法令の情報時期:2024年12月 公布版 | ページ作成時期:2025年03月 |
目的

「TSCAリスク管理規則-サブパートG:パークロロエチレン(PCE)」では、健康への不当な危害のリスクを防止するため、パークロロエチレン(PCE、CASRN 127-18-4)の製造(輸入を含む)、加工、商業における流通、使用、および廃棄に関する禁止と制限を定める。
概要

この規則は、米国人の健康への不当な危害のリスクを防止するため、パークロロエチレン(PCE、CASRN 127-18-4)を対象としている。
PCEもしくはPCE含有製品の製造(輸入を含む)、成形品の加工、商業における流通、商業使用は、その用途によって異なる日時で、段階的に禁止される。
所有者もしくは運営者は、PCEの製造、加工、流通、使用を行う際、職場化学物質保護プログラム(WCPP)を遵守しなければならない。加えて、川下への通知や記録保持の要件を遵守する必要がある。
注目定義
■ 「第3世代マシン」(3rd generation machine)
「第3世代マシン」とは、40CFR パート63のサブパートMで定義されている、冷凍コンデンサーを備えたドライ・ツー・ドライ(dry-to-dry)の機械をいう。 |
■ 「第4世代または第5世代マシン」(4th or 5th generation machine)
「第4世代または第5世代マシン」とは、40CFR パート63、サブパートMで定義されている、炭素吸着器と冷凍コンデンサーを備えた乾式乾燥機をいう。 |
■ 「通電式電気クリーナー」(Energized electrical cleaner)
「通電式電気クリーナー」とは、以下の基準の両方を満たす製品をいう。 (1) 製品が電気機器の洗浄および/または脱脂用にラベル付けされており、洗浄および/または脱脂が、電流が存在する場合、またはコンデンサーなどの部品から残留電位がある場合に行われること、 (2) 製品ラベルに以下の文言が明記されていること:「通電機器にのみ使用すること。原動機付車両の保守またはその部品には使用しないこと。」 |
■ 「既存化学物質ばく露限界値」(Existing chemical exposure limit、ECEL)
「既存化学物質ばく露限界値(ECEL)」とは、§751.5と同じ意味を持ち、PCEについては、空気中PCE濃度である0.14 ppmをいう。 |
■ 「ECEL行動レベル」(ECEL action level)
「ECEL行動レベル」とは、8時間の時間加重平均(time-weighted average、TWA)として算出される、空気中PCE濃度である0.10 ppmをいう。 |
■ 「商業における流通」(Distribution in commerce)
「商業における流通」とは、§751.613および§751.615における小売業者を含まないことを除き、有害物質規制法(15 U.S.C. 2602)セクション3と同じ意味を持つ。 |
適用除外(対象外・猶予・免除等)

この規則に別段の定めがない限り、禁止および制限は、PCEを重量比で1%未満の閾値で含む製品には適用されない。
この規則において、§751.617で規定される米国航空宇宙局による緊急使用のための期限付き免除がある。
事業者が注意すべき内容
本法令が定める事業者に係わる主な要件は次の通りとなります。本項は網羅的なものではないため、詳細や罰則については、個別調査にて承ります。 ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 |

このセクションの規定は、消費者使用のための以下のPCEを含むすべての製造(輸入を含む)、加工、商業における流通に適用される:
- 第3世代マシン、もしくは第4世代および第5世代マシンに関わらずそれを用いたドライクリーニングおよび関連スポットクリーニングでの工業用および商業用使用、このセクションで除外されたもの以外のすべての工業用および商業用PCEなど。
ただし、PCEを用いて商業的にドライクリーニングされた衣類および物品の商業における流通または使用には適用されない。さらに、輸出のみを目的としたPCEには適用されない。(§751.605(a))

上記PCEの製造などが禁止される日付は以下の通りである。(§751.605(b))
- 製造(輸入を含む):2026年06月11日以降
- 加工:2026年09月09日以降
- 商業用ドライクリーニング以外の用途のために小売業者に商業における流通(入手可能にすることを含む):2026年12月08日以降
- 用途に関わらずPCE含有製品を含むPCEの商業における流通(入手可能にすることを含む):2027年03月08日以降
- 特定の用途(§751.605(b)参照)による工業的または商業的に使用:2027年06月07日以降
- すべての工業的または商業的使用:2027年12月20日以降
- すべてのドライクリーニングおよびスポットクリーニング用の製造(輸入を含む)、加工、商業における流通、または工業的もしくは商業的な使用:2034年12月19日以降
- §751.117(b)に記載された米国航空宇宙局またはその請負業者による非常時の工業用または商業用のPCE含有製品を含むPCEの製造(輸入を含む)、加工、商業における流通、または使用:2034年12月19日以降

職場化学物質保護プログラム(Workplace Chemical Protection Program、WCPP)を遵守しなければならない職場とは以下1~14を行っている場所をいう。(§751.607(a))
- (1) 製造(国内製造)
- (2) 製造(輸入)
- (3) 反応剤/中間体としての加工、
- (4) 製剤、混合物または反応生成物への加工
- (5) 再包装
- (6) 開栓バッチ式蒸気脱脂用溶剤としての工業的および商業的使用
- (7) 閉ループバッチ式蒸気脱脂用溶剤としての工業的および商業的使用
- (8) 化学粉砕用マスカントとしての工業的および商業的使用
- (9) 溶剤系接着剤およびシーラントへの工業的および商業的使用
- (10) 石油化学製造における触媒再生の処理助剤としての工業的および商業的使用
- (11) 石油化学製造業以外の分野での処理助剤としての工業的および商業的使用
- (12) タンカー船舶の低温洗浄のための工業的および商業的使用
- (13) リサイクル
- (14) 廃棄

所有者または運営者は、職場化学物質保護プログラム(Workplace Chemical Protection Program、WCPP)において、「8TWA ECEL」、「ばく露モニタリング(規制値に関しては(§751.607(b)(3)(iii)の表を参照)」、「規制区域」などを明確にし、「ばく露管理手順および計画」の要件を遵守する必要がある。
また、「職場情報および職場研修」、「呼吸器や皮膚を守る指定された個人用保護具(Personal protective equipment、PPE)の使用」などの要件を満たす必要がある。(§751.607(b))

ただし、実験室用化学物質としてのPCEの工業的および商業的使用(§751.609)、または工業用および商業用の通電式電気洗浄剤としてのPCEの商業におけるすべての製造(輸入を含む)、加工、流通、さらにPCEの工業的および商業的使用(§751.611)に関しては、それぞれの要件を満たす必要がある。

2025年02月18日よりいかなる用途をもつPCEの製造、2025年06月16日よりいかなる用途をもつPCE含有製品の商業的な加工と商業における流通には、出荷に先立ってまたは同時に、PCEを出荷する企業に対して、この付属書に記載される制限を書面で通知しなければならない。
§751.111(d)に、安全性データシート(Safety Data Sheet、SDS)の書面に挿入する文書が記載されている。(§751.613)

2019年08月26日以降にいかなるPCEを製造(輸入を含む)、加工、または商業における流通を行う者は、2024年07月08日以降、以下の書類を、会社の本社または記録が作成された施設の一か所に保管しなければならない。(§751.615)
(a) 一般記録、
(b) ばく露モニタリング記録などを含むWCPP遵守記録、
(c) 実験室用化学物質としてのPCEの工業的および商業的使用のための要件の記録、
(d)通電式電気洗浄剤に関する要件の記録、
(e) 免除(751.617参照)に関する記録を当該記録が作成された日から5年間保持しなければならない。
目次
サブパートG パークロロエチレン(PCE)
§751.601 全般
§751.603 定義
§751.605 製造、加工、商業における流通、および使用の禁止
§751.607 職場化学物質保護プログラム(Workplace Chemical Protection Program、WCPP)
§751.609 実験室使用のための職場要件
§751.611 通電式電気クリーナーのための職場要件
§751.613 下流への通知
§751.615 記録保持
§751.617 適用除外
基礎情報
法令(現地語) |
Title 40/ Chapter I/ Subchapter R/ Part 751/ Subpart G—Perchloroethylene (PCE) |
法令(日本語) | TSCAリスク管理規則-パークロロエチレン(PCE) |
公布日 | 2024年12月18日 |
所管当局 | 環境保護庁(Environmental Protection Agency、EPA) |
作成者

株式会社先読