法令の情報時期:2024年03月 公布版 | ページ作成時期:2025年03月 |
目的

「TSCAリスク管理規則-サブパートF:クリソタイルアスベスト」では、健康への不当な危害のリスクを防止するため、クリソタイルアスベスト(CASRN 132207-32-0)の製造(輸入を含む)、加工、商業における流通、使用、および廃棄に関する一定の制限を定める。
概要

この規則は、米国人の健康への不当な危害のリスクを防止するため、クリソタイルアスベスト(CASRN 132207-32-0)を対象としている。
クリソタイルアスベスト含有製品または成形品を含むクリソタイルアスベストの製造(輸入を含む)、成形品の加工、商業における流通、商業使用は、その用途(隔膜、ガスケット、核物質など)によって異なる日程で、段階的に禁止される。
施設の所有者もしくは運営者は、クリソタイルアスベストの製造、加工、流通、使用を行う際、規制区域やばく露管理手順および計画などを明確にし、「暫定的な職場管理プログラム」において、ばく露モニタリング、保護具の選択、職場での訓練などを行う必要がある。また、それら情報や記録の保持を行う必要もある。
2024年11月25日以降、対象となるクリソタイルアスベストおよびクリソタイルアスベスト含有製品または成形品を廃棄する者は、アスベスト一般産業基準の廃棄物処理要件に準拠し、破棄する必要がある。
注目定義
■ 「所有者または運営者」(Owner or operator)
「所有者または運営者」とは、この付属規定の対象となる作業場を所有、リース、運営、管理、または監督する者をいう。 |
■ 「隔膜」(Diaphragm)
「隔膜」とは、塩素および水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)の製造において陽極と陰極の化学物質を隔てる半透性の隔膜をいう。 |
■ 「ガスケット」(Gasket)
「ガスケット」とは、固定部品間の漏れ防止シールを形成するために使用される部品をいう。 |
■ 「化学製品としてのシートガスケット」(Sheet gaskets in chemical production)
「化学製品としてのシートガスケット」とは、アスベスト含有ゴムシートを含むシートから切り取られたガスケットで、二酸化チタンの製造や核物質の処理など、過酷な条件下での用途に施設で使用されるものをいう。 |
■ 「その他のガスケット」(Other gaskets)
「その他のガスケット」とは、シートガスケット以外の化学製品製造用ガスケットをいい、多目的車両の排気システムで使用されるガスケットを含む。 |
■ 「その他の車両用摩擦製品」(Other vehicle friction product)
「その他の車両用摩擦製品」とは、オフロード車両、列車、航空機など、あらゆる車両に搭載されるブレーキやクラッチなどの摩擦製品をいい、アフターマーケットの自動車用ブレーキやライニングは含まれない。その他の車両用摩擦製品には、米国航空宇宙局(NASA)が所有・運営する大型機器の輸送用特殊貨物機であるNASAスーパーグッピータービン航空機で使用される成形品は含まれない。 |
■ 「核物質」(Nuclear material)
「核物質」とは、その原料物質のすべて、特殊核物質、または副産物物質(1954年原子力法(改正後)および同法に基づく規則で定義されている)をいう。 |
■ 「油田ブレーキブロック」(Oilfield brake blocks)
「油田ブレーキブロック」とは、油田掘削装置の巻き上げ機構で使用されるドラッワークスの摩擦ブレーキブロック部品をいう。 |
■ 「成形品」(Article)
「成形品」とは、製造された物を意味し、 (1) 製造中に特定の形状またはデザインに形成される物、 (2) 最終用途において、その形状またはデザインに全体的または部分的に依存する最終用途機能を有する物、および、 (3) その最終用途中に化学組成の変化がないか、またはその組成の変化は、成形品とは別の商業目的を持たず、他の化学物質、混合物、または成形品の最終用途中に生じる化学反応に起因する物のみである。 ただし、流体および粒子は、形状またはデザインに関わらず、成形品とは見なされない。 |
■ 「規制区域」(Regulated area)
「規制区域」とは、規制対象者が特定の化学物質の大気中濃度がECELを超える、または超える可能性が十分ある区域として定める区域をいう。 |
■ 「サバンナリバーサイト」(Savannah River Site)
「サバンナリバーサイト」とは、サウスカロライナ州のアイケン郡、バーンウェル郡、アランデル郡にあるサバンナリバーサイトにおけるエネルギー省の核廃棄物管理および関連国防業務をいい、Hキャニオン、FおよびHタンクファーム、国防廃棄物処理施設、サバンナリバー国立研究所、およびサバンナリバー核物質ソリューションズが管理するすべての施設での業務を含む。 |
■ 「処理」(processing)
「処理」とは、本セクションに基づく廃棄のみを目的としたクリソタイルアスベスト廃棄物の処理を除いた、有害物質規制法(15 U.S.C. 2602)セクション3と同じ意味をいう。 |
■ 「廃棄」(Disposal)
「廃棄」とは、クリソタイルアスベスト、クリソタイルアスベスト含有製品または成形品の廃棄、投棄、またはその他の方法で耐用年数を完了または終了させることをいう。 |
■ 「商業における流通」(Distribution in commerce)
「商業における流通」とは、このセクションに従って廃棄のみを目的とするクリソタイルアスベスト廃棄物の流通は含まれないことを除き、有害物質規制法(15 U.S.C. 2602)セクション3と同じ意味を持つ。 |
適用除外(対象外・猶予・免除等)
この規則には、規則全体からの適用除外や免除を規定する内容はない。
事業者が注意すべき内容
本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |

2024年05月28日以降、すべての者に対して、塩素アルカリ産業における隔膜用のクリソタイルアスベスト(クリソタイルアスベスト含有製品または成形品を含む)の製造(輸入を含む)が禁止されている。(§751.507)

2029年05月28日以降、すべての者に対して、塩素アルカリ産業における隔膜用のクリソタイルアスベストまたはクリソタイルアスベスト含有製品や成形品の加工、商業における流通、商業使用は、すべて禁止される。
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- ただし、2032年05月25日までは、最低1施設において非クリソタイルアスベスト隔膜技術への転換を行い、かつ、この施設の処理、流通、商業利用をすべて中止していた場合、2施設以下において、クリソタイルアスベスト含有製品または成形品を含むアスベストアスベストを、加工、商業における流通、商業利用することができる。(§751.507(a)(2))
- 塩素アルカリ産業のアスベストアスベストの使用における遵守の証明方法は、§751.507のすべての要件を遵守していることをEPAに証明するため、施設名、施設管理者、当該施設におけるクリソタイルアスベストの加工や商業における流通などに係わる内容を提出しなければならない。加えて、証明書に署名し、公害防止および有害物質対策局(Office of Pollution Prevention and Toxics、OPPT)長官に、特定の期日までに提出しなければならない。(§751.509)

2026年05月27日以降、すべての者に対して、化学製品製造用のシートガスケットとして使用する(クリソタイルアスベスト含有製品または成形品を含む)クリソタイルアスベストの製造(輸入を含む)、加工、商業流通、商業利用を禁止される。ただし、以下の例外はある。(§751.509)
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- 2026年05月27日までにすでに設置され使用されている化学製品製造用のシートガスケットは、商業流通および商業使用の禁止の対象とはならない。
- 2029年05月28日までは、いかなる者も①二酸化チタン製造用、②核物質の処理用のクリソタイルアスベストシートガスケットを商業的に使用することができる。
- 2037年12月31日までは、いかなる者も、サバンナリバーサイトにおける核物質の処理にクリソタイルアスベストシートガスケットを商業的に使用することができる。
- 一方で、2024年11月25日以降、クリソタイルアスベストシートガスケットを核物質処理に商業的に使用する者は、ばく露管理を導入するなど、被ばくの可能性がある作業員を保護しなければならない。

2024年11月25日以降、すべての者は、商業用として、以下のものを含むクリソタイルアスベスト(クリソタイルアスベスト含有製品または成形品を含む)の製造(輸入を含む)、加工、流通、商業的使用を禁止されている。
(1) 油田用ブレーキブロック、
(2) 自動車アフターマーケット用ブレーキおよびライニング、
(3) その他の車両用摩擦製品、
(4) その他のガスケット。
ただし、すでに商業用に設置されている(2)~(4)は禁止の対象とならない。(§751.509(d))

所有者または運営者は、「クリソタイルアスベストばく露に関する暫定的な職場管理プログラム」において、
(a) 塩素アルカリ産業におけるクリソタイルアスベスト隔膜用のクリソタイルアスベスト含有製品または成形品を含む、クリソタイルアスベストの加工および商業的使用と、
(b) 二酸化チタン生産用のクリソタイルアスベストシートガスケットの商業的使用が適用される。そして、暫定既存化学物質ばく露限界(ECEL)などについて初期と追加のばく露モニタリングを施行し、情報などを収集する必要がある。
また、規制区域などの内容を含むばく露管理手順および計画を策定しなければならない。その他、呼吸用保護具の選択、職場での情報や訓練などの要件を満たす必要がある。(§751.511)

2024年11月25日以降、§751.505の対象となるクリソタイルアスベストおよびクリソタイルアスベスト含有製品または成形品を廃棄する者はすべて、クリソタイルアスベストおよびクリソタイルアスベスト含有製品または成形品を、該当する場合アスベスト一般産業基準(29 CFR 1910.1001(k))に従ってアスベスト廃棄物処理要件に準拠し、§751.509(e)に則って廃棄する必要がある。(§751.513)

「記録保持」の要件として、クリソタイルアスベストを製造(輸入を含む)、加工、または商業流通させる、あるいは商業利用するすべての者は、このセクションの禁止、制限、およびその他の規定の遵守に関連する請求書やBOLなどの通常の業務記録を保存しなければならない。
具体的には、(a) 一般記録、(b) 塩素アルカリ産業の記録に関する遵守の証明、(c) 暫定的な職場におけるクリソタイルアスベストばく露の記録の保存が求められる(§751.515)
目次
サブパートF クリソタイルアスベスト
§751.501 全般
§751.503 定義
§751.505 塩素アルカリ産業におけるクリソタイルアスベスト隔膜の製造、加工、商業流通および商業利用
§751.507 塩素アルカリ産業における遵守の証明
§751.509 クリソタイルアスベストの製造、加工、流通、商業利用に関するその他の禁止および制限
§751.511 クリソタイルアスベストばく露に関する暫定的な職場管理
§751.513 廃棄
§751.515 記録保持
基礎情報
法令(現地語) |
Title 40/ Chapter I/ Subchapter R/ Part 751/ Subpart F—chrysotile asbestos |
法令(日本語) | TSCAリスク管理規則-クリソタイルアスベスト |
公布日 | 2024年3月28日 |
所管当局 | 環境保護庁(Environmental Protection Agency、EPA) |
作成者

株式会社先読