米国|TSCAに基づく塩化メチレンのリスク管理規則

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禁止要件の拡大やばく露管理規定の導入など

2024年05月08日、連邦官報にて、有害物質規制法(TSCA)に基づき、塩化メチレンを対象とするリスク管理規則が公布されました。同規則は2024年07月08日より施行されます。

注目すべき内容

「§751.107 その他、製造(輸入を含む)、加工、商業流通、使用の禁止」の追加

■ メインとなる禁止規定に、新たな条項が追加。
■ 2025年02月03日以降、塩化メチレンや塩化メチレン含有製品は、用途を問わず、小売業者への商業的流通を禁止
■ 2025年05月05日以降は、小売業者も、商業的流通を禁止。また、すべての者について、製造、輸入も禁止。★
■ 2025年08月01日以降は、加工も禁止。★
■ 2026年01月28日以降、商業的流通の禁止★
 -同セクション(a)(1)及び(2)に特定される用途のための商業的流通(塗料・塗膜剥離用途以外のあらゆる用途など)
■ 2026年04月28日以降、産業的および商業的使用の禁止★

★ 同セクション(b)(7)から(9)に特定される用途(航空宇宙、緊急事態、芸術的、文化的、または歴史的に重要な木製家具、 装飾品、建築備品の再仕上げ用塗料や塗膜剥離用途など)を除く。 

※ (b)(7)から(9)の要件は原文参照

「§751.109 作業場化学品保護プログラム」の追加

■ 製造、輸入、加工、処理(リサイクル)、ラボでの使用、航空機や宇宙船の安全上重要で腐食に敏感な部品から塗料や塗膜除去のための使用、溶剤溶接用の接着剤としての使用、加工助剤としての使用、プラスチックおよびゴム製品製造で使用、処分 に適用。

■ 「従業員」と「雇用者」に適用

■ ECEL要件-2025年08月01日以降(塩化メチレンの使用が2025年05月05日以降に開始される場合は作業場への塩化メチレンの導入4ヵ月後以降)、雇用者は、いかなる者も2ppm(8h-TWA)を超える塩化メチレンの空気中濃度にばく露しないようにしなければならない。

■ EPA STEL要件-2025年08月01日以降(塩化メチレンの使用が2025年05月05日以降に開始される場合は作業場への塩化メチレンの導入4ヵ月後以降)、雇用者は、いかなる者も16ppm(15 min)を超える塩化メチレンの空気中濃度にばく露しないようにしなければならない。

■ 制限区域設置要件-2025年08月01日以降(または本項の(d)項と一致するモニタリングデータの結果を受け取ってから 3 ヶ月以内に)、雇用者は、制限区域を設定し維持しなければならない。
- ばく露する可能性のある者が塩化メチレンの空気中濃度への暴露がECELまたはEPA STELのいずれかを超える、あるいは超えると合理的に予想される場合には、制限区域を設定する必要がある。

■ ばく露モニタリング要件-サンプリング方法、初回モニタリング、定期モニタリング、モニタリング結果の通知要件など

■ 管理計画要件-2025年10月30日以降、雇用者は、ばく露管理計画を策定および実施し、当該管理が実行不可能であることを証明できる範囲を除き、ECEL および EPA STEL以下まで暴露を低減するために、除去、代替、工学的管理、作業慣行、または管理的管理のいずれか1つまたは組み合わせを導入しなければならない。ばく露管理計画に含む必要がある内容も特定されている。

■ 呼吸器要件-呼吸器の条件、選択基準が特定されている。

■ 皮膚保護具要件-2025年08月01日以降、雇用者は、NIOSHの管理階層に従って、(e)項の要求事項を適用した後、塩化メチレンとの経皮接触の可能性がある場合、活動に応じた訓練を行い、塩化メチレンに対して化学的耐性を有する手袋の着用を義務付けなければならない。

■ 訓練(トレーニング)要件

その他、規則には、川下通知や記録保持、免除など、更新された規定が盛り込まれている。

背景

塩化メチレン(ジクロロメタンやDCMとしても知られる)は、肝臓がん、肺がん、乳がん、脳腫瘍、血液がん、中枢神経系がん、さらには神経毒性、肝障害の原因となることが知られています。2019年以前、消費者向け塗料や塗装除去に使用された塩化メチレンの曝露により急性死亡事故が発生したことから、2019年11月22日以降、米国環境保護庁(Environmental Protection Agency、EPA)は、塩化メチレンを使用した消費者向けの製品の製造・輸入、加工、および販売を禁止しています。加えて、EPAは、塩化メチレンを使用した製品の製造業者、加工業者、および販売業者に対し、使用する者などへの禁止事項の通知と記録の保持を求めています。

今回、EPAは有害物質規制法(TSCA)に基づき、塩化メチレンを使用する消費者向け製品だけでなく、産業・商業向けのほとんどの製品の製造などを禁止することを要件としたリスク管理規則を最終決定しました。今回の最終決定は、がん撲滅を目指した「バイデン大統領のキャンサー・ムーンショット( President Biden’s Cancer Moonshot)」プログラムの一環でもあり、また2016年のTSCA改正後2番目に決定されたリスク管理規則になります。

改正対象箇所

40 CFR Part 751

§751.5 定義

§751.101 全般
§751.103 定義
§751.105 消費者向け塗料および塗膜剥離に関する商業上の製造(輸入を含む)、加工、流通の禁止
§751.107 §751.111として再指定
§751.107 その他、製造(輸入を含む)、加工、商業流通、使用の禁止
§751.109 §751.113として再指定
§751.109 作業場化学品保護プログラム
§751.111 川下通知
§751.113 記録保持要件
§751.115 免除
§751.117 芸術的、文化的、歴史的価値のある木製家具、装飾品、建築備品を再仕上げする際の、塗料および塗膜剥離に関する暫定要件

参考情報

■ 連邦官報(89 FR 39254)

有害物質規制法(TSCA)とは?

米国の「有害物質規制法」、通称「TSCA」は、化学物質の管理・規制に関する米国の国レベルの基本的な法令の一つです。日本の化審法、EUのREACH規則と並べて、あるいは比較して言及されたりもします。 合衆国法典では第15編、第53章に収載されており、全部で6つの大項目から構成されています。このうち、日本の事業者が関心が高く、よく相談が持ち込まれる大項目は、「有害物質の管理」、「複合木材製品のホルムアルデヒド基準」です。

目次

SUBCHAPTER I 有害物質の管理 SUBCHAPTER II アスベスト有害性緊急対応 SUBCHAPTER III 屋内ラドン削減 SUBCHAPTER IV 鉛ばく露低減 SUBCHAPTER V 健康的な高いパフォーマンスの学校 SUBCHAPTER VI 複合木材製品のホルムアルデヒド基準

注目される制度

TSCAのもとでは様々な規制が敷かれていますが、事業者からの相談・問い合わせが多く、注目度が高い制度には次のものが例として挙げられます。

新規化学物質の製造前届出制度

■ 第5条(§2604)(a)(1)に基づき、新規化学物質の製造・輸入・加工については、90日前までにEPAへの届出が必要

化学物質の試験制度

■ 第4条(§2603)に基づき、EPAが人の健康や環境へ不当なリスクをもたらすと判断した場合には、化学物質や混合物の製造、商業流通、加工、使用、廃棄、またはそのような活動の組み合わせに関連して、関連事業者に試験の実施を要求することができる。関連規則に基づき、規則や同意命令などの形で発出される。

重要新規利用規則(SNUR)

■ 第5条(§2604)(a)(2)に基づき、化学物質の使用が、通知が必要とされる重要新規利用(Significant New Use)であるかどうかをEPAが判断し、必要に応じて規則を設ける。特定されたものについて、製造者・輸入者や加工業者は、当該新規利用を開始する90日前までに関連規則に基づいた通知(SNUN)が必要とされる。

化学物質のリスク評価制度に基づく個別の規制

■ 第6条(§2605)に基づき、EPAが化学物質または混合物の製造、加工、商業流通、使用、廃棄、またはそのような活動の組み合わせが、人の健康や環境へ不当なリスクをもたらすと判断した場合には、規制を定める規則の検討を行う。

既存化学物質の管理制度

■ 第8条(§2607)に基づく記録保持・報告要件は、インベントリー制度としても知られている。EPAが化学物質についての情報をインベントリーとして管理するために、事業者には情報の提出や更新が求められている。

輸出入規制

■ 輸出(§2611)や輸入(§2612)についても規制が敷かれているが、特に注目されるのは、輸入時における「TSCA証明」である。詳細は規則で規定されているが、輸入化学物質が TSCA に準拠していることを証明する方法(positive certification)と、TSCAの適用外であることを証明する方法(negative certification)が存在する。

複合木材製品規制

■ 米国内で販売、供給、販売促進、製造、輸入される複合木材製品は、TSCA Title VI適合と表示されなければならない。これらの製品には、広葉樹合板、中密度繊維板、パーティクルボード、およびこれらの製品を含む家庭用品やその他の完成品(finished goods)が含まれる。自主的合意基準、第三者認証制度など要件遵守保証のための制度が導入されている。

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