NHTSA、自動緊急ブレーキ(AEB)の前方衝突警報(FCW)に適用される要件などを明確化して最終規則とする
2024年11月26日、米国道路交通安全局(NHTSA)は、すべての新型軽自動車(小型自動車、Light Vehicles)に対し、自動緊急ブレーキ(AEB)、歩行者用自動緊急ブレーキ(PAEB)、前方衝突警報(FCW)システムを義務付ける連邦自動車安全基準(FMVSS)No.127「軽自動車の自動緊急ブレーキ」を採用し、最終規則としました。この最終規則は2024年05月09日の最終規則の再考を求める請願の一部を認め、最終規則において、FCWの視覚信号と音声信号に適用される要件を明確化、道路を横断する歩行者への警報に関する試験方法における誤りを修正、先行する車両のAEBの性能試験要件から一部の文言を削除を行っています。
ただし、請願されたその他の要求は却下されています。最終規則の発行は2025年01月27日で、FMVSS No.127および関連規程への遵守は、2029年09月01日までにすべての車両に対して義務付けられています。ただし、少量生産者、最終段階製造者、および改造業者が生産する車両は、2030年09月01日までに適合したAEBシステムを装備が義務付けられています。
連邦自動車安全基準(FMVSS)とは
連邦自動車安全基準(Federal Motor Vehicle Safety Standard、FMVSS)と、自動車の設計、構造、性能、耐久性の要件、および自動車の安全に関わる各設備、システム、および設計機能を規制しています。FMVSSは、車両規制調和世界フォーラムによって設計された国連規則のいわゆる米国版となっています。1966年の国家交通・自動車安全法(National Traffic and Motor Vehicle Safety Act)の法定認可に従って、米国運輸省(U.S. Department of Transportation、USDOT)の道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration、NHTSA)によって成文化され施行されています。FMVSSの要件は定期的に更新され、年々厳しくなることが特徴です。
この最終規則の背景
2021年11月、インフラ投資・雇用促進法として制定された超党派インフラ法(Bipartisan Infrastructure Law、BIL)が署名されました。BILはUSDOT長官に対し、衝突回避技術に関する最低性能基準を定める規程を公布し、米国で販売するために製造されるすべての乗用車に、前方衝突警報(forward collision warning 、FCW)および自動緊急ブレーキ(automatic emergency braking、AEB)システムを搭載するよう義務付けるように指示しました。このBILに従い、NHTSAは2023年06月に規則案策定通知(NPRM)発表し、2024年05月に、No.127「軽自動車の自動緊急ブレーキ」を最終規則としました。
しかし、2024年05月の最終規則に対し、NHTSAは、自動車技術革新同盟、トヨタモーターノースアメリカ(トヨタ)などから、FMVSS No.127最終規則について様々な修正を含む再考の請願もしくは「補足コメント」を受け取りました。今回、NHTSAは、これらの申し立ての一部を採用し、最終規則としました。採用された内容は、以下の事などです。
- 申立人は、「”作動する(operate)」”と「差し迫った(“imminent)」”という用語の定義を要求しましたが、NHTSAは、これらの用語を含んだ性能試験要件の文言を修正することで対応しました。
- FMVSS No.127に含まれている試験方法では、横幅の狭い車両の場合比較的厳しいAEBシステムが要求されていたため、試験方法を適正化しました。
- FMVSS No.127のFCW視覚信号の位置に関する仕様に関し、申立人は、さらなる明確化を要求したため、NHTSAは規定文の修正を行いました。
- FMVSS No.127には、FCWの音声信号に関する要件において、FCWの聴覚信号が提示されているときは、車載オーディオを抑制しなければならないことなどが含まれていました。この要件に関し、その明確性と客観性、および試験条件についていくつかの懸念が表明されていたため、マイクロホンの設置場所、テストが実施される車両条件が追加され、要件を明確化しました。
この最終規則の内容
最終規則No.127「軽自動車の自動緊急ブーキ」には、先行する車と歩行者の両方に対するブレーキシステムに関して4つの要件が含まれています。
- 先行車や歩行者との衝突が予測される場合に聴覚と視覚でドライバーに知らせるFCWシステムを車両に装備することが義務付けられています。このシステムは、先行車が関係する警報の場合は、前方速度が時速10kmを超え時速145km未満、歩行者が関係する警報の場合は、前方速度が時速10kmを超え時速73km未満で作動する必要があります。同様に、最終規則には、先行車または歩行者との衝突が差し迫った場合に自動的にブレーキを適用するAEBシステムを軽自動車に装備することが義務付けられています。このシステムは、先行車を含むAEBの場合は前進速度が時速10kmを超え時速145km未満、歩行者が関係する警報の場合は、前進速度が時速10kmを超え時速73km未満で作動する必要があります。
- AEBシステムは、規格の試験手順に従って試験された場合、車両が先導車や歩行者試験装置と衝突するのを防ぐことが要求されます。トラック試験手順には、時速100kmまでの走行速度を含むパラメータが定義されており、試験環境においてAEBシステムが衝突を防止することが求められています。
- 最終規則には2つの誤作動試験が含まれています。
- 車両は、センサーの障害のみによって引き起こされる性能低下を含むAEBシステムの誤作動を検出し、AEBシステムが最低限提案された性能要件を満たさない原因となる誤作動をドライバーに通知する必要があります
- システムが誤作動を検出した場合やシステムが調整されたた場合、AEBシステムは車両運転者にその旨を通知する必要があります。
今回の文書に対して更なる再考の請願は行えませんが、公布から45日以上経過した後に最終規則となるため規程作成の請願は行えます。
参考情報
注目情報一覧
新着商品情報一覧
調査相談はこちら
概要調査、詳細調査、比較調査、個別の和訳、定期報告調査、年間コンサルなど
様々な調査に柔軟に対応可能でございます。
- ●●の詳細調査/定期報告調査
- ●●の他国(複数)における規制状況調査
- 細かな質問への適宜対応が可能な年間相談サービス
- 世界複数ヵ国における●●の比較調査 など