EU|REACH規則附属書17の制限対象に合成ポリマー微粒子を追加

意図的に添加されたマイクロプラスチックの規制

2023年09月27日、欧州官報にてEUの化学物質の登録、評価、認可、制限等を規制するREACH規則の附属書17を改正し、合成ポリマー微粒子(synthetic polymer microparticles)に係わる制限エントリーを追加する改正規則が公布されました。指定される閾値を超えて合成ポリマー微粒子を含む対象物質や混合物は、2023年10月17日以降、上市禁止となります。猶予期間が設けられている用途や適用除外用途のほか、関連定義や情報提供義務なども細かに設定されています。

概要・背景

■ 対象物質や0.01wt%を超えて合成ポリマー微粒子を含む混合物は、2023年10月17日以降、上市禁止(制限条件1項)

■ 関連定義(制限条件2項)

■ 合成ポリマー微粒子の濃度が、利用可能な分析方法または添付文書によって決定できない場合の考え方(制限条件3項)

■ 第1項の適用除外用途<製品の上市について>(制限条件4項)

■ 第1項の適用除外用途<それ自体又は混合物の上市について>(制限条件5項)

■ 第1項の猶予期間を設ける用途(制限条件6項)

■ 合成ポリマー微粒子の供給業者に関する情報提供義務<2025年10月17日以降>(制限条件7項)

■ 合成ポリマー微粒子の供給業者に関する情報提供義務2<2026年10月17日以降>(制限条件8項)

■ 合成ポリマー微粒子の供給業者に関する情報提供義務3<2031年10月17日~2035年10月16日>(制限条件9項)

■ 7~9項の情報提供に関連するラベル表示についての補足規定(仕様、言語など)(制限条件10項)

■ 特定用途に対する当局への情報提供義務<2026年以降>(制限条件11項)

■ 4項の一部や5項で言及される 合成ポリマー微粒子を含む製品の供給業者の当局への情報提供義務<2027年以降>(制限条件12項)

■ 当局に対する要求事項(制限条件13項)

■ 合成ポリマー微粒子を含む製品の製造者、輸入者および川下利用者に対する要請があった場合の情報提供義務(制限条件14項)

■ 合成ポリマー微粒子を含む製品の製造者、輸入者および川下利用者に対する要請があった場合の情報提供義務<分解性又は溶解性を理由に合成高分子微粒子の指定から除外されると主張するポリマーを含む製品について>(制限条件15項)

■ 1項の適用外となる条件(制限条件16項)

ウェビナー案内

2023年09月27日、欧州連合官報にて、合成ポリマー微粒子(synthetic polymer microparticles)をREACH規則附属書17の制限対象に追加する規則が公布されました。
株式会社先読(当社)では、2023年10月30日(月)午後に、「欧州REACH規則における合成ポリマー微粒子の新たな制限」と題するウェビナー(オンラインセミナー)を開催します。

受付終了

参考情報

■ 規則(EU) 2023/2055

REACH規則の制限とは?

REACH規則の規制の中で最も厳しい規制内容がこの「制限」に係わる内容である。物質の製造、使用または上市から生じるヒト健康または環境に対する許容できないリスクがあり、様々な用途へのリスク評価と社会経済便益の評価に基づいて、EU全体で対処する必要があると判断された物質を規制する制度となっている。この制限対象物質はREACH規則の附属書17に収載され、別途欧州化学品庁(ECHA)がウェブサイト上でも管理している。

制限対象物質の更新

新たに制限対象物質が追加されたり、更新されたりする際には、後の規制化プロセスで見るように、改正規則として欧州官報で公布される。特定され、リストに明記される情報には各物質または物質群ごとに、対象となる物質(群)の範囲詳細と制限条件が含まれる。制限条件は、一般的な規制条件のほか、必要に応じて特定用途または特定状況下での規制条件、猶予期間を設ける項目、適用除外項目、その制限の項目に関係する定義などの情報が含まれる。

対象となる物質(群)の詳細 制限条件

(No.) (対象)

EC No.~

CAS No.~

(主となる制限条件)

(特定用途または特定状況下での規制条件)

(猶予期間を設ける項目)

(適用除外項目)

(その制限の項目に関係する定義)


制限対象物質リストのコンプライアンス対応

制限条件の遵守

附属書XVIIに収載されている物質については、同箇所に記載されている制限条件を遵守しなければならない(第67条)。注意が必要なのは、それが物質単体か、混合物か、それとも成形品も対象なのかはそれぞれの条件で異なるため、一つ一つ個別に確認しなければならないことである。加えて、その制限の対象となる行為も、製造なのか、使用なのか、上市なのか、あるいは情報伝達やラベル表示、訓練・教育が必要なのか、などこれも個別に異なっているため、やはりその物質(群)ごとに個別に制限条件を確認しなければならない。個別の制限条件ごとに、細かく遵守期限が決められていることが多い点にも注意しておきたい。

安全データシート(SDS)の更新と提供

制限が課された場合には、その物質およびその物質を含む混合物の受領者(過去12ヶ月以内)に、更新したSDSを遅滞なく、無償で提供しなければならない(第31条)。

SDSが必要とされない物質・混合物の受領者への情報伝達

SDSが必要とされない物質および混合物の受領者に対しても、制限内容が追加・更新された後、制限の詳細情報を遅滞なく、無償で提供しなければならない。(第32条)。

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