法令の情報時期:2024年12月 U.S.C.確認 | ページ作成時期:2024年12月 |
目的

■ この解説の対象が属するチャプター85「大気汚染の防止と管理が構成する大気浄化法(Clean Air Act、CAA)」の目的は、国民の健康と国の大気資源の質を保護するために、大気汚染の防止と制御を達成するための国家的研究開発プログラムを立案し実施して、州政府および地方政府に技術的・財政的支援を提供することです。
■ アメリカの大気浄化法(Clean Air Act; CAA)において、国家環境大気質基準(National Ambient Air Quality Standards、NAAQS)は、パートA§7401(a)で記された、以下の目的などを共有している。
「大気汚染の防止、すなわち、排出源で生産または生成される汚染物質の量を、あらゆる手段で削減または除去することは、基本的に、州および地方自治体の主要な責任である。CAAでは、大気汚染の防止と制御を達成するため、連邦政府が国家的な研究開発プログラムを開始してそれを加速させ、最終的に大気汚染防止に関するプログラムの開発と実施を行うことで、州政府および地方政府に技術的および財政的支援を提供することにある。」
概要

■ アメリカの大気浄化法(Clean Air Act; CAA)において、国家環境大気質基準(NAQQS)が設けられ、一般的な大気汚染物質である、粒子状物質(particulate matter、PM)、地上オゾン、一酸化炭素、二酸化硫黄、二酸化窒素、鉛の6物質への規制が行われている。
■ NAAQSとして、一次基準(人々の健康を保護することを目的とする基準)と二次基準(環境や建物への悪影響を防ぎ、それにより人々の快適な生活を保護することを目的とする基準)を設けている。
■ EPAは、各州に対して、NAAQSを達成するための州実施計画(SIP)を策定することを義務付けている。SIPに排出制限値や遵守スケジュールのほか、風下にあたる他州の大気環境に重大な影響を与える排出を禁じる規定などを盛り込むことを義務付けている。
■ EPAは、各州に対して、NAAQSを達成している(達成地域)、もしくは未達成地域の分類を義務付けている。これら地域に新規施設の建設あるいは既存施設の拡張が行われる場合、大気質を維持できるような対策をSIPに盛り込むこと、としている。
■ 施設、工場などの排出源を持つ事業者は、この法に基づいた規則やガイダンスの従ったEPAと各州の規制により、排出に関する報告義務が生じ、また新しい施設の工事前に「新規排出源」として州や地域に合わせた許可を取得する必要がある。
注目定義
■ 「影響を受ける発生源」(Affected source)
「影響を受ける発生源」(Affected source)とは、サブチャプターIV-Aで定義されている用語をいう。(§7661(1)) |
■ 「主要発生源」(Major source)
「主要発生源」(Major source)とは、以下のいずれかに該当する固定発生源(または、連続した地域内に位置し、共通の管理下にある固定発生源のグループ)をいう。 (A) §7412で定義されている主要発生源 (B) §7602サブチャプターIパートDまたはその一部で定義されている主要な固定発生源。 (§7661(2)) |
事業者が注意すべき内容
本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |

§7407「大気質管理地域」において、各州は地域を、
(i) 未達成:大気質が特定の汚染物質に対する国家の一次または二次NAAQSを満たしていない地域、もしくは近隣の大気質に影響を与えている地域、
(ii) 達成:大気質が、一次または二次NAAQSを満たしている地域、
(iii) 分類不能、
のいずれかに分類し、指定するとしている。指定された地域は、EPAによって公布、公表される。

大気汚染物質の主要発生源に適用される。これには以下が含まれる。
- 特定の閾値を超える汚染物質を排出する施設。
- 新発生源性能基準(NSPS)や有害大気汚染物質排出基準(NESHAP)などの連邦基準の対象となる発生源。
- 公衆衛生上必要と判断された場合は、特定の小規模発生源も含まれる可能性がある。

許可要件(§7661b)
施設は有効な許可を取得し、これを遵守して操業しなければならない。
許可には以下の事項を含めなければならない。
- 排出制限および基準
- モニタリング、記録保管、報告要件
- 該当する大気浄化法の規定の遵守を確保する条件

許可の発行と更新(§7661c)
EPAの監督のもと、主に州実施計画(SIP)に基づき、州が許可プロセスを管理する。
許可は通常5年間有効であり、期限切れ前に更新しなければならない。
許可証の発行には、一般市民の参加と意見提出が義務付けられてる。

許可証手数料(§7661e)
排出源は、許可プログラムの管理費用を賄うための手数料を支払うことが義務付けられている。
州が効果的にプログラムを実施するための十分な資源を確保する。

施行(§7661f)
有効な許可証なしに操業したり、許可条件に違反したりした場合は、罰金や法的措置を含む重大な罰則が科せられる可能性がある。
目次
チャプター85 大気汚染の防止と管理
サブチャプターV—許可
7661. 定義
7661a. 許可プログラム
7661b. 許可申請
7661c. 許可要件および条件
7661d. 長官および隣接州への通知
7661e. その他の権限
7661f. 小規模事業所固定発生源技術および環境コンプライアンス支援プログラム
基礎情報
法令(現地語) | |
法令(日本語) | 大気浄化法(CAA)許可プログラム |
公布日 | 大気浄化法(CAA):1963年12月17日(本稿執筆時点の最終改正:1995年5月22日) |
所管当局 | 米国環境保護庁(Environmental Protection Agency、EPA) |
作成者

株式会社先読