解説米国 – TSCAリスク評価規則

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法令の情報時期:1982年1月(2024年5月改正版) ページ作成時期:2025年04月

目的

目的

規則はTSCAに基づいて、環境保護庁(U.S. Environmental Protection Agency、EPA)が責任を遂行する、化学物質のリスク評価と管理に関する一般的な慣行と手順を概説している。

概要

概要

TSCAの特定の規定を実施する際に従うEPAの一般的な手続きを定めている。

手続きでは、化学物質の優先順位付けとリスク評価が行われる。

優先順位付けの過程において、EPAは化学物質を高優先物質と低優先物質分類する。

リスク評価において、EPAは高優先順位の化学物質のリスク評価を実施し、化学物質が健康や環境に不当なリスクをもたらすかどうかを判断する。

注目定義

■ 「法律」(Act)

「法律」とは、改正された有害物質規制法(Toxic Substances Control Act、TSCA)(15 U.S.C. 2601以降)をいう。

■ 「使用条件」(Conditions of use)

「使用条件」とは、化学物質が製造、加工、流通、使用、または廃棄されることが意図され、知られ、または合理的に予測される状況において、製造者が決定する状況をいう。

■ 「合理的に入手可能な情報(」(Reasonably available information)

「合理的に入手可能な情報」とは、15 U.S.C.2605(b)に規定される優先順位付けとリスク評価の期限を考慮し、EPAが保有する、あるいは使用のために合理的に生成、入手、および合成できる情報をいう。このような条件を満たす情報は、15 U.S.C.2613に基づき公開から保護される業務上の秘密情報であるか否かにかかわらず、合理的に入手可能な情報である。

■ 「高優先物質」(High-priority substance)

「高優先物質」とは、コストまたは他の非リスク要因を考慮することなく、EPAが関連すると特定した潜在的にばく露されやすい、または感受性の高い集団で、使用条件下における潜在的な危険性およびばく露経路によって、健康または環境に対して不合理な傷害のリスクをもたらす可能性があると判断された化学物質をいう。

■ 「低優先物質」(Low-priority substance)

「低優先物質」とは、コストまたは他の非リスク要因を考慮することなく、十分な情報に基づき、低重要物質の基準を満たさないとEPAが結論する化学物質をいう。

適用除外(対象外・猶予・免除等)

本法令には、法令全体からの適用除外や免除を規定する内容はない。

事業者が注意すべき内容

本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。
ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
文書登録、文書管理、文書作成

EPAがTSCAの特定の規定を実施する際に従う一般的な手続きを定める。手続きには、化学物質の優先順位付けとリスク評価が行われる。(§702.1)

  • 優先順位付けプロセス(§702.1(b)):EPAは化学物質を高優先物質(リスク評価が必要)または低優先物質(現時点では評価は不要)に分類しなければならない。
  • リスク評価(§702.31 – §702.49):EPAが既存化学物質のリスク評価を実施し、化学物質が健康や環境に不当なリスクをもたらすかどうかを判断する方法について詳細に規定する。
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リスク評価は以下の手順で行われる。(§702.31 – §702.49)

  • 優先順位付けの過程でEPAが高優先物質として指定した化学物質、またはEPAが指定した製造者の要請(§702.45)した化学物質の、リスク評価が開始する。
  • 各リスク評価は、考慮すべき危険性、ばく露、使用条件、リスクのある集団を定義する範囲文書から開始される。(§702.41)
  • EPAは、3年以内にリスク評価を完了しなければならない。ただし、6ヶ月の延長が可能である。(§702.41(c)、702.43)
  • 連邦官報の通知を通じて、市民はリスク評価に関する草案の対象範囲および評価文書について意見を述べる機会が与えられている。(§702.39、702.49)
  • EPAはリスク評価において科学的証拠の重み付けを行い、最善の科学に基づく決定を確保することが義務付けられている。(§702.33)
  • EPAは、リスク評価プロセスにおいて、透明性と包括性を確保するために、他の連邦政府機関、利害関係者、および部族政府と調整を行う。(§702.35)
  • EPAは、不必要な試験を回避し、効率的な評価を優先させるために、既存の合理的に入手可能な情報を使用する。例えば、以下の事などを行う。
    (1) EPAは、リスク評価を実施する際に、適用されるEPAガイダンスを使用する。
    (2) EPAは、リスク評価が入手可能な最善の科学と整合しており、科学的証拠の重みに基づいていることを文書化する。
     例えば、情報を構成するために採用された科学情報、技術的手順、手段、方法、プロトコル、方法論、またはモデルが、当該情報の使用目的に対してどの程度妥当であり、整合しているか、について判断する。(§702.37)

一般的に各リスク評価には、以下のすべての構成要素が含まれる(§702.39):

    1. 範囲(使用条件など決定)
    2. 危害評価(使用条件下における化学物質の潜在的な健康および環境への有害性を記述するための情報の特定や評価)、
    3. 暴露評価(使用条件下で起こりうる暴露の持続時間、強度、頻度、数など)
    4. リスク評価(危険有害性およびばく露評価を統合し、使用条件下において、ばく露されやすいまたは影響を受けやすい集団を含め、健康または環境に対する具体的な危害やリスクに関連する定量的および/または定性的推定値を算出などを評価)、および
    5. リスク判定(EPAは、使用条件の下でもたらされるリスクを検討した上で、化学物質が不合理なリスクを示すか否かを判断し、EPAが不合理なリスクであると判断する場合、当該判断に大きく寄与した使用条件を特定するなどを行う)

リスク評価では、労働者、子供、高齢者など、潜在的にばく露されやすい、または影響を受けやすい小集団を考慮しなければならない。(§702.41(a))

目次

サブチャプターR 有害物質規制法

パート702 一般的な慣行と手順 §702.1 – 702.62

サブパートA リスク評価のための化学物質の優先順位付けの手順 §702.1 – 702.17

§702.1 総則

§702.3 定義

§702.4 [留保]

§702.5 候補者選考

§702.7 優先順位決定プロセスの開始

§702.9 審査及び優先順位指定案

§702.11 最終優先順位指定

§702.13 指定の変更

§702.15 低重要物質指定の影響

§702.17 高優先物質指定の影響

サブパートB 化学物質リスク評価の手順化学物質リスク評価の手順 §702.31 – 702.49

§702.31 総則

§702.33 定義

§702.35 リスク評価の対象となる化学物質

§702.37 評価要件

§702.39 リスク評価の構成要素

§702.41 ピアレビュー

§702.43 リスク評価の措置と時間枠

§702.45 リスク評価に関する製造者の要望の提出

§702.47 省庁間の協力

§702.49 一般に入手可能な情報

 

サブパートC 市民訴訟 §702.60 – 702.62

§702.60 目的

§702.61 通知の送達

§702.62 通知の内容

基礎情報

法令(現地語)

40 CFR PART 702—General Practices and procedures

法令(日本語)

TSCAリスク評価規則

公布日

1982年1月19日(2024年5月改正版)

所管当局

環境保護庁(U.S. Environmental Protection Agency、EPA)

作成者

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株式会社先読

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