法令の情報時期:2022年08月 公布版 | ページ作成時期:2025年04月 |
目的

規則は、課税年度中に納税者が使用開始した適格な電気自動車や水素自動車を含む商用クリーン自動車1台ごとに、課される税金に対する控除(クレジット)を規定している。
概要

内国歳入法(Internal Revenue Code、IRC)の§45W(U.S.C.26パート1:所得税、§45W)は、2022年インフレ削減法(Inflation Reduction Act of 2022、IRA)の下で導入され、適格な商用クリーン自動車に対する連邦税額控除(クレジット)を提供する。
この適格商用クリーン自動車クレジット(Section 45W Credit)は、2022年12月31日以降に使用開始される車両に適用されている。
§45Wクレジットは、IRAの下で制定または改正された3つの関連クリーン自動車クレジットの一つで、商用車を対象としている。残りの2つは、消費者用で、中古クリーン自動車に対する控除である§25Eクレジットと、新車クリーン自動車に対する控除である§30Dクレジットである。
適格商用クリーン自動車やそれに含まれる車両やバッテリーについて、定義している。
適格商用クリーン自動車もしくはそのバッテリーに対する申請要件に加えて、クレジット額やその計算方法などについて多数の例を引用して概説している。
注目定義
■ 「バッテリー電気自動車」(Battery electric vehicle)
「バッテリー電気自動車(BEV)」とは、外部電源から充電可能なバッテリーから電気を取り込み、電気モーターのみで推進する車両をいう。(§1.45W-1(b)) |
■ 「燃料電池電気自動車」(Fuel cell electric vehicle)
「燃料電池電気自動車(FCEV)」とは、以下を意味する; (i) 酸素と水素燃料を結合させることにより、化学エネルギーを直接電気に変換する1つ以上の電池から得られる電力によって推進する車両、 (ii) 小型車(乗用車または小型トラック)の場合、2005年08月08日以降に、当該車両が、大気浄化法(Clean Air Act)に基づき環境保護庁長官が定めた排出ガスレベルを、当該車種およびモデル年式の車両について満たしている、または満たしていることを示す証明書を受領している車両。(§1.45W-1(b)) |
■ 「プラグインハイブリッド電気自動車」(Plug-in hybrid electric vehicle)
「プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)」とは、外部電源から再充電可能なバッテリーを使用し、電気モーターを動力源として車両を大きく推進させ、ガソリンやディーゼルなどの別の燃料を内燃機関やその他の推進源に使用する車両をいう。(§1.45W-1(b)) |
■ 「プラグイン式ハイブリッド燃料電池電気自動車」(Plug-in hybrid fuel cell electric vehicle)
「プラグインハイブリッド燃料電池電気自動車(PHFCEV)」とは、外部電源から充電可能なバッテリーを使用し、車両を大きく推進する電気モーターと、燃料電池システムを介して電気モーターを駆動する水素燃料源を搭載した車両をいう。(§1.45W-1(b)) |
■ 「適格商用クリーン自動車」(Qualified commercial clean vehicle)
「適格な商用クリーン自動車」とは、§1.45W(c)および§1.45W-3(b)から(d)の要件を満たす自動車をいう。 適格な商用クリーン車両として適格な車両には、BEV、FCEV、PHEV、PHFCEVが含まれる。 以下の場合、車両は45W(c)項の要件を満たさない。 (i) クレジットを申請する納税者が当該車両を使用する前に、適格製造者が、当該車両の車両識別番号を報告し、§45W(c)の要件に適合していることを証明している当該車両に関する定期報告書を提出していない場合; (ii) 適格製造者が、当該車両の定期報告書に関して誤った情報を提供した場合; (iii) 当該車両に関して重大な変更があったが、適格製造者が定期報告書を更新しなかった場合。(§1.45W-1(b)) |
■ 「バッテリー」(Battery)
「バッテリー」とは、1つまたは複数の電池モジュールの集合体をいい、各電池モジュールは、電圧または電流を生成するために直列または並列に電気的に構成された2つまたは複数の電池を有する。 バッテリーという用語には、熱管理システム、電池またはモジュール以外の部分、例えば、バッテリー電池のケース、缶、ポーチなど、バッテリー内のエネルギーの電気化学的貯蔵に直接寄与しないものは含まれない。(§1.45W-1(b)) |
■ 「燃料電池」(Fuel cell)
「燃料電池」とは、スタック内の1つまたは複数の電池(セル)を意味し、酸素と水素燃料を結合させることで、化学エネルギーを直接電気に変換する。 燃料電池システムには、スタックのほか、ポンプ、センサー、熱交換器、ガスケット、コンプレッサー、再循環ブロワー、加湿器などの補助部品が含まれるが、これらに限定されるものではない。(§ 1.45W-2(d)) |
■ 「水素貯蔵」(Hydrogen storage)
「水素貯蔵」とは、水素を気体または液体として高圧タンクで車内に貯蔵することをいう。(§ 1.45W-2(d)) |
■ 「機械的付属品」(Mechanical accessories)
「機械的付属品」とは、車両の重要なシステムの機能をサポートするアクセサリであり、コンプレッサー、機械式ステアリングポンプ、ウォーターポンプを含むが、これらに限定されない。(§ 1.45W-2(d)) |
■ 「トランスミッション」(Transmission)
「トランスミッション」とは、BEV、FCEV、PHEV、PHFCEVの場合、ギアセットを使用する機械的装置をいう。 特に、BEVとFCEVの場合、トランスミッションとは、電気機械から車輪に動力を伝達する、単速または多速、単段または多段減速のギアボックスで構成されるコンポーネントいう。(§ 1.45W-2(d)) |
■ 「電気牽引駆動システムおよび構成部品」(Electric traction drive system and components)
「電気牽引駆動システム」とは、BEV、FCEV、PHEV、PHFCEVにおいて、車両の車輪と車軸にトルクを供給することにより、車両の推進力を提供するために使用されるシステムであり、電気モーター、インバーター、トランスミッションを含むが、これらに限定されない。(§ 1.45W-2(d)) |
■ 「エンジンおよびエンジン構成部品」(Engine and engine components)
(i) エンジン、(ii) 吸気および冷却システム、(iii) 組立付属品、(iv) コアエンジン構成部品コンポーネント、(v) エンジン管理センサーおよび電子機器、(vi) 排気ガスレギュレータおよびブリーザシステム、(vii) 燃料系統、(viii) 誘導空気充填および燃料導入システム、(ix) 後処理用の配電および検知、(x) 一次排気および後処理モジュール、(xi) バルブトレイン、などを含む。(§ 1.45W-2(d)) |
■ 「製造者」(Manufacturer)
「製造者」とは、40 CFRの第I章の規制の意味における製造者をいい、42 U.S.C. 7550(1)に定義されている。 |
■ 「適格製造者」(Qualified manufacturer)
「適格製造者」とは、§30D(d)(3)に記載された書面による合意に基づき、製造者が内国歳入庁(IRS)に定期書面報告書を提出する時点で、§30D(d)(3)に記載された要件を満たす製造者をいう。 適格製造という用語には、IRSによって適格製造者の資格が取り消された製造者は含まれない。(§1.45W-1(b)) |
■ 「車両総重量定格」(Gross vehicle weight)
「車両総重量定格(GVWR)」とは、車両1台の設計最大積載重量として製造者が指定する値をいう。(40 CFR 86.082-2、§1.45W-1(b)) |
■ 「§45W規則」(Section 45W regulations)
「§45W規則」とは、§45W自身および§1.45W-2~1.45W-5をいう。(§1.45W-1(b)) |
適用除外(対象外・猶予・免除等)
本法令には、法令全体からの適用除外や免除を規定する内容はない。
事業者が注意すべき内容
本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |

適格商用クリーン自動車に関するクレジットは、以下のいずれか低い額となる。(§1.45W-2(a))
-
- 車両本体価格(コスト)の15%(ガソリン/ディーゼルエンジンを搭載していない場合は30%)、または、
- 同等の従来型車両と比較した場合の増加費用

一台当たりのクレジットの上限は以下の額となる。(§1.45W-2(c))
-
- 車両総重量(GVWR)14,000ポンド未満の車両については、7,500ドル。
- 重量車(GVWR14,000ポンド以上)は40,000ドル。

商用クリーン車両は以下でなければならない。詳細は§1.45W-3の目次ページを参照する。(§1.45W-3(b))
-
- 商用であること。
- 適格製造者によって製造されたものであること。
- 使用またはリースのために取得されたものであること。
- 電気自動車または水素燃料電池自動車など的確な商用クリーン車両であること。
- 一般的には、§45W-3(c)などに基づき、適格な商用クリーン車両は、15キロワット時(車両総重量が14,000ポンド未満の車両の場合は7キロワット時)以上の容量を持ち、外部電源から充電可能な電池から電気を取り出す電気モーターによってかなりの程度走行しなければならない。

2022年12月31日以降に使用開始された車両に適用される。(パート1「所得税」1.30D-2(d))

バッテリー要件:電気自動車の場合、バッテリーは少なくとも以下の容量でなければならない。(§1.45W-3(d))
-
- 15 kWh(kilowatt hours、時間当たりのキロワット、14,000ポンド以上の車両の場合)
- 7 kWh(14,000ポンド未満の車両の場合)

同一車両について、複数のクリーン車両クレジット、例えば、§30Dと§45Wの両方、を申請することはできない。(§1.45W-4(d))

申請者は、クレジットを申請するために、車両識別番号(vehicle identification number、VIN)を提供し、IRSの文書要件を満たさなければならない。「車両識別番号」とは、専門用語および一般的な表現として、特に、輸入車を含む米国内のすべての自動車に製造者が割り当てる一連のアラビア数字およびローマ字(49 CFR 565.13(a)に定義)をいう。
運輸省(Department of Transportation、DOT)の一部である運営管理機関である米運輸省道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration、NHTSA)の権限に従う。(1.45W-5)
目次
パート1 – 所得税
1.45W-1 適格商用クリーン車両に対するクレジット;定義
(a) 一般
(b) 定義
(1) バッテリー
(2) バッテリー電気自動車またはBEV
(3) 燃料電池電気自動車またはFCEV
(4) 車両総重量定格またはGVWR
(5) 製造者
(6) 稼働
(7) プラグインハイブリッド電気自動車またはPHEV
(8) プラグインハイブリッド燃料電池電気自動車またはPHFCEV
(9) 適格商用クリーン車両
(10) 適格製造者
(11) 長官
(12) §45W規定
(13) 法令上の参照;(i) 第1章、(ii) 規定、(iii) サブタイトルA
(c) 適用開始日
1.45W-2 45Wのクレジット額;追加費用
(a) 車両ごとの金額
(b) 追加費用
(1) 一般
(2) メーカーの費用
(3) 小売価格相当額;(i) 一般、(ii) 小売価格、(iii) 小売納入価格、(iv) セーフハーバー
(4) 比較対象車両;(i) 一般原則、(ii) 同一メーカーのガソリンまたはディーゼルエンジン車、(iii) サイズおよび用途が類似する車両、(iv) 例:(A) 事実、(B) 分析
(c) 追加コストの算定式および計算
(1) 内燃機関パワートレインのコスト
(2) バッテリー式電気自動車
(3) プラグインハイブリッド電気自動車
(4) 燃料電池電気自動車
(5) プラグインハイブリッド燃料電池電気自動車
(6) 補助動力装置を除外して決定された増分費用
(7) 追加のバッテリー、燃料電池、または水素貯蔵装置を含めて決定された増分費用
(8) マイナスの増分費用はゼロとして処理
(9) 比較可能な車両が存在しない場合の増分費用
(10) 適格製造者の増分コスト決定に対する納税者の信頼
(11) 安全港(法令違反を問われない範囲)
(d) 定義
(1) バッテリー
(2) 電気牽引駆動システムおよびコンポーネント
(3) 電気付属品
(4) エンジンおよびエンジンコンポーネント
(5) 燃料電池
(6) 水素貯蔵
(7) 水素貯蔵コスト
(8) 機械付属品
(9) トランスミッション
(e) 例
(1) 例1;(i) 事実、(ii) 分析
(2) 例2;(i) 事実、(ii) 分析
(3) 例3;(i) 事実、(ii) 分析
(f) 他の個人または事業体によって以前に就役した適格商用クリーン車両の増分費用
(1) 一般
(2) 他の個人または事業体によって以前に稼働状態に置かれた適格商用クリーン車両の耐用年数
(3) 残存価額の要素
(4) 例;(i) 事実、(ii) 分析
(g) 適用開始日
1.45W-3 適格商用クリーン車両
(a) 一般規定
(b) 納税者による使用またはリースを目的として取得され、転売を目的としていないこと
(1) 一般規定
(2) リース取引の再分類
(c) 車両の種類
(1) 一般規定
(2) 路上走行車両
(3) 移動機械
(d) 電動機およびバッテリーの要件
(1) 一般規定
(2) 外部電源から充電可能なバッテリー
(e) 適用日
1.45W-4 特別規定
(a) 二重利益の禁止
(1) 以前のセクション45Wまたは30Dクレジット
(2) その他のクレジットまたは控除の許容
(b) 特定の取引および使用によるクレジットの不適格性
(1) 一般規定
(2) 取り消された販売
(3) 車両の返却
(4) 再販売
(5) 課税年度において、車両が100%未満の取引または商用として使用された場合
(c) 還付
(1) 一般
(2) 取引または事業用としての使用が10%未満の場合の還付;(i) 一般、(ii) 非課税事業体による車両の使用への適用
(d) 任意の支払い選択
(e) リース
(f) 適用日
1.45W-5 報告要件
(a) 申告書の提出要件
(b) クレジットは通常、1つの確定申告書のみで申告できる
(1) 一般
(2) 贈与者信託
(3) パートナーシップおよびS法人(「S法人(corporation)」とは、米国において小規模企業向けの会社形態のことをいう)
(c) 納税者が製造業者証明およびIRSへの定期的な書面報告を信頼すること
(d) 適用日
基礎情報
法令(現地語) | |
法令(日本語) | 適格商用クリーン自動車クレジット規則 |
公布日 | 2022年08月16日 |
所管当局 | 内国歳入庁(Internal Revenue Service (IRS) |
作成者

株式会社先読