米国|IRAとIIJAにおける「懸念される外国企業体」の解釈規則が最終決定

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米国|IRAとIIJAにおける「懸念される外国企業体」の解釈規則が最終決定

エネルギー省(DOE)、電池材料加工および電池製造・リサイクル補助金プログラムにおける「懸念される外国企業体」を定義付け

2024年05月06日、エネルギー省(DOE)の製造・エネルギーサプライチェーン局(MESC)は、インフラ投資・雇用促進法(IIJA)またはインフレ抑制法(IRA)に基づく、「懸念される外国企業体(foreign entity of concern 、FEOC)」に関する解釈規則において、以下の主要用語の解釈を記載し、FEOCを明確化しました;「外国事業体」、「外国政府」とその「管轄の対象」、「所有、支配、または指示の対象」。

これら定義付けにより、解釈規則では、企業体が「対象国となる外国政府によって所有、支配、または管轄もしくは指示に服する」場合、FEOCであると規定しています。米国にとって懸念対象国となっている国(中国、イランなど)の企業体と取引などを行っている、もしくは行う可能性のある事業体は、詳細な内容に注意が必要です。この最終解釈規則は2024年05月06日に発効しています。

インフラ投資・雇用促進法とは

インフラ投資・雇用促進法(Infrastructure Investment and Jobs Act、IIJA)とは、2022年からの5年間でおよそ8,600億ドルをインフラストラクチャ―に加えて、気候変動対策としてクリーンエネルギーの推進などに投資することを盛り込んだ法律で、2021年11月に超党派の合意を受けて成立しました。このため、超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law、BIL)としても知られています。具体的には、以下の項目に予算が振り分けられています。

  • 全米の道路や橋の補修
  • 公共交通機関の近代化、高齢者や障害者のアクセス向上、バスや鉄道車両、線路などの補修
  • 全米鉄道旅客公社(アムトラック)の高速鉄道の整備や安全性の向上
  • ブロードバンドインターネットのインフラの整備
  • 電力網の整備として送電線の新規敷設や環境に優しいスマートグリッド技術などに投資
  • 電気自動車・バス・フェリーの利用拡大を目的に、充電スタンド網の整備、電動バス、電動フェリーの整備
  • 清潔な飲み水の給を目的に、鉛製の給水管の取り換え、五大湖エリア周辺にある重工業施設からの排出物によって汚染された場所の大規模な浄化計画
  • 全米の空港の近代化
  • 道路上での衝突事故や事故死者、とくに自転車利用者や歩行者の事故や死者を減らす取り組み

インフレ抑制法とは

インフレ抑制法(Inflation Reduction Act、IRA)とは、2022年08月16日にバイデン大統領の署名を経て成立した法律で、2022年からの10年間で財政赤字を約3000億ドル削減し、インフレの減速を狙うことを目的としています。内訳を見ると、法人税の最低税率の設定で約2220億ドル、自社株買いに対する1%課税で約2220億ドルと、法人企業を対象とした課税で財政赤字を約7370億ドル減らす予定となっています。一方で、それを原資として米国史上最大の気候変動への投資を進め、「エネルギー安全保障と気候変動」の分野で、税控除、融資や補助金などを通じて3690億ドルを投じる構成となっています。

最終解釈規則の背景

IIJAでは、DOE60億ドルの投資を行い、米国国内の電池材料の加工、製造、およびリサイクルを支援する援助を行っています。またIIJAは、DOEに対し「懸念される外国企業体(foreign entity of concern、FEOC)」から供給される電池材料を使用しない材料加工事業者、製造者、リサイクル事業者を優先するよう指示しています。

IIJAでは、FEOCは「財務省外国資産管理局(Office of Foreign Assets Control、OFAC)が管理する特別指定国民・要注意人物リスト(Specially Designated Nationals and Blocked Persons List、SDNリスト)に記載され、司法長官がスパイ活動や武器輸出を含む様々な違法行為に関与したと指定した事業体」または、「懸念対象国の外国政府によって所有、支配、またはその管轄権もしくは指示に服する事業体」と定義されています。

現在、米国では、中華人民共和国、ロシア連邦、北朝鮮民主人民共和国、イラン・イスラム共和国を、「懸念対象国」としていますが、それ以外にFEOCを説明する用語にさらなる定義付けを行っていませんでした。

そこで、2023年12月04日、米国エネルギー省(Department of Energy、DOE)は、IIJAにおけるFEOCの定義について、DOEの解釈を記載する解釈規則案を発表し、その内容に対する一般の意見を募集していました。

最終解釈規則の内容

DOEの製造・エネルギーサプライチェーン局(Office of Manufacturing and Energy Supply Chains MESC)は、「FEOC」という用語を明確化しました。具体的には、FEOCを説明する「外国事業体」、「外国政府」とその「管轄の対象」、「所有、支配、または指示の対象」を以下のように定義付けしました。

「外国事業体」:次の3つの主なカテゴリーを含むと定義しています。(1) 外国政府および外国政党、(2) 米国の合法的永住者、合衆国市民、またはその他の保護対象者でない人物。(3) 外国法に基づいて組織された、または外国に主たる事業所を有するパートナーシップ、団体、企業、組織、またはその他の個人の組み合わせ。

「外国政府」:各国政府および準国家政府(その各省庁、機関および組織を含む)を含むと定義しています。さらに、「外国政府」という用語の解釈には、外国の上級政治家も含まれます。つまり、政府を代表する個人が、企業の取締役会に参加し政府の指示により行動する、もしくは株式所有者として議決権を通じて影響力をもつ事業体は、「外国政府の利益を促進するための事業体」として、DOEに認識される可能性があります。

「管轄の対象」:対象国である外国政府の「管轄権に服する」場合、その事業体はFEOCとなります。解釈規則では、「管轄権」とは米国での一般的な理解における権限を示し、対象国の理解に依存・定義付けされた権限ではありません。

「所有、支配、または指示の対象」:解釈規則では、(1) 企業の取締役会議席、議決権、または持分の25%以上を保有することによる支配、および(2) 支配権を個人に授与するライセンスまたは契約による支配、の両方を含んでいます。

FEOCを通じて米国内で回収された重要材料が最終的に懸念国へ流出してしまうことを防止するために、DOEは、この解釈規則を理由として、電池リサイクルのために補助金の制度を利用できる「適格事業体」を「FEOCではない企業体」と定義付けしています。そのため、米国内で電池リサイクルに関わる日本の事業体は、その取引先などに注意が必要です。この最終解釈規則は2024年05月06日に発効しています。

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