法令の情報時期:2023年07月 統合版 | ページ作成時期:2025年04月 |
目的

本規制の目的は、医薬品、特に処方医薬品の卸売業者・薬局・獣医師による販売価格や価格上乗せの上限を定めることである。
概要

本規制は主に処方箋医薬品を対象とし、薬局や獣医師による販売価格の上限を定めている。
卸売業者が薬局等に供給する際の価格加算を規定している。
薬局が患者に販売する際の価格構成(定率加算、調製手当、時間外手数料など)を詳細に定めている。
薬局内で調製された製剤や原材料の販売についても、加算方式と上限を規定している。
夜間・休日の対応や、麻薬・特定医薬品の交付に関しては、定額の追加料金が認められている。
薬局は、入手困難な医薬品に関する特別調達費用を別途請求できる。
薬局は処方箋に価格や加算項目を明記する義務を負う。
注目定義
<対象製品>
■ 「完成医薬品」(Fertigarzneimittel)
完成医薬品とは、あらかじめ製造され、消費者に販売するために包装された医薬品をいう。 |
■ 「処方医薬品」(verschreibungspflichtiges Arzneimittel)
処方医薬品とは、医薬品法および医薬品処方規則に基づき、医師の処方箋がなければ交付できない医薬品をいう。 |
■ 「麻薬」(Betäubungsmittel)
麻薬とは、麻薬処方規制第1条第3項により、その所在が記録義務のある規制対象の医薬品をいう。 |
■ 「時間外手数料」(Notdienstzuschlag)
時間外手数料とは、夜間(20時~翌朝6時)、日曜、祝日、または12月24日の特定時間帯に対応した薬局が請求できる追加料金をいう。 |
■ 「薬局販売価格」(Apothekenabgabepreis)
薬局販売価格とは、薬局が患者に対して医薬品を販売する際の最終的な販売価格をいう。 |
■ 「州交付価格」(Länderabgabepreis)
州交付価格とは、医薬品法第78条第4項に基づき、特定の供給形態において製薬企業の出荷価格に代わって用いられる公定価格をいう。 |
<対象施設>
■ 「薬局」(Apotheke)
薬局とは、医薬品法に基づき許可を受け、医薬品の調製・保管・販売を業務として行う施設をいう。 |
<対象者>
■ 「卸売業者」(Großhändler)
卸売業者とは、製薬企業から仕入れた医薬品を、薬局や獣医師など再販売者に供給する業者をいう。 |
■ 「獣医師」(Tierarzt)
獣医師とは、動物の診療を行う資格を持ち、医薬品法に基づき獣医療に必要な医薬品を自ら製造・交付できる専門職をいう。 |
適用除外(対象外・猶予・免除等)

薬局による価格上乗せおよび価格設定について、以下の場合には本規制の適用対象外とする。
1.病院薬局による交付。ただし、完成医薬品を用いたがん治療用注射薬の外来供給は除く
2.病院および薬局法第14条第8項第2文により病院とみなされる施設、ならびに刑務所および少年拘禁施設への交付
3.医薬品法第47条第1項第1文第2号から第10号に記載されている者および施設への交付(それぞれの条件下)
3a. 感染症予防法第20条第3項に基づき公的に推奨される予防接種に用いられるワクチンであって、病院、公衆衛生局または医師に交付されるもの(ただし季節性インフルエンザワクチンを医師に交付する場合を除く)
4.一般的な、特に行政または事業所によるインフルエンザ予防措置に用いられるワクチン
5.公衆衛生局によるくる病予防措置のための交付
6.腎疾患の透析治療に用いられる医薬品
7.医師の処方に基づき完成医薬品から取り分けられた一部用量であって、剤形・組成・強度が変更されていないもの
8.注射用製剤としての完成医薬品
なお、第1号に該当する場合、社会法典第5巻第129a条は適用が妨げられない。また、第7号に該当する場合には、社会保険給付者、民間健康保険会社またはその団体が、自己負担で交付される医薬品の薬局販売価格算定手続について、薬局またはその団体と合意を結ぶことができる。
処方箋が不要な医薬品の価格および価格上乗せは、本規制の適用外とする。
事業者が注意すべき内容
本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |

(1) 人に対する使用を目的とした完成医薬品を、卸売業者が薬局または獣医師に交付する場合には、製薬企業の交付価格に対して73セントの定額加算および付加価値税を課すものとする。さらに、製薬企業の交付価格(税抜)に対して最大3.15%の加算を行うことができるが、その額は最大37.80ユーロまでとする。
動物用の完成医薬品を卸売業者が薬局または獣医師に交付する場合には、製薬企業の交付価格(税抜)に対して、第2項または第3項に規定された上乗せ額および付加価値税を課すことができる。
これらの加算の計算にあたっては、医薬品法第78条第3項または第3a項に基づき、製薬企業が設定した交付価格を基準とする。
(2) 上記第1項第2文における動物用医薬品の価格上乗せの上限は、製薬企業の交付価格に応じて以下のとおりとする。
交付価格(税抜) | 上限加算率 | 実効マージン(参考) |
---|---|---|
~0.84ユーロ | 21.0% | (17.4%) |
0.89~1.70ユーロ | 20.0% | (16.7%) |
1.75~2.56ユーロ | 19.5% | (16.3%) |
2.64~3.65ユーロ | 19.0% | (16.0%) |
3.76~6.03ユーロ | 18.5% | (15.6%) |
6.21~9.10ユーロ | 18.0% | (15.3%) |
10.93~44.46ユーロ | 15.0% | (13.0%) |
55.59~684.76ユーロ | 12.0% | (10.7%) |
684.77ユーロ超 | 3.0% + 61.63ユーロ固定加算 |
(3) 上記第1項第2文における別の方式として、以下の交付価格帯において定額での上限加算が設定される。
交付価格(税抜) | 上限加算(定額) |
---|---|
0.85~0.88ユーロ | 0.18ユーロ |
1.71~1.74ユーロ | 0.34ユーロ |
2.57~2.63ユーロ | 0.50ユーロ |
3.66~3.75ユーロ | 0.70ユーロ |
6.04~6.20ユーロ | 1.12ユーロ |
9.11~10.92ユーロ | 1.64ユーロ |
44.47~55.58ユーロ | 6.67ユーロ |
(第2条 市販医薬品に対する卸売業者の上乗せ額)

(1) 人に対する使用を目的とした完成医薬品を薬局が交付する場合、薬局販売価格の計算において以下の加算が適用される。
-
製薬企業の交付価格(税抜)に対して
3%の定率加算
8.35ユーロの定額加算
夜間・休日対応(時間外手数料)の21セント
薬学的サービス費用のための20セント
および付加価値税を加える。 -
ただし、季節性インフルエンザワクチンを薬局が医師に交付する場合は、1回分あたり1ユーロ(1処方につき最大75ユーロ)および付加価値税とする。
-
人用医薬品を動物向けに交付する場合は、上記と異なり、3%の加算+8.10ユーロおよび付加価値税を上限とする。
-
動物用完成医薬品については、第3項または第4項の上限加算規定を適用する。
(1a) 薬局が処方された医薬品を別の医薬品に切り替えて交付する場合(社会法典第5巻第129条第2a項に基づく)には、0.50ユーロの加算および付加価値税が適用される。
(2) 上記の定額加算の算定基準は以下のとおりとする。
-
卸売業者から仕入れた場合は、製薬企業の交付価格(税抜)+最大卸売加算額(第2条)の合計に対して課す。
医薬品法第52b条第2項第3文により製薬企業から薬局に直接納品される医薬品については、製薬企業の交付価格(税抜)を基準とする(第2条第1項第3文を準用)。

(3) 動物用医薬品への薬局加算の上限(定率方式)は以下のとおりとする。
金額区分(税抜) | 加算上限(定率) | 実効マージン(参考) |
---|---|---|
~1.22ユーロ | 68% | (40.5%) |
1.35~3.88ユーロ | 62% | (38.3%) |
4.23~7.30ユーロ | 57% | (36.3%) |
8.68~12.14ユーロ | 48% | (32.4%) |
13.56~19.42ユーロ | 43% | (30.1%) |
22.58~29.14ユーロ | 37% | (27.0%) |
35.95~543.91ユーロ | 30% | (23.1%) |
543.92ユーロ超 | 8.263%+118.24ユーロ加算 |
(4) 動物用医薬品への薬局加算の上限(定額方式)は以下のとおりとする。
金額区分(税抜) | 上限加算(定額) |
---|---|
1.23~1.34ユーロ | 0.83ユーロ |
3.89~4.22ユーロ | 2.41ユーロ |
7.31~8.67ユーロ | 4.16ユーロ |
12.15~13.55ユーロ | 5.83ユーロ |
19.43~22.57ユーロ | 8.35ユーロ |
29.15~35.94ユーロ | 10.78ユーロ |
(詳しくは第3条「市販医薬品に対する薬局の上乗せ額」参照)

通常、薬局や卸売業者で在庫されていない医薬品を調達する際に発生する電報料金、電話料金、郵送料、関税その他の不可避な費用については、費用負担者(保険者など)の同意を得た上で、薬局が別途請求することができる。
(第8条 特別調達費用)
(1) 獣医師が動物の飼い主に医薬品を交付する場合には、第3条第1項第2文および第3文、第2項から第4項、第4条第1項および第2項、第5条第1項から第3項に準じた上乗せ額および付加価値税を上限として請求することができる。
(2) 第3条第2項に基づく価格が51.13ユーロを超える場合、超過部分に対しては以下の上乗せ額を適用するものとする。
51.13ユーロ超〜127.82ユーロまでは最大25パーセント、
127.82ユーロを超える部分については最大20パーセント。
(第10条 獣医師による上乗せ額)
医薬品法第78条第4項に該当する場合に完成医薬品を交付する際には、本規制の適用において、製薬企業の交付価格は州交付価格に置き換えられる。原材料または調製品を交付する場合においても、薬局仕入価格の算定および第4条第3項および第5条第4項に基づく薬局仕入価格に関する合意においては、同様に州交付価格を基準とする。
第4条第3項および第5条第4項および第5項にかかわらず、薬剤師の経済的利益を代表する団体は、健康保険者またはその団体と薬局仕入価格および上乗せ額に関する合意を締結することができる。(第11条 特例価格)
目次
前文
第1条 本規制の適用範囲
第2条 市販医薬品に対する卸売業者の上乗せ額
第3条 市販医薬品に対する薬局の上乗せ額
第4条 原材料に対する薬局の上乗せ額
第5条 原材料から調製された製剤に対する薬局の上乗せ額
第6条 薬局の時間外手数料
第7条 麻薬および医薬品処方規則第3a条に基づく医薬品
第8条 特別調達費用
第9条 処方箋上の記載事項
第10条 獣医師による上乗せ額
第11条 特例価格
第12条 発効日および廃止規定
基礎情報
法令(現地語) |
Arzneimittelpreisverordnung (AMPreisV)
|
法令(日本語) | 医薬品価格規制 (AMPreisV) |
公布日 | 1980年11月14日 |
所管当局 | 連邦保健省(BMG) |
作成者

株式会社先読