2022.11.19
よくある質問:「EU電池規則はまだ出ないのでしょうか?」-Trilogueとは何か確認しよう
ところで電池規則はいつ・・・
株式会社先読、代表の石塚です。
クライアントとコミュニケーションをする際、見出しのような切り出しでEU電池規則案の状況と展望について、見解を求められることが多くなっています。
2020年12月に欧州委員会案が公表されてからもうすぐ2年が経過します。
各社の担当者の方々も、電池規則案について情報を社内で共有した後、その後の状況はどうなっているのかの確認を求められることが多いのではないでしょうか?
私は前職で電池規則案の和訳作成やウェビナーを企画・実施し、その後、現在の新会社設立後の講演も含めると、計6回以上、電池規則案についての講演を行ってまいりました。多くの、そして様々な立ち位置にいる企業担当者の方々との質疑応答、コミュニケーションを継続してとっております。
最初にお話した際も、過去の規則制定スケジュールから、1年半から2年くらいという予測をしている旨を伝えておりました。
ですが、やはり日本関連企業の関心が非常に高いせいか、その後の講演や、個別調査対応のコミュニケーションの中でも、EU電池規則案がいつでるのか見解がほしいというご意見を多くいただいております。
そこで今回は、現状の確認と、進行中のTrilogue(トライローグ、非公式三機関会合)とは何かについて少し触れたいと思います。
現在の状況は?
2020年12月に欧州委員会の案が公表され、意見募集を経て、2022年03月には欧州議会の修正案と、欧州理事会の修正案が出揃いました。その後、2022年04月より欧州委員会、欧州議会、そして欧州理事会の3機関による非公式な調整を行う会議、「Trilogue(トライローグ、トリローグ)」と呼ばれる検討段階入っております。
同法案の動向を追っている方々は、2022年の所々で耳にしてきた用語ではないでしょうか?この非公式会合は断続的に行われており、欧州議会が説明しているように、「機関間交渉は、EU法の採択における標準的な慣行となっており、立法手続きのどの段階においても、共同立法者が合意に達することを可能にする」ものとして位置付けられています。
非公式三機関会合:Trilogue(トライローグ、トリローグ)とは?
まず前提として、EU法形成過程では、欧州議会と欧州理事会が同じ内容の修正内容に合意する必要があります。これは、EUだけでなく、例えば米国でも上院と下院が同じ法令案の調整内容に合意した上で、大統領が署名して法律が成立します。
欧州議会の場合、主担当の専門委員会が報告書(修正案付)を採択するとすぐに、交渉開始を決定することができるとされており、このような決定は、第一次読会で、本会議による「チェック」を受けるとのことです。
本会議は、交渉に入るという専門委員会の決定を承認するか、または報告書の内容を修正し、修正後の報告書を交渉のために委員会に差し戻す権限を持っています。また、本会議はいつでも、交渉なしで議会の第一読会を終了させることを決定することができるとも説明されています。
各機関は交渉担当者を指名し、交渉のマンデートを定義するとされ、三機関会合は、立法手続きのどの段階(第一読会、第二読会、第三読会)でも開催することができるものとされています。
つまり、この非公式会合は、「~ヵ月以内に結論を示さなければならない」というような、法形成過程に見られる法的拘束が強いものではなく、必要に応じて開催される、柔軟性の高い非公式会合となります。しかし、その特徴ゆえに、先読みを困難にする要素としても機能しています。
3機関会合で成立した暫定的な合意は非公式なものであるため、2つの機関それぞれに適用される正式な手続きによって承認される必要があるとされています。議会では、仮合意の文章は委員会での投票によって承認され、その後、本会議で確認される必要があります。
会合は、欧州理事会と欧州議会のそれぞれの側が、それぞれの立場を説明し、欧州委員会は、共同立法者間の合意を促進するための仲介役を務めます。
3つの代表団(3つの機関からの代表団)は非公式に妥協の可能性を探り、それぞれの機関の内部規則に従って、つまり交渉団を経由して、議会では専門委員会に、理事会では担当作業部会(またはCoreper)に定期的に報告することになります。
欧州理事会のCoreperとは?
Coreperとは欧州理事会の準備会合組織の一つです。Coreperは「欧州連合加盟国政府常設代表委員会」の略称です。その役割とさまざまな構成については、EU機能条約240条1項で説明されています。理事会の議題に含まれるすべての項目(一部の農業問題を除く)は、理事会が別途決定しない限り、まずCoreperの審査を受けなければならないとされています。
主な任務には、理事会の各組織の作業の調整と準備、EU政策の一貫性の確保、合意や妥協案を作成し、理事会で採択されるよう提出するなどが挙げられています。Coreper自体は意思決定権限がないため、あくまでも理事会としての立場の案の準備組織となります。
Coreper IとCoreper IIがあり、Iは市場競争や環境など6分野、IIは外国関係、司法、総務など4分野を対象としています。会議は毎週行われるものとされています。
非公式三機関会合の参加者
■ 議会の担当委員会の委員長と副委員長
■ 各政党グループからシャドウ・ラポーターやラポーター
(各評価担当議員など)
■ 欧州理事会は、閣僚理事会議長国の代表
■ 欧州委員会 担当者
電池規則案と非公式三機関会合
さて、電池規則案の話にもどりましょう。そもそもこの非公式三者会合は、膠着状態に陥る可能性があり、社会問題にタイムリーに対応できないリスクがあると批判されていたEUの立法プロセスを改善し、スピードアップを図るために導入された仕組みです。
多くの立法プロセスで慣行的に導入されていますが、会議の回数や頻度、交渉の実際的な進め方など、いくつかの要素は交渉の対象となる立法案件の性質に大きく依存するため、成文化されていないままでいるとも説明されています。
つまり、非公式三者会合があることで検討が長引いているのではなく、そもそも、欧州理事会と欧州議会の修正案の乖離が大きすぎることが検討が長引いている要因になります。これは、それぞれの修正案を比較検討してみた方であれば、頷ける話かと思います。
過去の規則制定の実際のスケジュールから、案公表から制定まで1.5~2年の期間のケースが多いのは事実です(委任法令や実施法令は除く)。しかしながら、次の要素の絡み合って、規則制定の予測を困難にしています。
■ それぞれの修正案の乖離が多く、調整項目が膨大
■ 第一読会プロセスそのものに法定期限が設定されていない
■ 非公式三者会合が断続的に行われ、その経過情報が基本的には開示されていない
参考
■ Interinstitutional negotiations/欧州議会
■ Understanding trilogue: Informal tripartite meetings to reach provisional agreement on legislative files/欧州議会
■ Coreper I Coreper II/欧州理事会
注目情報一覧
新着商品情報一覧
調査相談はこちら
概要調査、詳細調査、比較調査、個別の和訳、定期報告調査、年間コンサルなど
様々な調査に柔軟に対応可能でございます。
- ●●の詳細調査/定期報告調査
- ●●の他国(複数)における規制状況調査
- 細かな質問への適宜対応が可能な年間相談サービス
- 世界複数ヵ国における●●の比較調査 など