法令の情報時期:2021年01月(2024年11月改正版) | ページ作成時期:2025年03月 |
目的

TSCAリスク管理規則-サブパートE:残留性、生物蓄積性、有毒性化学物質では、このサブパートは、TSCA (セクション 6(h)、15 U.S.C 2605(h))に従い、難分解性、生物蓄積性、および有毒な化学物質の商業における製造、加工、および流通の禁止と制限を定める。
§751.407:PIP (3:1)では、健康への不当な危害のリスクを防止するため、フェノール:イソプロピル化リン酸(3:1)(phenol:isopropylated phosphate (3:1)、(PIP (3:1))、CASRN 68937-41-7)の製造(輸入を含む)、加工、商業における流通に関する一定の制限を定める。
概要

この規則は、米国人の健康への不当な危害のリスクを防止するため、PIP (3:1)(CASRN 68937-41-7)の製造(輸入を含む)、加工、商業における流通を規制している。ただし、重量比で1%未満のPIP (3:1)を含む製品または成形品には禁止および制限は適用されない。
PIP (3:1)およびPIP (3:1)含有製品または成形品の特定用途に関する禁止は、2054年11月19日まで、段階的に導入される。
PIP (3:1)またはPIP (3:1)含有製品もしくは成形品を製造、加工、または商業における流通を行うすべての者は、禁止などに関連する通常の業務記録などを5年間維持しなければならない。
PIP (3:1)およびPIP (3:1)含有製品もしくは成形品の製造もしくは加工に従事するすべての職場において、所有者または運営者は、規制区域を確立し、職場保護のプログラムの実施などが求められる。
注目定義
<<対象品>>
■ 「PIP (3:1)」
「PIP (3:1)」とは、化学物質フェノール:イソプロピル化リン酸(3:1)(CASRN 68937-41-7)をいう。 |
■ 「成形品」(article)
「成形品」とは、製造された物を意味し、 (1) 製造中に特定の形状またはデザインに形成される物、 (2) 最終用途において、その形状またはデザインに全体的または部分的に依存する最終用途機能を有する物、および、 (3) その最終用途中に化学組成の変化がないか、またはその組成の変化は、成形品とは別の商業目的を持たず、他の化学物質、混合物、または成形品の最終用途中に生じる化学反応に起因する物のみである。 ただし、流体および粒子は、形状またはデザインに関わらず、成形品とは見なされない。 |
■ 「製品」(Product)
「製品」とは、化学物質、化学物質を含む混合物、または化学物質または化学物質を含む混合物を含有する成形品以外の物体をいう。 |
<<その他>>
■ 「規制区域」(Regulated area)
「規制区域」とは、規制対象者が特定の化学物質の大気中濃度が妥当に予想される区域を区切るために設定する区域をいう。 |
■ 「研究および開発」(Research and Development)
「研究および開発」とは、化学物質の廃棄方法を含む、科学的実験または分析、あるいは化学物質に関する化学研究または分析を目的とした実験室および研究用途のみをいい、化学物質を含む新製品の研究または分析、あるいは既存製品の改良を目的とした研究または分析は含まない。 |
適用除外(対象外・猶予・免除等)

製品の製造、加工、流通は段階的に禁止されているため、禁止期限に達していない製品群は禁止ではない。
事業者が注意すべき内容
本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |

(a)(2)および(b)に規定する場合を除き、すべての者は、2021年03月08日以降、PIP (3:1)を含む製品または成形品における処理および流通を含む、PIP (3:1)の商業におけるすべての処理および流通が禁止される。
ただし、別段の規定がない限り、意図的に添加されていない場合で、重量比で1%未満のPIP (3:1)を含む製品または成形品には、§751.405の禁止および制限は適用されない。(§751.407(a))

PIP (3:1)およびPIP (3:1)含有製品または成形品の特定用途に関する禁止は、2054年11月19日までに、段階的に導入される。(751.407(a)(2))
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- 写真印刷物のすべての加工及び流通:2022年01月01日以降
- PIP(3:1)含有成形品の商業における流通:2024年10月31日以降
- PIP (3:1)含有の潤滑油およびグリース用製品への製造、加工、および商業における流通:2039年11月21日以降
- PIP (3:1)含有の大型の自動車を含む新型自動車の部品の製造、加工および商業における流通、および当該新車用の製造もしくは加工:2039年11月21日以降
- PIP (3:1)含有の大型の動力機械を含む自動車の交換部品の製造、加工、および商業における流通、ならびに、当該自動車の交換部品の製造および加工:2054年11月19日以降
- PIP (3:1)含有の新規航空宇宙車両用の部品として使用される製品の商業における製造、加工、流通、および当該車両用の部品の製造および加工:2054年11月19日
- PIP (3:1)含有の、連邦殺虫剤・殺菌剤・殺そ剤法に基づき登録され、米国国防総省の仕様要件を満たす船舶用防汚塗料製品の製造、処理、および商業における流通:2029年11月19日以降
- PIP (3:1)含有の、半導体産業を含む新規の製造設備用部品、新規の暖房、換気、空調、冷蔵、給湯設備、新規の発電設備、新規の実験設備、新規の商業用電子設備、およびそれらの設備用の部品の製造および加工における、当該製品の商業における流通および製造:2034年11月20日以降
- PIP (3:1)含有の、製造設備および実験用設備の交換部品の製造、加工、および商業における流通、ならびに当該設備の交換用部品の製造および加工:製造設備および実験用設備の耐用年数が経過した後
- PIP (3:1)含有の、暖房、換気、空調、冷蔵、給湯設備、発電設備、および業務用電子機器用の交換部品の製造、加工、および商業における流通:2049年11月19日以降
- PIP (3:1)含有の、消費者用電子機器用の交換部品の製造、加工、および商業における流通:2031年11月19日以降

ただし、以下の事項などは上記製品または成形品(751.407(a))の禁止の対象とはならない。
①以下に関連する物の商業における加工および流通:
(i) 航空業界で使用されるか、または米国国防総省の仕様要件を満たす代替化学物質が利用できない場合の安全および性能に関する軍用規格を満たす油圧流体用製品、
(ii) 航空宇宙用途およびタービンエンジン用の潤滑油およびグリース、
(iii) 回路基板およびワイヤーハーネス(端子およびヒューズカバー、ケーブルスリーブ、ケーシング、コネクタ、テープなどを含むがこれらに限定されない物、
(iv) シアノアクリレート接着剤を製造する閉鎖系システムの中間体として使用される製品、
(v) 機関車および船舶用特殊エンジンエアフィルター製品、
(vi) PIP(3:1)含有製品または成形品からリサイクルされたプラスチックであって、新たにPIP(3:1)が添加されていない物、
(vii) PIP(3:1)含有のリサイクルまたは再利用されたプラスチックからなる完成品または成形品であって、新たにPIP(3:1)が添加されていない物、および、
(viii) PIP (3:1) を含む成形品であって、修理またはメンテナンスを目的として新たにPIP(3:1)が添加されていない物;
②以下に関連する物の商業における流通:
(i) 上記(v)から(viii)までの要件を満たす車両用のPIP(3:1)含有部品、その他の装置などに使用されるPIP(3:1)含有部品、およびこれらの部品を含む車両および装置。(§751.407(b))

2021年03月08日以降、すべての者にPIP(3:1)およびPIP(3:1)含有製品の製造、加工、および商業における流通の過程において、PIP(3:1)を水域に放出(排水)することは禁止されている。
加えて、すべての者が水域に放出することを防止するために適用される、すべての規制および最善の管理方法を遵守することが義務付けられている。(§751.407(c))

2021年03月08日以降、PIP (3:1)またはPIP (3:1)含有製品もしくは成形品を製造、加工、または商業における流通させる者はすべて、このセクションの禁止、制限、およびその他の規定の遵守に関連する請求書やBOLなどの通常の業務記録を維持しなければならない。
これらの記録は、記録が作成された日から5年間維持されなければならない。これらの記録は、要請に応じてEPAに提出しなければならない。(§751.407(d))

川下への通知:
(1) 2021年03月08日以降にいかなる用途であってもPIP (3:1)を製造する者は、
(2) 2021年07月06日以降、いかなる用途であってもPIP (3:1)またはPIP (3:1)含有製品を商業における加工または商業における流通させる者は、
出荷に先立ってまたは同時に、PIP (3:1)の出荷先に対して、このセクションで規定する制限について書面で通知しなければならない。
(3) 川下への通知は、2025年02月19日までに安全データシート(SDS)もしくは、2026年05月19日までにラベルに特定の文言を記載することによって行う。文言の詳細は、§751.405(d)を参照すること。(§751.407(d))

職場保護要件:2025年01月21日以降、このセクションの(e)(6)で特定された物を除き、PIP (3:1)およびPIP (3:1)含有製品もしくは成形品の製造もしくは加工に従事するすべての職場において、PIP (3:1)からの保護が求められる。
所有者または運営者は、規制区域を確立し、呼吸用や皮膚用保護具等でPIP (3:1)への接触を防ぐ必要がある。
さらに、所有者または運営者は、モニタリングなどを含む「職場保護の記録」の保管やプログラムの実施などが求められる。(§751.407(f))。
ただし、以下のPIP (3:1)含有製品および成形品は、上記の職場保護要件から除外される。
(i) 製品および成形品の輸入、
(ii) 接着剤および密封剤、機関車および船舶用途の特殊エンジンフィルター、およびこのセクションの(b)(1)(vi)および(vii)に記載された製品または成形品の処理、
(iii) 自動車および航空宇宙車両、ならびに製造、HVAC、冷蔵および温水暖房設備、電気および電子機器、発電設備および自動車および航空宇宙車両、製造、HVAC、冷蔵および温水暖房設備、電気および電子機器で、新規および交換部品を含む発電設備、
(iv) このセクションの(f)(6)で述べられている密閉システムに製品。(§751.407(f))
目次
§751.401 全般
§751.403 定義
§751.407 PIP (3:1)
(a) 禁止
(b) 禁止の除外
(c) 水への放出の禁止
(d) 記録保持
(e) 下流への通知
(f) 職場での保護
基礎情報
法令(現地語) | |
法令(日本語) | TSCAリスク管理規則-難分解性、生物蓄積性、および有毒化学(PBT)物質—PIP (3:1) |
公布日 | 2021年01月06日(2024年11月改正版) |
所管当局 | 環境保護庁(Environmental Protection Agency、EPA) |
作成者

株式会社先読