国際|UNECE、「技術概要書:カーボンニュートラル・エネルギー集約型産業」を公表
すべてのエネルギー集約型産業に適用される新たな規制を含む法整備が必要
2022年11月11日、国連欧州経済委員会(UNECE)は、「技術概要書:カーボンニュートラル・エネルギー集約型産業」がCOP27で発表され、特にセメント、鉄鋼、化学・石油化学産業について、行動に移すべき重要な実践的手段を特定するものとして位置づけられていることを明らかにしました。
国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)に基づく、第27回気候変動枠組条約締約国会議(COP27)において発表された「技術概要書:カーボンニュートラル・エネルギー集約型産業」では、様々な具体的な政策例と、利用可能な技術的・政策的解決策を基に、様々な主要な提言を示しています。
概要
規制については直接的な言及が少ないものの、「カーボンニュートラルな産業への移行を支援するための政策的枠組みと制度的能力の開発」と題して、次の点が指摘されています。
■ 低炭素・ゼロ炭素ソリューションの商業化とエネルギー集約型産業の脱炭素化を可能にする明確な規制枠組が必要
■ 産業界からの炭素排出への課税、CCUS 採用のための実践規範など、すべてのエネルギー集約型産業に適用される新たな規制を含む法整備が必要。
目次
Acknowledgements
TECHNOLOGY BRIEF CARBON NEUTRAL ENERGY INTENSIVE INDUSTRIES
Executive Summary
Key Takeaways
1.Status of Energy-Intensive Industries…
2.Technological Pathways to the Decarbonisation of Selected Energy-Intensive Industries
3.Target Industries
Cement industry
Steel Industry
Chemical Industry
4.Circular Carbon Economy and Industrial Clusters
5.Examples from the UNECE and ESCWA Regions
The Humber Project (United Kingdom)
The Port Rotterdam Port (The Netherlands)
Westküste 100 project (Germany)
Al Reyadah Project
NEOM Hydrogen
HeidelbergCement Morocco
References
気候変動枠組条約 とは?
国連気候変動枠組条約(UNFCCC)とは、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを目標に様々な取り組みをするための枠組みです。1992年に合意され、1994年03月に発効しました。190ヵ国以上の締約国を有しています。
条約では全ての国を一律に扱うのではなく、途上国と先進国、資金協力に関連した区分を設けています。
■ 附属書 I 国=温室効果ガス削減目標に言及のある国(先進国及び市場経済移行国)
■ 非附属書 I 国=温室効果ガス削減目標に言及のない途上国
■ 附属書 II 国=非附属書I国による条約上の義務履行のため資金協力を行う義務のある国(先進国)
1995年から開始されている締約国会議(COP)において、国際的に拘束力を有する合意(約束事)が採択されることがあります。それぞれ議定書や協定という形で示され、その中で取り組むべきことや目標、そのための仕組みなどが設けられています。
代表的なものには次のものがありますが、それぞれについて、条約とは別に批准するかどうか、参加するかどうかは国毎の判断に依拠します。即ち、それぞれについて締約国の整理がなされています。
■ 京都議定書|1997年のCOP3で採択(2005年発効)
-1990年比の温室効果ガス排出削減目標を設定|第一約束期間(2008~2012年)と第二約束期間(2013~2020年)で設定
-京都メカニズムの導入
> 排出量取引制度|先進国間での排出枠の取引
> 共同実施|先進国間の共同プロジェクトで生じた削減量を国家間でやり取り
> クリーン開発メカニズム|先進国と途上国の間の共同プロジェクトで生じた削減量を当該先進国が獲得
■ パリ協定|2015年のCOP21で採択(2016年発効)、2018年のCOP24では実施指針が採択
-世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも2℃高い水準を十分に下回るものに抑える目標
-世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも1.5℃高い水準までのものに制限するための努力継続
-京都議定書に代わる、2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組み
-主要排出国を含む全ての国が削減目標を5年ごとに提出・更新
-全ての国が共通かつ柔軟な方法で実施状況を報告し,レビューを受ける
-適応の長期目標の設定,各国の適応計画プロセスや行動の実施,適応報告書の提出と定期的更新
-5年ごとに世界全体としての実施状況を検討する仕組みの創設(グローバル・ストックテイク)
「国が決定する貢献(NDC)」
パリ協定で合意された「全ての国が削減目標を5年ごとに提出・更新」するという約束事は、各国が「国が決定する貢献(NDC)」文書をUNFCCC事務局へ提出する、という形で実施されます。(パリ協定第4条)
日本の例では、地球温暖化対策推進本部においてNDCが策定されており、2020年03月30日に決定された内容では、「我が国は、2030年度に 2013年度比-26%(2005年度比-25.4%)の水準にする削減目標を確実に達成することを目指す。
また、我が国は、この水準にとどまることなく、中期・長期の両面で温室効果ガスの更なる削減努力を追求していく。」ことが明記されています。その後、新たな政策目標として打ち出された2050年カーボンニュートラル、2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減目標などを考慮して、2021年10月22日に新たなNDCが提出されています。
NDCは、その国がどのように地球温暖化対策に取り組むのかを示す長期目標であり、その内容には具体的な取り組み、目標が含まれています。そのため、中長期的にどのような法制化・法改正がなされるかを予想する一つの参考資料として有用です。
参考
■ 技術概要書:カーボンニュートラル・エネルギー集約型産業/UNECE
■ COP27/UNFCCC
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