解説米国 – TSCA 化学品データ報告(CDR)

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法令の情報時期:2011年9月 公布版 (2024年09月27日最終改訂) ページ作成時期:2025年04月

目的

目的

このパートでは、化学物質を用いる特定の製造者(輸入業者を含む)を対象に、有害物質規制法(TSCA)に基づく報告および記録保存(化学物質データ報告(CDR))の手順を規定している。

概要

概要
  • この規則は、環境保護庁(Environmental Protection Agency、EPA)によって、TSCAインベントリに記載された特定の化学物質に関する情報の定期的な更新時に適用される。
  • 製造者は、TSCAに基づき、この規則において要求される情報の提出を怠る、または拒否した場合、違法となる。
  • また、この規則により要求される記録を保持せず、その記録へのアクセスも許可しなかった場合、違法となる。
  • TSCAでは、この規則に違反した者は、米国において民事上の罰則責任を負うこと、および刑事訴追される可能性がある。

注目定義

<<対象者>>

■ 「最上位の親会社」(Highest-level parent company)

「最上位の親会社」とは、以下の説明に従ってデータが報告される届出期間の開始時点における、当該サイトの所有階層の最上位の会社をいう。最上位の米国の親会社は米国内に所在し、最上位の外国の親会社は米国外に所在する。 最高レベルの米国の親会社と最高レベルの外国の親会社(該当する場合)を特定する方法は、以下の2つで代表されるルールなどに従う: (1) サイトが、他の企業に所有されていない単一の米国企業によって所有されている場合、その単一の企業が米国の親会社となる。 (2) サイトが、他の米国企業によって所有されている単一の米国企業によって所有されている場合(たとえば、上位企業の事業部または子会社である場合)、所有階層の最上位にある国内企業が米国での親会社となる。 米国外に上位の親会社がある場合は、所有階層における最上位の外国会社が親会社となる。

■ 「製造者」(Manufacturer)

「製造者」とは、化学物質を製造する者をいう。

■ 「小規模製造者 」(small manufacturer)

「小規模製造者」とは、次のいずれかの基準を満たす製造者(輸入業者を含む)をいう: (1) 第一の基準:物質の製造者(輸入業者を含む)は、もしあれば、その親会社と合わせた年間売上高が1億2千万ドル未満であれば小規模となる。  ただし、製造者(輸入業者を含む)が所有または管理する個々のサイトにおける特定の物質の年間製造量または輸入量が45,400キログラム(100,000ポンド)を超える場合、製造者(輸入業者を含む)は、この定義の(2)項に基づき小規模であると認められない限り、当該サイトにおける物質の製造または輸入に関する報告の目的上、小規模であるとは認められない。 (2) 第二基準:物質の製造者(輸入者を含む)は、その物質の量に関係なく、その親会社の年間売上高と合わせた合計が1,200万ドル未満の場合、小規模とする。ただし、EPAはインフレ指数などを参考に、上記売上合計金額を調節する場合がある。(§704.3)

■ 「子供による使用を意図したもの」(Intended for use by children)

「子供による使用を意図したもの」とは、化学物質または混合物が、特に14歳以下の子供による使用を意図した製品に、またはその製品に使用されることをいう。具体的には、その製品が14歳以下の子供向けであると一般的に認識されている場合などに、「子供による使用を意図した」とする。

■ 「報告対象化学物質」(Reportable chemical substance)

「報告対象化学物質」とは、§711.5に記載されている化学物質をいう。

■ 「サイト」(Site)

「サイト」とは、連続した敷地単位をいう。公道によってのみ分割された敷地は、1つの敷地とみなされる。1つの敷地内に複数の製造者を配置することができる。 (1) 受託製造、すなわち共同製造者によって製造される化学物質については、サイトは化学物質が物理的に製造される場所である。 (2) §711.5に記載された化学物質を輸入する輸入業者のサイトは、その人の組織内で化学物質の輸入に直接責任を負う事業単位の米国サイトとなる。  輸入業者は、場合によっては、米国内の組織の本部であることもある。米国内にそのような事業部または本部がない場合、輸入者のサイトの住所は、輸入業者のために送達を受理する権限を有する、輸入業者に代わって行動する代理人の米国住所となる。 (3) 1つの配送センターから異なる場所に送られる、いわゆる携帯型(ポータブル、移動型)製造者については、配送センターをサイトとみなす。

■ 「サイト限定」(Site-limited)

「サイト限定」とは、化学物質がサイト内でのみ製造あるいは加工され、化学物質としてまたはサイト外の混合物や成形品の一部として、商業目的で流通しないことをいう。 輸入された化学物質は決してサイト限定ではない。サイト限定化学物質とは、製造または加工された場所の外では商業目的で流通しないが、商業目的で製造または加工されたものと見なされる。

■ 「中央データ交換」(Central Data Exchange (CDX))

「中央データ交換(CDX)」とは、EPAの集中型電子文書受領システム、あるいはその後継システムをいう。

■ 「e-CDRweb」(e-CDRweb)

「e-CDRweb」とは、様式Uの記入およびCDRデータの提出のためにEPAが提供する、電子的なウェブベースのツールをいう。

■ 「製造」(Manufacture)

「製造」とは、商業目的で、製造、生産、または輸入することをいう。  商業目的で、既存の化学物質または化学物質の複合体から構成化学物質を抽出することが含まれる。 化学物質は、輸入以外で製造された場合、物理的に製造を行う者とその製造を請け負う(製造工程の基本技術などを管理するなどの)者が共同で製造する。

■ 「再包装」(Repackaging)

「再包装」とは、商業的な化学物質または混合物の流通に備え、化学物質または混合物をそのまま、ある容器から別の容器に物理的に移すことをいう。

■ 「使用」(Use)

「使用」とは、製造または加工という用語が他に適用されない、化学物質または混合物のあらゆる利用をいう。  化学物質または混合物の再包装が行われない場合、化学物質または混合物を収容する容器のラベルを貼り替えることまたは再分配することは、化学物質または混合物の使用または加工を構成しない。

■ 「商業的使用」(Commercial use)

「商業的使用」とは、販売可能な商品またはサービスを提供する商業的な企業における、化学物質または化学物質を含む混合物(成形品の一部を含む)の使用をいう。

■ 「工業的機能」(Industrial function)

「工業的機能」とは、化学物質または混合物が反応物として消費される、製剤、混合物、反応生成物、または成形品に、組み込まれる、再包装される、または使用される、意図された物理的または化学的特性をいう。

■ 「マスターインベントリファイル」(Master Inventory File)

「マスターインベントリファイル」とは、TSCAの§8(b)に基づき作成されたTSCAインベントリを構成する、EPAの包括的な化学物質リストをいう。 これには、連邦規則集40巻のパート710またはパート720に基づき報告された化学物質が含まれる。

■ 「暴露される可能性が合理的に高い」(Reasonably likely to be exposed)

適用除外(対象外・猶予・免除等)

制限、限定

711.8に記述され、40 CFR 704.3において「小規模製造者」(「小規模政府」も含む)に該当する場合。ただし、この除外にかかわらず、TSCAにおいて特定された化学物質に関しては、このパートの対象となる。(§711.9)

以下の活動は、報告が義務付けられていない。(711.10)

  • (a) 当該者が研究開発を目的として、当該化学物質を少量のみ製造または輸入した場合。
  • (b) 当該者が成形品の一部として当該化学物質を輸入した場合。
  • (c) 当該者が40 CFR §720.30(g)または(h)に記載されている方法で当該化学物質を製造した場合。
  • (d) 当該者が以下のいずれかの方法または量で当該化学物質を製造した場合。
    (1) EPAが示した特定の製造工程において特定の副産物質が、副産物質が生成されたのと同じ全体的な製造工程の一部である、サイト内に限定された物理的に囲まれたシステム内でリサイクルまたはその他の方法で使用され、かつ、そのサイトが副産物質またはリサイクルされた副産物質から製造された、または同じ全体的な製造工程で製造された別の化学物質を報告している場合。
    (2) その施設の化学物質製造工程に不可欠でなく、特定の設備のみで製造される副産物の量。
  • 以下の化学物質は、特定の条件によっては、情報が要求されない。(711.6)
    • 完全な免除:以下のカテゴリーの化学物質は、このパートの報告要件から免除される。
    • ポリマー(マスターインベントリファイルに「polym」と記載されているもの、または、酵素、リグニン、多糖類、タンパク質として特定されているもの、ゴム、シロキサン、シリコーン、またはシルセスキオキサンとしてものなどを含む)。
       ただし、この除外は、この反応の意図された生成物が完全に高分子構造である場合を除き、解重合、加水分解、または他の方法で化学的に修飾された高分子物質には適用されない。
    • 微生物
    • 40 CFR 710.4(b)に記載されている、天然に存在する化学物質。
       ただし、この除外の適用可能性は、問題の化学物質を製造する者の具体的な活動によってその都度決定される。
       また、化学物質の中には、40 CFR 710.4(b)に記載された製造者と、40 CFR 710.4(b)に記載された製造者以外の製造者の両方で製造できるものがある。
    • 水および特定の形態の天然ガス。
    • 一部免除: EPAは、このパートの表1「TSCA化学物質データ報告の目的で「石油プロセスストリーム」と呼ばれる一部免除化学物質のCASRNについて」に記載される化学物質を、「石油プロセスストリーム」として、CDRに基づく報告の一部免除に指定している。
       ただし、これら化学物質群は、§15(b)(4)の報告要件から免除されるが、このパートの他の報告要件から除外されない。

事業者が注意すべき内容

本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。
ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
19

このパートにより、製造者(輸入業者を含む)は、商業上の化学物質の生産および使用に関する情報をEPAに提供することが義務付けられている。

EPAに情報を報告する者はすべて、25、000 lb(ポンド、11,340 kg)以上、ただし、711.8(b)に記載された規程、命令または措置の対象となる化学物質については2,500 ポンド(1,134 kg以上)の製造(輸入を含む)が行われた、化学物質ごとに報告しなければならない。(§711.5)

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EPAが提供するe-CDRweb報告ツールおよびCDXシステムを使用して、様式Uに記入しなければならない。(§711.15(a)または(b))

文書登録、文書管理、文書作成

報告されるべき情報には以下が含まれる。(§711.15(b)):

  • 提出企業の正式な職員が署名し、日付を記入した証明書、化学物質固有の情報、加工と使用に関する化学物質固有の情報など。(§711.15)
文書登録、文書管理、文書作成

報告書の収集は4年ごとに、特定の期間で実施される。例えば、2024年のCDR提出期間は、2024年06月01日から2024年11月22日までであった。

以降の定期提出期間は、2028年から4年間隔で各年の06月01日から09月30日までとなる。(711.20)

制限、限定

その他の免除については例えば、操業開始時などに一度報告を行ったサイト、特定の輸入業者などは、報告書の提出義務から免除される。(§711.22)

製造者のうち、小規模製造者と定義された製造者は、通常、報告義務から免除される。(711.9)

目次

パート711:TSCA化学物質データ報告 §711.1 – 711.35

§711.1 範囲、遵守、施行

§711.3 定義

§711.5 報告が義務付けられる化学物質

§711.6 報告が義務付けられない化学物質

§711.8 報告義務のある者

§711.9 この規定の対象外となる者

§711.10 報告が義務付けられない活動

§711.15 EPAへの報告情報

§711.20 報告の時期

§711.22 重複報告

§711.25 記録保管要件

§711.30 機密保持の主張

§711.35 電子申請

基礎情報

法令(現地語)

Title 40 Chapter I Subchapter R Part 711

TSCA Chemical data reporting requirements(CDR)

法令(日本語)

TSCA 化学品データ報告(CDR)

公布日

2011年09月06日

所管当局

環境保護庁(Environmental Protection Agency、EPA)

作成者

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株式会社先読

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