専門家の証言が聴取され、薬剤給付管理者がいかに医薬品流通システムのほぼすべての側面(価格の設定、医療プランがカバーできる医薬品の決定、薬局の払い戻しの決定など)に関与しているかが説明されました。また、米議会予算局により、この法案が成立した場合、今後10年間で7億4000万ドルの財政赤字削減がもたらされるという予備的試算も発表されました。2023年03月には、上院商業委員会においてこの法案が18対9で通過し、現在上院での通過を待っています。
注目すべき内容
2023年10月13日、上院商務・科学・運輸委員会委員長のマリア・キャントウェル上院議員(ワシントン州選出)は、シアトルでAARP(旧称:American Association of Retired Persons、アメリカ退職者協会)代表と共に記者会見を開きました。この際、AARPディレクターであるキャスリーン・マッコール氏が、法案を提出した議員を支持し、薬剤給付管理者透明性法の法案を推薦することを発表しました。マッコール氏は「この法案により多くの高齢者が、必要な処方薬を手に入れることができるようになる」と考え、非常に長い間行われてきたPBMのビジネス慣習に疑問を投げかけると共に、処方薬の薬価などにおける透明性を確保するためPBMに説明責任を果たす要件の必要性を訴えました。
また、ケリー・ロス・ファーマシー・グループの代表兼最高経営責任者であるライアン・オフテブロ氏も記者会見に参列し、PBMがいかに患者の薬剤費を増大させ、彼の薬局に遡及金を課したかを説明しました。オフテブロ氏は、2022年の「ワシントン州住民の4人に1人が、処方薬の価格上昇のために薬の補充を制限したり、抜いたりした」という調査内容も指摘し、地元の薬剤師たちが地域社会で果たす役割と、PBMのビジネス慣行が生み出す課題について説明を行いました。薬局の責任者で薬剤師のアーメド・アリ氏は、「過去25年間東南アジアやベトナム人コミュニティに貢献してきた近くの独立系薬局が診療報酬の低さを理由に最近閉鎖したこと」を指摘し、また「わずか3社のPBMが処方薬市場の80%を支配し、患者や薬局のコストを押し上げる有害な行為を行っており、独立系薬局は医療を提供することが難しくなっている」と指摘しました。
薬剤給付管理者透明性法の法案では、薬価決定の透明性を高め、連邦取引委員会(Federal Trade Commission、FTC)にPBMの市場操作に対する責任を問うよう指示する要件が含まれています。
参考情報
AARPと薬剤師が、処方薬コストの上昇と医薬品業界の中間業者による不公正な慣行に対抗するためのキャントウェル法案を支持
AARPとは
AARPとは、旧称、アメリカ退職者協会(American Association of Retired Persons)であった団体です。AARPは最低50歳以上の会員を中心として持つ団体で、州や国レベルでのロビー活動を積極的に行い、年老いた米国人に影響を与える問題に立ち向かっていることで幅広く知られています。AARPは、財団を設立して様々な慈善活動を行ったり、年配者に向けて運転安全講座を開講したりしています。1960年頃からは、健康管理政策の討論を積極的に行い、公の立場ではメディケア処方薬、改善、現代化法の議会の法案可決に影響を与えています。
米国の薬剤給付管理とは
米国の医療において、薬剤給付管理(Pharmacy Benefit Managers、PBM)という役割があります。これは処方薬を適正に管理するプログラムの下で、第三者(機関)であるPBMが医薬品の給付請求に対して、支給および支払の中心的責務を持つ仕組みの事です。PBMはそれぞれ推奨医薬品リスト(薬局方、formulary)を作成・管理し、それに基づいて医薬品会社への契約、交渉、値引きがなされます。現在、米国で企業および公的保険(メディケアD)で支給される処方薬の大部分である2万件以上の薬剤がPBM管理されていると言われています。連邦取引委員会(FTC)では、PBM市場の競争状況を「激戦区」とみなし、およそ60社のPBM会社が市場に参加しています。代表的な会社として、Express Scripts、CVSヘルス、Prime Therapeutics、ユナイテッド・ヘルス、Catamaran Corporationなどがあります。
連邦取引委員(FTC)とは
連邦取引委員(Federal Trade Commission、FTC)は、米国における公正な取引を監督・監視する連邦政府の機関です。同国の競争法にあたる法律などに基づき、商業活動に関わる不公正な競争手段、不公正または欺瞞的な行為または慣行を、人・団体・または法人が行わないようにするために設立されています。1914年に商務省(Commerce Department)の企業局(Bureau of Corporations)から独立する形で設置されました。元々は当時の反競争的状況を防ぐ取り組みの一環として、不公正な方法による取引を防ぐことが主な任務とされていました。その後、FTCに反競争的行為を監督する広い権限を与える法律が制定され、1938年には「不公正または欺瞞的な行為または慣行」を防ぐ任務が追加されました。それ以降、FTCは商品取引における消費者保護全般を所掌するようになり、1975年には産業全体の取引規制に関するルール策定の権限が付与されています。その他、消費者プライバシー、児童プライバシーといった個別分野も扱っています。
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