EU|EU理事会と欧州議会、各種法令案に関する相次ぐ暫定合意(2024年01月)
2024年01月、EU理事会と欧州議会がそれぞれの修正案を携えて、第一読会審議における事前の暫定的な合意を目指す非公式会合において、いくつかの法令案に対する暫定合意がなされました。これらの暫定合意は、欧州議会本会議での承認・採択、そしてEU理事会での承認・採択がなされれば、署名・官報での公布がなされる流れとなります。
■ 新型大型車のCO₂排出性能基準の強化と報告義務の統合に関する改正規則案
■ 肥料表示の明確化・簡素化・デジタル化規則案
■ 都市排水処理指令案
■ 朝食指令案 など
概要・背景
新型大型車のCO₂排出性能基準の強化と報告義務の統合に関する改正規則案
■ 2023年02月14日、欧州委員会により改正案が提示されていた。2030年までに温室効果ガスの純排出量を1990年比で少なくとも55%削減し、2050年には気候中立を達成するというEUの目標に貢献するものと位置付けられている。改正先の規則 (EU) 2019/1242は、大型車のCO2排出基準を定めるもの。
■ 規則案は、2030年、2035年、2040年の新たな目標を導入することや、規制の適用範囲をバスとトレーラーに拡大すること、「ゼロエミッション車」の定義を修正することが含まれていた。
■ 暫定合意では、いくつかの内容に合意がなされている:
ー 規制の範囲を拡大し、小型トラック、都市バス、コーチ、トレーラーを含む、CO2排出量が認証されたほぼすべての新型大型車を排出削減目標の対象とすることで合意。ゴミ収集車やコンクリートミキサーなどの職業用車両にも拡大するとしている。
ー 適用除外となるものには、少量生産メーカーおよび鉱業、林業、農業に使用される車両、軍隊や消防機関が使用する車両、ならびに市民保護、公共秩序、医療に使用される車両が挙げられている。
ー 目標:
| 2025年目標(既存) | 2030年目標 | 2035年目標 | 2040年目標 | |
| 7.5トン以上の大型トラック、コーチ | 15% | 45% | 65% | 90% |
■ このほか、トレーラーやセミトレーラーに関する目標にも合意がなされている。
■ 都市バスについては、2035年までに都市バスの100%ゼロエミッション目標を導入する一方、2030年までにこのカテゴリーの90%という中間目標を設定。(都市間バスを除外し、この種のHDVをコーチに関する一般目標を適用することで合意)
肥料表示の明確化・簡素化・デジタル化規則案
■ 2023年02月27日、欧州委員会により改正案が提示されていた。改正先の肥料製品規則(EU) 2019/1009は、肥料の表示義務を規定しているが、欧州委員会の提案は、ラベルの見やすさを改善することを目的としており、ラベル情報をデジタル形式で提供する可能性を導入している。デジタルラベルとは、QRコードやバーコードで、ラベルの情報が保存されたウェブページにユーザーをリダイレクトするものをいう。
■ 欧州委員会案では、肥料製品の供給者が、表示情報を物理的な形式、デジタル形式、またはその2つの組み合わせで伝達できるようにすることを提案していた。包装なしで販売される場合、または、製品のエンドユーザーではない経済事業者に販売される場合には、デジタル形式のみの表示を認めるとしていた。
■ 暫定合意では、いくつかの内容に合意がなされている:
ー 包装なしで(大量に)販売される製品にデジタルラベルを使用することが認められているが、その条件として、ラベルの情報が販売時点の目に見える場所に物理的なフォーマットでも表示されることが挙げられている。
ー デジタルラベルの使用可能期間を、製品が上市された時点から10年間に拡大へ
都市排水処理指令案
■ 2022年10月、欧州委員会により改正案が提示されていた。都市排水処理指令は1991年に採択され、運用されてきたが、当該指令に対する評価では、まだ十分に対処できていない汚染源があることが示され、これには、小規模な集積地からの汚染、雨水の越流、環境を破壊する微量汚染物質などが含まれるとされた。ほかにも、様々な課題が指摘された。
■ 暫定合意では、いくつかの内容に合意がなされている:
ー 小規模集積地からの汚染に対処するため、適用範囲を拡大へ:
> 現行の指令では人口2,000人であるのに対し、人口1,000人相当(p.e.)以上のすべての集積地を含める内容へ。
ー 都市排水収集システムの設置義務を、人口1,000人以上のすべての集積地に拡大することで合意&この義務の遵守期限を2030年から2035年に延期:
> 沿岸水域に排出される小規模な集積地や、感受性の低い地域での排出、ルーマニア、ブルガリア、クロアチアなどEUに加盟したばかりの加盟国など、多くの緩和措置を導入へ
ー 2035年までに、1,000p.e.以上のすべての集落に対して、環境へ排出される前の都市排水に二次処理(生分解性有機物の除去)を施す義務を拡大:
> 小規模な集積地や、近年EUに加盟し、現行指令を実施するためにすでに大規模な投資を行わなければならなくなった加盟国(ルーマニア、ブルガリア、クロアチアなど)には、免除が適用
ー 三次処理(窒素とリンの除去)と四次処理(広範な微量汚染物質の除去)の閾値とスケジュールを調整:15万p.e.以上の大規模施設について、以下の通り。
| 中間目標1 | 中間目標2 | 遵守 | |
| 三次処理(窒素とリンの除去) | 2033年 | 2036年 | 2039年 |
| 四次処理(広範な微量汚染物質の除去) | 2033年 | 2039年 | 2045年 |
ー 拡大生産者責任(EPR)スキームを導入:微量汚染物質による都市排水汚染につながる医薬品や化粧品の生産者は、追加処理にかかる費用の最低80%を拠出へ。
蜂蜜、フルーツジャム、フルーツジュース、粉乳に関連する指令改正案
■ 2023年04月21日、欧州委員会により改正案が提示されていた。特定の食品の成分、表示、名称に関する情報表示に関する規定の改善が意図されている。指令は、より健康的な食生活への移行を促進し、消費者が十分な情報を得た上で選択できるようにし、製品の原産地に関する透明性を確保することを目的としている。
■ 暫定合意では、いくつかの内容に合意がなされている:
ー 原産国はラベルに重量順に降順で表示:ラベルには、ブレンドに占める各国の割合も記載
ー 加盟国は、ラベルへの割合表示義務を、ブレンド重量の50%以上を占める4大シェアにのみ適用することを決定できる
ー 30グラム未満のパッケージの場合、原産国名を2文字のISOコードに置き換え可能
ー 蜂蜜:規制を強化する方法を開発するために、専門家のプラットフォームが欧州委員会を支援へ
― フルーツジャム:ジャムとエクストラジャムの最低果実含有量を増やす(ジャムは1kgあたり100g増、エクストラジャムは50g増)
ー フルーツジュース:「減糖果汁」、「濃縮果汁」、「濃縮減糖果汁」という3つの新しいカテゴリー追加。さらに、事業者は「果汁は天然由来の糖類のみを含む」という表示を使用することが認められる。
ー 粉乳:乳糖を含まない粉乳製品を製造する処理の使用を認める
参考情報
※ 暫定合意テキストの確認あるいは和訳相談等、調査相談、講演相談等についてはお問い合わせください。
※ 以下には欧州委員会案もしくは理事会修正案、あるいは関連ページを紹介しています。
■ 新型大型車のCO₂排出性能基準の強化と報告義務の統合に関する改正規則案:EU理事会修正案(交渉姿勢)
■ 肥料表示の明確化・簡素化・デジタル化規則案:EU理事会修正案(交渉姿勢)
■ 都市排水処理指令案:EU理事会修正案(交渉姿勢)
■ 蜂蜜、フルーツジャム、フルーツジュース、粉乳に関連する指令改正案:EU理事会修正案(交渉姿勢)
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