米国|有害大気汚染物質の国家排出基準(NESHAP)の「ゴムタイヤ製造」区分の内容を改正する提案

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米国|有害大気汚染物質の国家排出基準(NESHAP)の「ゴムタイヤ製造」区分の内容を改正する提案

EPA、「ゴムタイヤ製造」においてNESHAP基準の対象となっていなかった「ゴム加工」小区分の基準値を提案

2023年11月16日、米国環境保護庁(EPA)は、大気浄化法(CAA)の要求に従い、ゴムタイヤ製造における「有害大気汚染物質の国家排出基準(NESHAP)」の改正を提案しました。具体的には、排出源区分「ゴムタイヤ製造業(Rubber Tire Manufacturing)」の4つある小区分の1つである「ゴム加工」小区分を対象とした排出基準の改正を提案しています。この内容に関するコメントは2024年01月02日まで募集されます。

背景・概要

大気浄化法(Clean Air Act、CAA)第112条では、EPAは、有害大気汚染物質(hazardous air pollutants、HAP)を排出する施設を「(年間10トン以上、またはHAPを組み合わせて年間25トン以上排出する)主要排出源」またはそれ以外の「地域排出源」とし、「有害大気汚染物質の国家排出基準(national emission standards for hazardous air pollutants、NESHAP)」を設定しています。この基準は、その時点における最大限の排出削減技術を参考としているため、一般にMACT(maximum achievable control technology、達成可能な最大限の制御技術)基準と呼ばれます。

EPAは、CAAに基づいてNESHAP基準を8年ごとに改訂することが義務付けられています。この「その時点までの慣行、工程、および管理技術の発展を考慮して」、「必要に応じて行われる」審査を「技術審査」と呼びます。また、有害大気汚染物質の基準が人の健康あるいは環境への悪影響を防ぐために十分な安全マージンを確保しているかを審査する「残留リスク審査」が追加されることもあります。この二つが同時に実施される場合を「リスク・技術審査(risk and technology review、RTR)」と呼びます。

EPAは、2002年07月09日にゴムタイヤ製造区分のNESHAPを公布していました。しかし、「技術審査」と「残留リスク審査」の見直しを行っていませんでした。2016年、環境擁護団体の連合である(ブルーリッジ環境防衛連盟(Blue Ridge Environmental Defense League)は、「ゴムタイヤ製造」区分を含む13の排出源区分のNESHAPの審査実施をEPAに求める「Blue Ridge Environmental Defense League(ブルーリッジ環境防衛連盟)訴訟」を起こしました。EPAは、この訴訟の結果により見直し審査の完了を求められたため、「ゴムタイヤ製造」区分のRTR審査を行い、2020年07月24日に基準を公表しました。さらに、米国コロンビア特別区控訴裁判所においては「Louisiana Environmental Action Network(LEAN判決)」により、EPAは排出源の区分から漏れた未規制の区分に関するHAP排出にも対処する義務があると判断されました。そのため、EPAは2022年10月27日を期限として、現在までの規制では未規制区分であった「ゴムタイヤ製造」の「ゴム加工」小区分の排出HAPの調査を行っていました。今回、EPAは、調査結果に基づいて、「ゴム加工」小区分の新たな排出基準案を提案しています。

注目すべき内容

「ゴムタイヤ製造」の排出源区分では、ゴムコンパウンド(rubber compounds)、サイドウォール(sidewalls)、スレッド(tread)、タイヤビーズ(tire beads)とコード(tire cord)、そしてライナーズ(liners)などのタイヤ構成部品を製造する施設が登録され、現在15の施設がNESHAPの対象となっています。この「ゴムタイヤ製造」の排出源区分は、製造過程の段階ごとにさらに4つの小区分(subcategory)に分かれて、基準が設定されています。4つの小区分とは、「ゴム加工」、「タイヤ製造」、「タイヤコード製造」、「パンクシーラント塗布」です。パンクシーラントとはタイヤチューブに穴が開いた時にパンク穴まで移動して穴を塞ぐものです。「ゴムタイヤ製造」の排出源区分対する2002年NESHAPでは、「タイヤ製造」、「タイヤコード製造」、「パンクシーラント塗布」小区分に対して排出制限を設定していましたが、「ゴム加工」小区分に対して排出制限を設定していませんでした。そこで、今回この小区分に関して排出される全炭化水素(total hydrocarbons、THC)、多環芳香族炭化水素(polycyclic aromatic hydrocarbons、PAH)、フィルターろ過可能な粒子状物質(filterable particulate matter、fPM)と金属HAPを調査・検討し、MACT基準を計算して、以下の提案を行っています。

  1. PAH量はTHC排出量に反映することが分かったため、THC規制値のみを提案。

シリカ含有の場合:新規排出源におけるゴム生産量に対するMACT限界値(単位は一次THC測定範囲でのppm)は2.1g/mg(4,200ポンド/ゴム生産量トン)、既存排出源における限界値は9.4g/mg(18,800ポンド/ゴム生産量トン)

非シリカの場合(単位はシリカ含有と同じ):新規排出源におけるMACT限界値17.2g/mg(34,400ポンド/ゴム生産量トン)、既存排出源における限界値は45.4g/mg(90,800ポンド/トン)

  1. fPMと金属HAP規制値を提案。

fPM:新規および既存排出源における基準値1.70(3,400ポンド/ゴム生産量トン)

金属HAP:新規および既存排出源における基準値0.037(74ポンド/ゴム生産量トン)

  1. 新たな性能試験、監視、記録、報告を提案。

性能試験:新規排出源は始動後180日以内に、既存排出源は最終規則の公布後3年以内に、MACT基準への準拠を実証するための初回性能試験の実施を提案。

記録・報告:排出源の所有者または事業者は、半年ごとの法令遵守に関する要約報告を電子的に提出することを義務付ける提案。

EPAは、以上の提案に関する意見を、2024年01月02日まで募集しています。

参考情報

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