Euro 7の意見募集

2022年11月10日、欧州委員会は、EU域内で販売される新車からの大気汚染を低減するためのEuro 7規制案を提示しました。CO2排出規制はゼロエミッション車の普及を促進するが、欧州の道路を走るすべての自動車がよりクリーンであることを保証することが重要であると欧州委員会は説明しています。

概要

2035年には、EU域内で販売されるすべての自動車とバンのCO2排出量をゼロにすることが求められています。しかし、2050年には、自動車とバンの20％以上、大型車の半数以上が、引き続きテールパイプから汚染物質を排出すると予想されています。また、バッテリー電気自動車は、ブレーキやタイヤからのマイクロプラスチックによる汚染もまだ引き起こしています。Euro 7の規則は、これらすべての排出量を削減し、消費者にとって手頃な価格の自動車を維持することができると欧州委員会は説明しています。

Euro 7の提案は、これまで自動車とバン（Euro 6）、トラックとバス（Euro VI）に対して別々に定められていた排出ガス規制を置き換え、簡素化するものです。Euro 7の基準規則は、すべての自動車、すなわち自動車、バン、バス、ローリーの排出ガス規制を単一の規則の下に置くものです。この新しい規則は、燃料や技術に関係なく、ガソリン、ディーゼル、電気駆動、代替燃料のいずれを使用する車両であっても、同じ制限値を設定するものです。これにより、以下のことが可能になるとされています。

■　すべての新車からの大気汚染物質の排出をよりよく制御する：

路上排出試験の対象となる運転条件の範囲を広げる。これにより、最高気温45℃や毎日の通勤によく見られる短距離走行など、欧州全域で自動車が経験しうるさまざまな状況をよりよく反映することになるとされています。

■　汚染物質排出規制の更新と強化：

トラックとバスの規制値が強化される一方、自動車とバンの規制値は、使用する燃料に関係なく、現行の最低値が適用されるようになりました。また、大型車から排出される亜酸化窒素など、これまで規制されていなかった汚染物質の排出規制値も設定されます。

■　ブレーキやタイヤからの排出を規制：

Euro7基準の規則は、テールパイプ排出規制を超えた世界初の排出規制となり、ブレーキからの微粒子排出の追加規制やタイヤからのマイクロプラスチック排出に関する規則が設定されます。これらのルールは、電気自動車を含むすべての自動車に適用されます。

■　新車をクリーンにより長く保つこと：

すべての自動車は、これまでよりも長い期間、規則を遵守する必要があります。自動車とバンは、走行距離20万km、車齢10年に達するまで適合性をチェックします。これはEuro6/VI規制の耐久性要件（走行距離10万km、車齢5年）を2倍にしたものです。バスとトラックについても、同様の引き上げが行われる予定とされています。

■　電気自動車の普及を支援する：

新規則は、電気自動車に対する消費者の信頼を高めるために、自動車やバンに搭載されるバッテリーの耐久性を規制します。また、これにより、自動車の寿命の早い段階で電池を交換する必要性が減り、電池の製造に必要な新しい重要な原材料（CRM）の必要性が減少します。

■　デジタルの可能性を最大限に活用する：

Euro 7の規則では、車両の耐用年数を通じて車両内のセンサーで排出ガスを測定することにより、車両が改ざんされないようにし、当局が簡単な方法で排出ガスを管理することができるようにします。

欧州委員会の提案は、共同立法者による採択を視野に入れ、欧州議会と理事会に提出される予定とされています。

2035年、Euro 7は自動車とバンのNOx総排出量をEuro 6に比べて35％、バスとトラックのEuro VIに比べて56％削減します。同時に、テールパイプからの粒子は自動車とバンから13％、バスとトラックから39％減少し、自動車のブレーキからの粒子は27％減少することになります。

ディーゼルゲート事件を受けて、欧州委員会は、自動車がEuro 6基準で期待されるほどクリーンであることを保証するために、路上での排ガスを測定する新しい試験（RDE法）を導入し、加盟国と欧州委員会の市場監視権限を強化しました。

欧州の環境NGOであるTransport & Environment（T&E）は、Euro 7の提案を「衝撃的に弱い」とし、欧州議会がこれらの基準を強化するか、単に拒否するかが今や重要であるとしています。

参考

■　意見募集／欧州委員会

出典－GreenCarCongress