超党派インフラ法における「懸念外国企業(FEOC)」の法定定義の解釈指針案を発表
2023年12月01日、米国エネルギー省(DOE)は、超党派によるインフラ法(BIL)における「懸念外国企業(Foreign Entity of Concern、FEOC)」の法定定義の解釈について、その指針案を発表し、同時に意見募集の通知を行いました。米国内のバッテリーサプライチェーンへのFEOCの参加を制限し、国内バッテリーの材料加工と製造の成長を支援する法定条項が入った解釈指針案となっています。これにより、電気自動車(EV)のバッテリー製造に係わる事業者に影響が及びます。この指針案に続き2つの通知がエネルギー省もしくは内国歳入庁より発表され、それに対する意見が募集されています。
背景・概要
バイデン大統領の就任以来、プラグインEVの販売台数は3倍に増加しています。しかし、米国は、電気自動車(Electric Vehicle、EV)用バッテリーの生産に必要な重要鉱物の加工品の多くを、依然として海外に依存しています。
バイデン・ハリス政権と米国エネルギー省(Department of Energy、DOE)は、2021年の超党派によるインフラ法(Bipartisan Infrastructure Law、BIL)として知られるインフラ投資・雇用法(Infrastructure Investment and Jobs Act、IIJA)と2022年のインフレ抑制法(Inflation Reduction Act of 2022、IRA)の下で、信頼性が高く持続可能なバッテリーサプライチェーン、つまり米国と同盟を組む貿易相手国のみが参加するバッテリーサプライチェーンの構築に力を注いでいます。具体的には、BILによって「DOEのバッテリー材料の加工製造助成金プログラム」を、IRAによって「クリーン自動車税額控除」を施行し、米国内のバッテリーサプライチェーンに「懸念外国企業(Foreign Entity of Concern、FEOC)」が含まれることを制限しています。
BILの下で、いくつかの基準では、外国事業体が「懸念対象とされる外国政府によって所有、支配、 またはその管轄もしくは指示に服する」場合、その外国事業体を「懸念外国事業体」と定義・規定しています。
今回、DOEは法定定義に関する指針案により、以下の重要な用語の解釈を示し、FEOCという用語を明確にすることを提案しています。
- 「外国政府」
- 「外国事業体」
- 「管轄の対象」
- 「所有、支配、または指示の対象」
注目すべき内容
2023年12月01日、DOEは「懸念外国企業(FEOC)」の法定定義の解釈指針案を発表し、同時に意見募集の通知を行いました。この解釈指針案は、「FEOCではない事業体によるサプライチェーンを持つプロジェクトを優先する」という法定要件を持つBILの40207条「バッテリー材料加工および電池製造・リサイクル補助金」に関連する内容となっています。加えて、DOEは、財務省および内国歳入庁と協力して、この解釈指針案がIRAの第30条D項「クリーン自動車税額控除」の実施を支援する内容としました。つまり、この指針案は、財務省および内国歳入庁が2024年01月より実施するFEOC制限にも関連する内容です。
この指針案に続き、以下の2つの通知がそれぞれの省より発表されています。
- 2023年12月04日、米国エネルギー省の製造・エネルギーサプライチェーン局(Office of Manufacturing and Energy Supply Chains、MESC)より、解釈規則案の通知と意見募集
外国事業体が「対象国である外国政府によって所有され、支配され、または外国政府の管轄もしくは指示に服する」場合、その外国事業体はFEOCであると規定する解釈規則案が提案されました。本文書において、DOEは、以下の主要用語の解釈を示すことにより、「懸念される外国事業体」 という用語を明確にすることを提案しています:「外国政府」、「外国事業体」、「管轄対象」、および「所有、支配、または指示対象」。意見は2024年01月03日までに提出する必要があります。
- 2023年12月04日、内国歳入庁より、規則制定案の通知
2022年インフレ抑制法によって改正されたクリーン自動車税額控除の「除外企業条項」に関する指針案を含む規制案です。
本規制案では、税額控除の対象となる新型クリーン自動車の定義を明確にしています。提案された規則内容により、新型クリーンカーの適格製造業者とそれを購入し使用する納税者に影響が及びます。意見は2024年01月18日までに提出する必要があります。
参考情報
米国エネルギー省、「懸念外国企業」に関する解釈指針案を公表し、それに対する意見を募集
超党派によるインフラ法とは
2021年、バイデン大統領はインフラ投資・雇用法(Infrastructure Investment and Jobs Act、IIJA)、別名「超党派によるインフラ法」として知られる法に署名しました。この超党派によるインフラ法は、米国内のインフラと経済への長期投資としては、史上最大規模のものでした。
具体的には、2022から2026会計年度にかけて、道路、橋、大量輸送機関、水インフラ、インターネットのブロードバンド(広域性)などを含むインフラへの新規投資に5500億ドルを投じています。
具体的には
- (1)清潔な飲料水の配給インフラの整備
- (2)信頼性の高い高速で安価なインターネットサービスの整備
- (3)気候変動の緩和、強靭性、公平性、およびすべての利用者の安全に重点を置いた、道路や橋の修理と再建
- (4)交通手段の改善と温室効果ガス排出削減のための公共交通機関への投資
- (5)空港と港湾を整備し、供給網の強化
- (6)旅客鉄道鉄道サービスの強化
- (7)電気自動車(EV)のための充電器の全国網を構築
- (8)電力インフラの強化とクリーンで信頼性の高いエネルギーの全国網を構築
- (9)気候変動、サイバー攻撃、および異常気象事象の影響に対抗するためにインフラ強靭性の強化
- (10)廃坑の埋め立て、孤立した石油とガスの井戸の閉塞など、汚染遺産への取り組み
といった10の項目を目指した規定が盛り込まれています。
インフレ抑制法とは
インフレ抑制法(Inflation Reduction Act、IRA)とは、2022年08月16日にバイデン大統領の署名を経て成立した法律で、10年間(2022~2031会計年度)で財政赤字を約3000億ドル削減することで、インフレの減速を狙うことを目的としています。内訳を見ると、法人税の最低税率の設定で約2220億ドル、自社株買いに対する1%課税で約2220億ドルと、法人企業を対象とした課税で財政赤字を約7370億ドル減らす予定となっています。一方で、それを原資として「エネルギー安全保障と気候変動」の分野で、税控除、融資や補助金などを通じて3690億ドルを投じる構成となっています。
具体的には
- (1)再生可能エネルギーの導入を後押し
- (2)電気自動車(EV)技術の導入を促進
- (3)建物および社会のエネルギー効率を改善させる趣旨の気候・エネルギー関連規定
が盛り込まれています。
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