EU|内分泌かく乱特性、PBT・vPvB、PMT・vPvMを新たな有害性クラスへ追加する規則公布

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EU|内分泌かく乱特性、PBT・vPvB、PMT・vPvMを新たな有害性クラスへ追加する規則公布

適用開始時期が明確化

2023年03月31日、欧州官報より、欧州の化学品規制の基本法令の一つであるCLP規則を改正し、内分泌かく乱特性、PBT・vPvB、PMT・vPvMを新たな有害性クラスへ追加する改正規則が公布されました。分類やラベル表示の適用開始時期について、提案段階では発効○ヶ月後となっていた部分が、明確化されています。

概要

CLP規則では、EUで化学物質や混合物を上市する事業者に、分類義務やラベル表示義務を課しています。その分類基準の詳細は附属書Iに規定されており、事業者は、自らの化学物質や混合物の有害性情報、試験データ、組成、分量、利用可能な情報などを元に、適切な手順と考え方に則って分類する必要があります。他方、附属書VI第3部に収載される調和分類・表示(CLH)で当局が分類・表示内容を特定している物質については、その通りに分類・表示することが義務付けられています。

今回の改正では、CLP規則附属書Iの改正が含まれており、次の項目が追加されています。それぞれ定義や分類基準、ラベル表示要件を細かく規定しています。特に、内分泌かく乱特性(ED)やPBT(難分解性、生物蓄積性、毒性)・vPvB(極難分解性及び極生物蓄積性)、PMT(難分解性、移動性、毒性)・vPvM(極難分解性及び極移動性)を新たに有害性クラス(hazard class)として追加する内容が主となっています。

3.11. Endocrine disrupting property for human health
4.2. Endocrine disrupting property for the environment
4.3. Persistent, Bioaccumulative and Toxic (PBT) or Very Persistent, Very Bioaccumulative (vPvB) properties
4.4. Persistent, Mobile and Toxic (PMT) or Very Persistent, Very Mobile (vPvM) properties

その他、補足ラベルに関する附属書IIIの改正や、附属書IVの改正が含まれています。

分類基準概要

内分泌かく乱特性(ED)-ヒト健康

基準 基準
CATEGORY 1
(カテゴリー1, 区分1)
ヒト健康に対する既知のまたは推定される内分泌かく乱特性

カテゴリー1の分類は、以下の少なくとも1つの証拠に大きく基づかなければならない。
a) 人間のデータ
b) 動物データ
c) a または b のデータと同等の予測能力を提供する非動物データ

そのようなデータは、その物質が以下のすべての基準を満たすことを証明するものでなければならない。
(a) 内分泌特性(endocrine activity)を有する。
(b) 無傷の生物(intact organism)又はその子孫及び将来の世代における悪影響を与える。
(c) 内分泌特性と悪影響との間に生物学的に妥当な関連性があること。

ただし、生物学的に妥当な関連性が疑われる情報がある場合は、カテゴリー2に分類することが適切である場合がある。
CATEGORY 2
(カテゴリー2, 区分2)

ヒト健康に対する内分泌かく乱特性が疑われるもの

以下の基準を全て満たす場合、カテゴリー2に分類されなければならない。

(a) 無傷の生物又はその子孫及び将来の世代において、内分泌特性及び悪影響の証拠があること。
(b) (a)で言及される証拠が、その物質をカテゴリー1に分類するのに十分な説得力がないこと。
(c) 内分泌特性と悪影響との間に生物学的に妥当な関連があるという証拠があること。

ヒト健康に対する内分泌かく乱特性として分類された混合物の成分の、混合物の分類のきっかけとなる一般的な濃度限界値

  混合物 カテゴリー1 混合物 カテゴリー2
成分 カテゴリー1 0.1%以上  
成分 カテゴリー2   1%以上

★適用時期と移行期間★

物質の分類:2025年05月01日以降
※適用日以前に上市された物質は、2026年11月01日まで再分類の対応が必要

混合物の分類:2026年05月01日以降
※適用日以前に上市された混合物は、2028年05月01日まで再分類の対応が必要

内分泌かく乱特性(ED)-環境

基準 基準
CATEGORY 1
(カテゴリー1, 区分1)
環境に対する既知または推定の内分泌かく乱特性

カテゴリー1の分類は、以下の少なくとも1つの証拠に大きく基づかなければならない。
a) 動物データ
b) a のデータと同等の予測能力を提供する非動物のデータ

当該データは、当該物質が以下のすべての基準を満たすことを示す証拠となるものでなければならない・
(a) 内分泌特性があること。
(b) 無傷の生物又はその子孫及び将来世代に悪影響を及ぼすこと。
(c) 内分泌特性と悪影響との間に生物学的に妥当な関連性があること。

ただし、内分泌かく乱特性の悪影響が集団または亜集団レベルとの関連性を疑わせる情報がある場合は、カテゴリー2の分類がより適切な場合がある。
CATEGORY 2
(カテゴリー2, 区分2)

環境に対する内分泌かく乱特性が疑われるもの

以下の基準を全て満たす場合、カテゴリー2に分類されなければならない。

(a) 以下の証拠がある:
i. 内分泌活性の証拠がある。
ii. 無傷の生物、その子孫または将来世代に悪影響を及ぼすこと。
(b) (a)で言及された証拠が、その物質をカテゴリー1に分類するのに十分な説得力がなこと。
(c) 内分泌活性と有害な影響との間に生物学的に妥当な関連があることを示す証拠がある。

環境に対する内分泌かく乱特性として分類された混合物の成分の、混合物の分類のきっかけとなる一般的な濃度限界値

  混合物 カテゴリー1 混合物 カテゴリー2
成分 カテゴリー1 0.1%以上  
成分 カテゴリー2   1%以上

★適用時期と移行期間★

物質の分類:2025年05月01日以降
※適用日以前に上市された物質は、2026年11月01日まで再分類の対応が必要

混合物の分類:2026年05月01日以降
※適用日以前に上市された混合物は、2028年05月01日まで再分類の対応が必要

PBT(難分解性、生物蓄積性、毒性)・vPvB(極難分解性及び極生物蓄積性)

PBTの分類基準は、「4.3.2.1.1~4.3.2.1.3項に定める難分解性、生物蓄積性及び毒性の基準を満たす物質をPBT物質とする」と4.3.2.1.「PBTの分類基準」で規定されています。4.3.2.1.1~4.3.2.1.3項では、それぞれ、難分解性とは何か、生物蓄積性とは何か、毒性とは何かを細かな条件とともに規定しています。

同様に、vPvBの分類基準は、4.3.2.2.1~4.3.2.2.2項の極難分解性及び極生物蓄積性基準を満たす物質をvPvB物質として特定するよう定められています。

混合物の分類については、「混合物に含まれる少なくとも1つの成分がPBTまたはvPvBとしてそれぞれ分類され、0.1wt%以上存在する場合、それぞれPBTまたはvPvBとして分類される」というようにシンプルに規定されています。

★適用時期と移行期間★

物質の分類:2025年05月01日以降
※適用日以前に上市された物質は、2026年11月01日まで再分類の必要あり

混合物の分類:2026年05月01日以降
※適用日以前に上市された混合物は、2028年05月01日まで再分類の必要あり

PMT(難分解性、移動性、毒性)・vPvM(極難分解性及び極移動性)

PMTの分類基準は、4.4.2.1.1~4.4.2.1.3項に定める難分解性、移動性及び毒性の基準を満たす物質をPMT物質とすると4.4.2.1.「PMTの分類基準」で規定されています。4.4.2.1.1~4.4.2.1.3項では、それぞれ、難分解性とは何か、移動性とは何か、毒性とは何かを細かな条件とともに規定しています。

同様に、vPvMの分類基準は、4.4.2.2.1~4.4.2.2.2項の極難分解性及び極移動性基準を満たす物質をvPvB物質として特定するよう定められています。

混合物の分類については、「混合物に含まれる少なくとも1つの成分がPMTまたはvPvMとしてそれぞれ分類され、0.1wt%以上存在する場合、それぞれPMTまたはvPvMとして分類される」というように規定されています。

★適用時期と移行期間★

物質の分類:2025年05月01日以降
※適用日以前に上市された物質は、2026年11月01日まで再分類の必要あり

混合物の分類:2026年05月01日以降
※適用日以前に上市された混合物は、2028年05月01日以降まで再分類の必要あり

ラベル表示要件について

各分類に対応するラベル表示要件については、それぞれ附属書Iの分類基準項目の後に規定されています。

内分泌かく乱特性(ED)-環境 → 3.11.4. Hazard Communication

内分泌かく乱特性(ED)-環境 → 4.2.4. Hazard Communication

PBT(難分解性、生物蓄積性、毒性)・vPvB(極難分解性及び極生物蓄積性) → 4.3.4. Hazard communication

PMT(難分解性、移動性、毒性)・vPvM(極難分解性及び極移動性) → 4.4.4. Hazard communication

それぞれ、新たな絵表示(ピクトグラム)の要件は確認できませんが、それ以外のラベル要素については、指定があります。警告文字はDangerが適用されており、危険有害性情報(hazard statement, H code)にはEU独自の表示となるEUHとそれに対応する文言が指定されています。そのほか各種Pコードの指定もありますので、適切な分類の判断の後、対応が必要なラベル表示は何か、確認する必要があるでしょう。

移動性(Mobility)とは?

これまで、CLP規則に対応してきた事業者や、CLP規則に係わるコミュニケーションをしてきたサプライチェーン関係者にとって、内分泌かく乱特性やPBT、vPvBについては、REACH規則のSVHCとの関連や制限との関連などで目にする機会も少なくないため、特に違和感は少ないと思います。

しかしながら、EUレベルで移動性(あるいは高移動性)が化学物質の有害特性として登場し、詳細に要件が規定された例は多くないため、この「移動性(Mobility)」とは化学物質に係わる文脈でどのように理解されるべきものなのか、馴染みのない方も多いのではないでしょうか。

この点は、今回の規則の「4.4.2.1.2. Mobility」で直接、移動性とは何か具体的な基準を定めている部分で具体的に確認できます。

A substance shall be considered to fulfil the mobility criterion (M) when the log Koc is less than 3. For an ionisable substance, the mobility criterion shall be considered fulfilled when the lowest log Koc value for pH between 4 and 9 is less than 3.

移動性基準(M)は、log Koc値が3未満である場合に満たされるものとする。イオン化可能な物質については、pH 4~9における log Kocの最小値が3未満であれば、移動性基準を満たすとみなされる。

4.4.2.1.2. Mobility より引用と仮訳

ここで「log Koc」とは次のように定義されています。

「log Koc」とは、有機炭素-水分配係数(Koc)の常用対数を意味する。

4.4.1. Definitionsから一部引用・仮訳

これが意味するところは、移動度が高く、拡散性が高い化学物質は、この移動性の基準を満たすというものです。この移動性の懸念については、規則案前文でも確認できます。その記述によれば、PMTおよびvPvM物質は、その高い難分解性、低い吸着性、移動性のために、飲料水を含む水循環に入り込み、長距離に拡散することが懸念されており、多くは、排水処理工程で部分的にしか除去されず、飲料水処理施設の最先端の浄化工程を突破することさえあるといいます。

このような不完全な除去と新たな排出は、環境中のこれらのPMTおよびvPvM物質の濃度が時間とともに増加することを意味し、一旦環境中に放出されたPMTやvPvMは、元に戻すことが困難であり、環境を経由して動物やヒトに蓄積されることになるため、環境中へのばく露(放出)による影響は長期的には予測不可能であると説明しています。

また、M/vMの分類基準は、特にlog Koc(土壌吸着係数)値に関するものであり、Koc値は有機炭素-水分配係数で、土壌、汚泥、堆積物などの固体環境コンパートメントの有機画分に物質が吸着する能力を反映し、物質の地下水への流入の可能性に反比例するため、移動性の基準は、物質のlog Koc値に対して評価することが適切であり、Kocが低いほど移動度が高いことを意味するものとして記載されています。

 

参考

■ 改正委任規則(EU)2023/707

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