NOAAに米国事業体が申請する海洋資源の探査ライセンスや商業回収許可の迅速審査を指示
2025年04月25日、米国企業が海洋の重要な鉱物や資源を探索し、回収するための枠組みを確立することを目標に、「米国のオフショア重要鉱物・資源を解き放つ(NLEASHING AMERICA’S OFFSHORE CRITICAL MINERALS AND RESOURCES)」が大統領令として署名されました。大統領令では、マンガン、ニッケル、コバルト、希土類元素などの重要鉱物を確保することを目指し、海底マッピングと鉱物探査を米国が先導して行うことを宣言しました。上記の鉱物は、現在国家防衛システムやバッテリーからスマートフォンや医療機器に至るまであらゆるものに使用されており、米国はこれらの鉱物の国内サプライチェーンの強化を図っています。
これら重要鉱物の米国における取引に関わる事業体は、今後の省庁の動きに注意が必要です。
米国海洋大気庁とは
アメリカ海洋大気庁(米国海洋大気局とも呼ばれることも多い、National Oceanic and Atmospheric Administration、NOAA)は、アメリカ合衆国商務省(Department of Commerce)の機関の一つで、海洋と大気に関する調査および研究を専門としています。具体的には以下の3点を主な目的としています。
- 自然災害からより安全に人命や財産を保護すること
- 環境に対する理解を深めること
- 海洋資源の有効利用に向けた探査・開発を推進すること
この大統領令の内容
NOAAは、「深海底硬質鉱物資源法(Deep Seabed Hard Mineral Resources Act)」に基づき、国際水域での深海鉱業に関する申請を審査し、米国事業体に対して探査ライセンスと商業回収許可を発行しています。
大統領令では、マンガン、ニッケル、コバルト、希土類元素などの重要鉱物を海洋より確保することを目指し、以下の11項目の事柄を、NOAAなどの各責任省庁に指令しています。
- 米国の管轄権外の海域における海底鉱物探査免許および商業的回収許可の審査および発行のプロセスを迅速化する。
- 「海底鉱物資源の探査、採掘、および環境モニタリング」もしくは「多金属結節およびその他の海底鉱物資源の処理能力」に関する米国民間部門の関心と機会を調査する。
- 海底の優先地域(海底資源が豊富または利用可能な地域など、特に米国海域の)の地図を作成する計画を立て、データ収集および特性評価を加速する。
- 米国外大陸棚内の海底鉱物資源の探査、開発、生産に関する許可の審査および付与に関する迅速な手続きを確立する。
- 海底資源から得られる重要な鉱物を特定する。
- 主要パートナーおよび同盟国と協力し、それらのパートナーおよび同盟国の国家管轄区域内の海底鉱物資源の探査、採掘、加工、および環境モニタリングを支援する。
- 国際的な利益配分メカニズムの実現可能性に関する報告書を提出する。
- 海底多金属結節(seabed polymetallic nodules)から得られる材料の物理的または仮想的な貯蔵を、国家防衛備蓄として使用することの利点と欠点を報告する。
- 海底鉱物資源の国内加工能力を支援するため、既存の規制の見直しと改訂を行い、補助金および貸付権限、その他の調達および資金調達権限の活用を模索する。
- 国家安全保障に重要と指定された物質の安定供給を確保するための戦略を勧告する際に、海底鉱物資源の開発を考慮に入れる。
- 国内および国際的な海底鉱物資源の探査、採掘、加工、および環境モニタリングを支援するための手段を特定した共同報告書を提出する。
以上の大統領令に呼応し、NOAAは、探査ライセンスと商業回収許可の迅速審査を行うため、規則などを更新し、一般からの意見募集を行う準備を行っています。
上記の重要鉱物は、現在防衛システムやバッテリーからスマートフォンや医療機器に至るまで、あらゆるものに使用されています。そのため、米国の大統領府はこれらの鉱物の確保が、米国のサプライチェーンの健全性と回復力にとって重要な要素である、と考えています。これら重要鉱物の米国における取引に関わる事業体は注意が必要です。
海底多金属結節とは
海底多金属結節(seabed polymetallic nodules)とは、海底に存在する丸い塊状の鉱物資源で、マンガン、ニッケル、コバルト、銅などを含み、これらの鉱物が海底で年間数ミリメートルの単位でゆっくり成長した塊をいいます。太平洋中央海盆、インド洋、南太平洋などに存在し、現在、電気自動車のバッテリーやハイテク機器に使用されるレアメタルの供給源として期待されています。ただし、採掘による海洋生態系への影響が懸念され、また採掘技術が開発段階であるため、商業化には課題も多く残されています。
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