解説南アフリカ-有害化学物質規則

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法令の情報時期:2021年3月 公布版 ページ作成時期:2025年4~5月

目的

目的

本規則の目的は、労働安全衛生法に基づき、職場で使用される有害化学物質による健康・安全上のリスクを管理・低減することである。

概要

概要

本規則では、職場で使用される有害化学物質による健康および安全上のリスクを管理および低減するために、雇用主や輸入業者、製造業者、供給業者に対し、ばく露評価、空気中濃度の監視、健康診断、SDS(安全データシート)の作成およびGHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)に準拠した表示・包装などの義務が課されている。

適切な個人用保護具の提供、記録の保存、成分情報の開示、廃棄方法の遵守が要求され、これらの規定に違反した場合には罰則が科される。

注目定義

<対象者>

■ 「製造者」(manufacturer)

「製造者」とは、有害化学物質を南アフリカ国内で製造する者をいう。

■ 「輸入者」(importer)

「輸入者」とは、有害化学物質を職場で使用する目的で南アフリカに輸入する者をいう。

■ 「供給業者」(supplier)

「供給業者」とは、有害化学物質を流通・販売する事業者(製造者や輸入者を含む)をいう。

■ 「小売業者」(retailer)

「小売業者」とは、一般消費者や事業者に有害化学物質を販売する者をいう。

<対象製品>

■ 「空気モニタリング」(air monitoring)

「空気モニタリング」とは、空気中の有害化学物質の濃度を測定・監視することをいう。

■ 「有害化学物質/HCA」(hazardous chemical agent / HCA)

「有害化学物質」または「HCA」とは、人の健康に悪影響を及ぼすおそれのある化学物質をいう。

■ 「容器」(container)

「容器」とは、化学物質を収容・保護・取り扱いするための入れ物をいう。

■ 「消費者製品」(consumer product )

「消費者製品」とは、有害化学物質を含む製品であり、以下の条件を満たすものをいう。 (a) 主として家庭用消費者または事務所での使用を目的として、包装または再包装されていること (b) その製品が主として家庭用消費者による使用を目的として、包装または再包装されている場合には家庭用消費者が実際に使用することを意図した方法および数量で包装されていること (c) その製品が主として事務所での使用を目的として、包装または再包装されている場合には事務所業務での使用を意図した方法および数量で包装されていること

■ 「CAS番号/化学的識別名」(CAS number / chemical identity)

「CAS番号」または「化学的識別名」とは、物質を一意に特定する番号や名称をいう。

■ 「GHS」(GHS)

「GHS」とは、国際連合が策定した「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)」の略称であり、化学品の危険有害性を国際的に統一された基準で分類し、その内容をラベルや安全データシート(SDS)により適切かつ明確に伝達するための枠組みをいう。

■ 「発がん性物質」(carcinogen / CARC)

「発がん性物質」とは、がんを誘発する、またはその発生率を高めるいかなる化学物質または混合物を意味し、GHSにより以下のいずれかとして分類されるものをいう。 (a) カテゴリー1:人に対する発がん性が知られている、または推定されるもの (b) カテゴリー2:人に対する発がん性が疑われるもの

■ 「ばく露」(exposure)

「ばく露」とは、吸入、皮膚接触などにより、化学物質にさらされることをいう。

■ 「評価」(assessment)

「評価」とは、ばく露リスクの有無や程度、対応措置の必要性を判断するための一連の行為をいう。

■ 「BEI/生物学的ばく露指標」(BEI / biological exposure index)

「BEI」または「生物学的ばく露指標」とは、生物学的モニタリング結果を評価するための基準値であり、有害な健康影響の可能性を示す参考ガイドラインとして意図されたものをいう。 一般的には、職業ばく露限界値(OEL)で吸入ばく露を受けた健常な労働者から採取された検体において最も一般的に観察される決定因子(指標成分)の水準を表す。

■ 「OEL/職業ばく露限界値」(OEL / occupational exposure limit)

「OEL」または「職業ばく露限界値」とは、大臣によって定められた基準値であって、有害化学物質の空気中濃度を示すものをいう。このばく露基準値は、次のいずれかの形式を取りうる。 (a) 8時間加重平均値 (b) 天井値 (c) 短時間ばく露限界値

■ 「安全データシート/SDS」(safety data sheet / SDS)

「安全データシート」または「SDS」とは、GHSに準拠し、有害化学物質の危険性分類、性質、安全な取扱いや作業手順、ならびに職場における健康および安全への影響に関する情報を提供する文書をいい、第14A条に従って作成されたものをいう。

■ 「危険クラス」(hazard class)

「危険クラス」とは、GHSに基づく、物理的危険性、健康への有害性、または環境への有害性の性質をいう。

■ 「危険区分」(hazard category)

「危険区分」とは、GHSにおける危険クラス内の基準の区分をいい、同一の危険クラス内における危険の重篤度を比較するものをいう。

■ 「危険表示ピクトグラム」(hazard pictogram)

「危険表示ピクトグラム」とは、GHSにおいて危険クラスまたは危険区分に割り当てられた、特定の情報を伝達することを目的とした図形構成をいう。記号に加えて枠線、背景模様、色などの視覚的要素を含む。

■ 「危険に関する注意喚起文」(hazard statement)

「危険に関する注意喚起文」とは、GHSにおいて危険クラスまたは危険区分に割り当てられた文言であり、有害化学物質の危険性の性質および、必要に応じてその程度を記述するものをいう。

■ 「閾値/GHS閾値/GHS濃度限界」(cut-off value / GHS cut-off value / GHS concentration limit)

「閾値」または「GHS閾値」または「GHS濃度限界」とは、有害化学物質を含む混合物について、その有害化学物質を含むことにより分類が必要となる最小濃度をパーセントで表したものをいう。

適用除外(対象外・猶予・免除等)

ばく露

規則またはアスベスト除去規則適用れる場合は、規則規定適用ない。

31項、6および7規定以下適用しない。
(a) 自営業者、(b) 有害化学物質に曝露される可能性のある作業を行う雇用者または自営業者や、有害化学物質の製造者、輸入者、供給者または小売業者職場訪問する

事業者が注意すべき内容

本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。
ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
情報伝達、連絡
  1. 雇用は、被雇用者有害化学物質ばく露するそれある作業従事する場合は、その被雇用者実際ばく露するに、当該職場設置労働安全衛生委員協議で、当該被雇用者に対して適切かつ十分情報、指示および訓練提供しなならない。また、その後も、委員推奨する間隔に従い、継続情報提供、指示および訓練実施しなならない。

  2. 前項想定れる情報、指示および訓練は、有害化学物質に関する規則について、当該職場において被雇用者ばく露するそれある有害化学物質に関する詳細、該当する安全データシート(SDS)入手方法、SDS各項目提供する情報内容、容器ラベル記載情報意味その提供理由といった情報を含めなければならない。

  1. 雇用は、有害化学物質輸送する車両運転手に対し、漏洩こぼれ緊急事態備え従う手順文書提供しなならない。

  2. 労働安全衛生法372に従い、雇用および委託は、情報提供、指示および訓練に関する規則3遵守確保するため、両者取り決める手続きおよび責任分担について書面合意しなならない。

(詳しくは第3条「情報提供、指示及び訓練」参照)

資格、認定
  1. 雇用または自営業は、関係する労働安全衛生代表または労働安全衛生委員協議したうえで、いかなる経路によるものあれ雇用ばく露す可能性あるどうか判断するため、直ちに評価実施し、その後2ない間隔継続評価わなならない。

  2. 雇用は、前項行う評価に関して、関係する労働安全衛生代表または委員に対して文書その実施計画通知し、意見述べる合理時間与えるとともに、評価結果当該代表または委員提供し、意見表明機会ならない。

  3. 雇用または自営業は、評価実施する際、その記録保持し、以下事項考慮入れならない。
    (a) 雇用ばくれる可能性ある有害化学物質
    (b) 当該有害化学物質雇用うる影響
    (c) 当該有害化学物質存在する可能性ある場所およびその物理形態
    (d) 雇用ばくうる経路およびばく程度
    (e) 作業工程性質、および制御措置合理劣化または不具合可能性

  1. 3基づく評価結果、雇用ばく露す可能性ある場合、雇用6および7規定に従ってモニタリング実施し、10に従ってばく管理れるよう保証しなならない。

  2. 雇用または自営業は、以下場合は、1基づく評価直ちにならない。
    (a) 前回評価もはや有効ではないわれる場合
    (b) 有害化学物質含む作業工程、またはその使用・取扱い・制御・処理に関する方法、機器または手順変更あっ場合
    この場合、2および3規定適用する。

(第5条「ばく露の評価」)

  1. 有害化学物質吸入問題なる場合は、54基づく雇用は、雇用ばくする有害化学物質空気濃度測定計画以下要件満たすよう保証しなならない。
    (a) 規則規定に従って実施れること
    (b) 関係する労働安全衛生代表または委員事前通知れ、意見述べる合理機会いること
    (c) 認可検査機関によって実施れること
    (d) 2規定に従い、雇用有害化学物質ばく代表する測定なること

  1. 1項(d)規定満たすために、雇用以下確保しなならない。
    (a) グループ測定行う場合は、OESSM(職業ばくサンプリング戦略モデル)3および4並びに技術付録Aに従ってサンプル人数選定すること。ただし、有害化学物質制限ある場合グループ上位10%信頼水準95%で、推奨ある場合信頼水準90%選定する。
    (b) 61条件に従い、附属22または3掲載OEL-MLまたはOEL-RL有する有害化学物質については、少なくとも24ごと代表測定実施すること

(第6条「空気モニタリング」)

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  1. 雇用は、以下いずれ該当する場合、雇用健康診断対象しなならない。
    (a) 附属24記載有害化学物質雇用ばくする可能性ある場合
    (b) 雇用健康有害化学物質ばくおり、識別可能疾病または有害影響ばく関連生じる可能性合理あり、かつ診断技術実施可能ある場合
    (c) 労働衛生専門医当該雇用健康診断対象すべ推奨した場合(この場合、産業医学専門医その妥当認定することできる)

  1. 1に従って健康診断実施するため、雇用可能限り以下確保しなならない。
    (a) 雇用就労開始または開始14以内に、労働衛生専門医によって初回健康評価実施れること。評価以下れる。
     (i) 医療および職業履歴評価
     (ii) 身体検査
     (iii) 適切評価行うため必要れるその他検査
    (b) 初回評価後、(a)(ii)および(iii)相当する検査が、2以内ごとまたは産業医学専門医指定する間隔実施れること

  1. 雇用は、産業医学専門医によって就労適格認定雇用を、有害化学物質ばくする職場またはその一部ならない。ただし、その雇用専門医により当該作業適格認定場合復職認めることできる。

  2. 雇用は、3に関する事象を、一般管理規則8に従って記録し、調査しなならない。

(第7条「健康診断」)

雇用は、以下実施しなならない。
(a) 5条(評価)、6条(空気モニタリング)、7条(健康診断)要求れるすべて結果記録保存すること。ただし、個人医療記録労働衛生専門医のみ提供可能する。
(b) (c)規定に従うこと条件に、(a)定める記録(個人医療記録除く)を、検査官による閲覧ため提示できるようすること。
(c) 雇用本人書面による同意ある場合、その雇用に関する記録当該第三者閲覧させること。
(d) すべて評価および空気モニタリング記録を、関係する労働安全衛生代表または委員閲覧可能すること。
(e) 評価および空気モニタリングすべて記録を、最低30年間保存すること。
(f) 雇用事業終了する場合は、すべて記録関連する地域ディレクター書留郵送するか、引き渡すこと。
(g) 12条(b)実施調査および試験並びにその結果としてわれ修理に関する記録を、少なくとも3年間保存すること。

(第9条「記録の保存」)

有害物質、危険物

雇用は、雇用有害化学物質ばくすること防止するか、少なくとも適切管理れるよう確保しなならない。ばくレベル職業ばく限界下回ること、または個人保護によってそれ達成れること求められる。さらに、逸脱一時健康リスクず、必要制限区域明示保護措置いること条件なる。

ばく管理は、使用量ばく人数・時間削減、代替物質使用、密閉局所排気など工学制御措置、適切作業手順策定実施れる。また、有害化学物質大気排出環境関連適合ていならない。
(詳しくは第10条「有害化学物質へのばく露の管理」参照)

化学物質の製造者または輸入者は、ある化学物質を職場供給する以下実施しなならない。
(a) 当該化学物質有害化学物質(HCA)該当するどうか判断するため、附属14および5記載参照危険評価行うこと
(b) その物質、混合物、または製品HCAある場合は、当該HCAに対してGHS基づく分類実施すること
(c) HCA組成変更あっ場合は、GHS分類見直すこと。
(第14条「有害化学物質の分類」)

化学物質製造または輸入は、有害化学物質職場供給するに、GHS(化学分類および表示に関する世界調和システム)準拠した安全データシート(SDS)作成し、英語明確かつ読みやすい形式提供しなならない。SDS附属1定める16項目含み、初回供給またはSDS記載情報変更場合雇用供給更新提供する必要ある。SDS5ごとれ、労働アクセス可能場所備え置くこと求められる。
(詳しくは第14A条「安全データシート(SDS)」参照)

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製造輸入は、有害化学物質製造または輸入した時点で、速やか正しく表示しなならない。供給業者小売業者も、正しく表示ていない有害化学物質職場使用する目的供給ならない。

雇用は、職場使用・取扱い・保管れる有害化学物質正しく表示いること、また有害化学物質専用容器正しく使われること、有害化学物質容器移すラベル正しく貼付すること求められる。配管の有害化学物質についても、近接表示標識などにより識別ならず、混合物場合中間製品でもいる。特にばく可能性あるサンプリング地点作業箇所、保守点検接続など可能限り識別する必要ある。

ラベルGHS準拠し、製品名、成分名、連絡先、緊急連絡先、シグナルワード(注意喚起語)、危険に関する注意喚起文予防措置、ピクトグラムなど情報含む。また、内容量、成分量、応急処置、有効期限など追加情報含めることできる。 (詳しくは第14B条「有害化学物質の表示」参照)

有害化学物質包装は、危険輸送勧告または国際海上危険規則(IMDGコード)要件ならず、製造または輸入は、製造または輸入できる限り速やかに、化学物質正しく包装する義務ある。

正しく包装た」は、容器健全状態あり、読みすく耐久性ある表示おり、内容に対して安全互換性ある材料できていて、通常取り扱いによる衝撃耐え、食品飲料誤認ないこと意味する。

小売業者購入持参容器有害化学物質詰め替える場合、または容器提供販売する場合も、上記同様正しく包装しなならない。雇用自営業は、正しく包装化学物質のみ受け取り、使用、保管、取扱いすること求められる。

さらに雇用は、化学物質輸送する容器車両明確識別いること可能限り確保し、1996国家道路交通準拠した輸送われいること保証しなならない。 (詳しくは第14C条参照)

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  1. 有害化学物質成分が、その化学物質適正分類(14条(b)き、危険クラスおよび危険区分含む)決定づける場合は、以下とおりする。
    (a) 附属14記載危険クラスおよび区分該当する場合は、当該成分化学識別開示しなならない。
    (b) 附属15記載場合は、以下条件すべて満たすとき限り、当該成分識別一般開示よい。
     (i) 成分識別商業上の機密情報あること。
     (ii) 当該成分が、附属14記載他の危険クラスおよび区分分類関与ていないこと。
     (iii) 当該成分職業ばく限界値(OEL)設定ていないこと。
    (c) 上記(b)該当しないすべて場合は、当該成分化学識別により開示しなならない。

  1. 1項(a)または(b)開示すべ成分化学識別または一般は、ラベルおよびSDS記載ならない。

  2. 1項(a)成分開示すべ場合は、その成分含有割合について以下いずれ方法開示しなならない。
    (a) 成分正確割合商業機密ない場合は、質量または体積に対する百分率正確割合表示すること。
    (b) 成分正確割合商業機密ある場合は、いずれ範囲うち該当するものとして表示すること。
     (i) 10%未満
     (ii) 10~30%
     (iii) 30~60%
     (iv) 60%以上
     (v) 上記(i)~(iv)いずれより狭い範囲

(第14D条「成分情報開示」)

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雇用は、有害化学物質廃棄について、可能限りリサイクル優先し、南アフリカ廃棄関連規則に従って分類・処理行う必要ある。

回収ばく防止容器入れ、使用容器車両洗浄・染しなければならない

雇用者は、作業従事する雇用適切保護提供し、廃棄処理業者利用する場合契約法令遵守明記しなならない。
(詳しくは第15条有害化学物質廃棄」参照)

目次

第1条 定義

第2条 適用範囲

第3条 情報提供、指示及び訓練

第4条 有害化学物質にさらされる可能性のある者の義務

第5条 ばく露の評価

第6条 空気中濃度の監視

第7条 健康診断

第8条 呼吸用保護区域

第9条 記録の保存

第10条 有害化学物質へのばく露の管理

第11条 個人用保護具及び施設

第12条 管理措置の維持管理

第13条 禁止事項

第14条 有害化学物質の分類

第14A条 安全データシート(SDS)

第14B条 有害化学物質の表示

第14C条 有害化学物質の包装

第14D条 成分の情報開示

第15条 有害化学物質の廃棄

第16条 違反及び罰則

第17条 既存規則の廃止

第18条 短縮名称及び施行日

附属書1
 表1:GHS危険クラス ― 物理的危険性
 表2:GHS危険クラス ― 健康有害性
 表3:GHS危険クラス ― 環境有害性
 表4:開示が求められる成分の識別情報
 表5:成分識別に使用される一般名

附属書2
 表1:禁止されている有害化学物質
 表2:有害化学物質に対する職業ばく露限界値 ― 最大限界値
 表3:有害化学物質に対する職業ばく露限界値 ― 制限限界値
 表4:有害化学物質に対する生物学的ばく露指標(BEI)

附属書3 有害化学物質に関するガイドライン

基礎情報

法令(現地語)

Occupational Health and Safety Act: Regulations: Hazardous Chemical Agents 2021

法令(日本語)

1993年労働安全衛生法に基づく2021年有害化学物質規則

公布日

2021年3月29日

所管当局

雇用・労働省

作成者

株式会社先読

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