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解説米国 – TSCAリスク管理規則－PBT物質－decaBDE

法令の情報時期：2021年01月（2024年11月改正版）

ページ作成時期：2025年03月

目的

「TSCAリスク管理規則－サブパートE：残留性、生物蓄積性、有毒性化学物質」では、TSCA (セクション 6(h)、15 U.S.C 2605(h))に従い、難分解性、生物蓄積性、および有毒な化学物質の商業における製造、加工、および流通の禁止と制限を定める。

特に「§751.405：decaBDE」では、健康への不当な危害のリスクを防止するため、デカブロモジフェニルエーテル(decabromodiphenyl ether、decaBDE、デカBDE)の製造(輸入を含む)、加工、商業における流通に関する一定の制限を定めている。(§751.405(a))

概要

この規則は、米国人の健康への不当な危害のリスクを防止するため、デカBDE(CASRN 1163-19-5)の製造(輸入を含む)、加工、商業における流通を規制している。
ただし、重量比で1%未満のデカBDEを含む製品または成形品には禁止および制限は適用されない。

デカBDEおよびデカBDE含有製品または成形品の特定用途に関する禁止が段階的に導入されている。

デカBDEまたはデカBDE含有製品もしくは成形品を製造、加工、または商業における流通を行うすべての者は、禁止などに関連する通常の業務記録などを5年間維持しなければならない。

デカBDEおよびデカBDE含有製品もしくは成形品の製造もしくは加工に従事するすべての職場において、所有者または運営者は、規制区域を確立し、職場保護のプログラムの実施などが求められる。

注目定義

＜＜対象品＞＞

■　「デカBDE」（DecaBDE）

「デカBDE」とは、化学物質デカブロモジフェニルエーテル(decabromodiphenyl ether、CASRN 1163-19-5)をいう。

■　「成形品」（article）

「成形品」とは、製造された物を意味し、 (1) 製造中に特定の形状またはデザインに形成される物、 (2) 最終用途において、その形状またはデザインに全体的または部分的に依存する最終用途機能を有する物、および、 (3) その最終用途中に化学組成の変化がないか、またはその組成の変化は、成形品とは別の商業目的を持たず、他の化学物質、混合物、または成形品の最終用途中に生じる化学反応に起因する物のみである。ただし、流体および粒子は、形状またはデザインに関わらず、成形品とは見なされない。

■　「製品」（Product）

「製品」とは、化学物質、化学物質を含む混合物、または化学物質または化学物質を含む混合物を含有する成形品以外の物体をいう。

＜＜その他＞＞

■　「規制区域」（Regulated area）

「規制区域」とは、規制対象者が特定の化学物質の大気中濃度が妥当に予想される区域を区切るために設定する区域をいう。

■　「研究および開発」（Research and Development）

「研究および開発」とは、化学物質の廃棄方法を含む、科学的実験または分析、あるいは化学物質に関する化学研究または分析を目的とした実験室および研究用途のみをいい、化学物質を含む新製品の研究または分析、あるいは既存製品の改良を目的とした研究または分析は含まない。

適用除外（対象外・猶予・免除等）

製品の製造、加工、流通は段階的に禁止されているため、禁止期限に達していない製品群は禁止ではない。

製品または成形品からのデカBDE含有プラスチックの商業における流通およびリサイクル、ならびにそのようなリサイクルプラスチックから作られたデカBDE含有製品または成形品の商業における加工および流通であって、リサイクルまたは製造過程で新たなデカBDEが添加されないものは禁止の対象ではない。

事業者が注意すべき内容

本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。
ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

§751.405(a)の(a)(2)および(b)に規定する場合を除き、すべての者は、2021年03月08日以降、デカBDEを含む製品または成形品における処理および流通を含む、デカBDEの商業におけるすべての処理および流通が禁止されている。

ただし、上記において別段の規定がない限り、意図的に添加されていない場合で、重量比で1%未満のデカBDEを含む製品または成形品には、§751.405の禁止および制限は適用されない。(§751.405(a))

デカBDEおよびデカBDE含有製品または成形品の特定用途に関する禁止は、段階的に導入されている。(§751.405(a))

- ホスピタリティ業界におけるカーテン用途：2022年07月06日以降
- 原子力発電施設(試験研究用原子炉を含む)における電線及びケーブルの絶縁用：2023年01月06日以降
- 新規航空宇宙車両に設置され、その一部として流通する部品、および当該車両用：2024年01月08日以降
- 航空機：耐用年数が終了した時点、または2036年のいずれか早い時点以降
- 2021年03月08日以前に製造されたデカBDEを含むプラスチック製輸送用パレット：耐用年数が終了した時点
- 原子力発電施設(試験用および研究用原子炉を含む)用：耐用年数が終了した時点

2021年03月08日以降、デカBDEまたはデカBDE含有製品もしくは成形品を製造、加工、または商業における流通を行うすべての者は、§751.405の禁止、制限、およびその他の規定の遵守に関連する請求書やBOLなどの通常の業務記録を維持しなければならない。

これらの記録は、記録が作成された日から5年間維持されなければならない。これらの記録は、要請に応じてEPAに提出しなければならない。(§751.405(c))

2025年01月21日以降、デカBDEを含むプラスチック製出荷用パレットを処理する(リサイクルを含む)すべての者は、規制区域へのすべての進入地点に標識を設置しなければならない。

標識の内容は、§751.405(d)を参照のこと。(§751.405(d))

2025年01月21日以降、このセクションの(e)(6)で特定された物以外のデカBDEおよびデカBDE含有製品もしくは成形品の製造もしくは加工に従事するすべての職場において、デカBDEからの保護が求められる。

所有者または運営者は、規制区域を確立し、呼吸用や皮膚用保護具等でデカBDEへの接触を防ぐ必要がある。

さらに、所有者または運営者は、モニタリングなどを含む「職場保護の記録」の保管やプログラムの実施などが求められる。(§751.405(e))

ただし、上記「適用除外」項で記している通り、デカBDEおよびデカBDE含有製品および成形品の輸入、または製品または成形品から回収されたデカBDE含有プラスチック、およびその再生プラスチックから製造されたデカBDE含有製品または成形品のリサイクルに関しては、「職場での保護」項からも適用を除外されている。(§751.405(e))

原子力発電施設(試験用および研究用原子炉を含む)用のデカBDE含有ワイヤーおよびケーブルを輸出しようとする者はすべて、EPAに通知することが義務付けられている。(§751.405(f))

2025年01月21日以降、すべての者は、デカBDEおよびデカBDE含有製品の製造、加工、および商業における流通の過程において、デカBDEを水に放出(排水)することを禁止されている。(§751.405(g))

基礎情報

法令（現地語）	Title 40/ Chapter I/ Subchapter R/ Part 751/ SubpartE— Persistent, Bioaccumulative, and Toxic Chemicals— deca BDE
法令（日本語）	TSCAリスク管理規則－難分解性、生物蓄積性、および有毒化学(PBT)物質—デカBDE
公布日	2021年01月06日（2024年11月改正版）
所管当局	環境保護庁(Environmental Protection Agency、EPA)

作成者

株式会社先読

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