定期レビューによる民間規格との整合性維持
2022年10月20日、米国エネルギー省(DOE)は、可変冷媒流量(VRF)マルチスプリットエアコン及びヒートポンプ(VRFマルチスプリットシステム)の試験方法に関する最終規則を公布しました。
本最終規則は、可変冷媒流量(VRF)マルチスプリットエアコン及びヒートポンプ(VRFマルチスプリットシステム)の試験方法を修正し、参照することにより該当する業界試験基準の最新版を取り込むことを目的としています。また、本最終規則では、VRF システムの試験方法において、統合エネルギー効率 比の測定基準、認証及び施行に関連する改定、制御検証手順を含む更新された業界試験手順の規定を採用しています。
今後の予定
本規則の発効日は2022年11月21日です。また、最終規則の変更は、2023年10月16日のVRFマルチスプリットシステム機器試験において義務付けられる予定です。本規則に記載されている特定の出版物の参照による取り込みは、2022年11月21日に連邦官報局長によって承認されます。
試験方法の見直し
業務用パッケージエアコン及び暖房機器は、米国エネルギー省(DOE)が省エネルギー基準及び試験方法を策定及び修正する権限を有する「対象機器」の一覧に含まれています。業務用パッケージエアコン及び暖房機器には、可変冷媒流量マルチスプリットエアコン及びヒートポンプ(VRFマルチスプリットシステム)が含まれています。
VRFマルチスプリットシステムに対する DOE の省エネルギー基準及び試験方法は、現在それぞれ10CFR431.97及び10CFR431.96で規定されています。
EPCA(改正後のエネルギー政策及び保全法)では、特定の産業機器のための省エネルギープログラムを設定し、エネルギー効率を向上させることを目的としたさまざまな規定を定めています。これらの機器には、小型、大型、超大型の業務用パッケージエアコンや暖房機器が含まれ、本文書の対象であるVRFマルチスプリットシステムも含まれています。
EPCA に基づく省エネルギープログラムは、基本的に (1) 試験、(2) ラベリング、(3) 連邦省エネルギー基準、及び (4) 認証と執行手続きの4部から構成されています。
EPCA の関連規定には、定義(42U.S.C.6311)、省エネルギー基準(42U.S.C.6313)、試験方法(42U.S.C.6314)、表示規定(42U.S.C.6315)、メーカーに情報及び報告を求める権限(42U.S.C.6316; 42 U.S.C. 6296)などが含まれています。
連邦試験要件は、対象機器の製造事業者が以下の根拠として使用しなければならない試験手順で構成されています。
すなわち、
(1) その機器が EPCA に従って採用された該当する省エネルギー基準に準拠していることをDOEに証明すること
(2) その機器の効率について他の説明を行うこと
同様に、DOE は、これらの試験方法を使用して、機器がEPCA のもとで公布された関連基準に準拠しているか判断しています。
EPCAに基づいて制定された対象機器に対する連邦エネルギー効率要件は、一般的に省エネルギー試験、ラベリング、及び規格に関する州法及び規制よりも優先されていますが、DOEは、EPCA の手続き及び他の規定に従って、特定の州法または規制に対して連邦の優先性を免除することを認めることができます。
42U.S.C.6314に基づき、EPCA は、対象機器の試験方法を規定または修正する際には、DOEが従わなければならない基準と手順を定めています。
EPCA は、本条に基づき規定または修正される試験方法が、代表的な平均使用サイクルにおける特定の種類の対象機器のエネルギー効率、エネルギー使用、または推定年間運用コストを反映する試験結果が得られるように合理的に設計されていなければならず、試験方法の実施に不当に負担がかからないように要求しています(42U.S.C.6314)。
VRFマルチスプリットシステムに関して、EPCAは、ASHRAE/IES規格90.1「低層住宅以外の建物のエネルギー基準」、「ASHRAE規格90.1」で言及されているように、米国空調暖房冷凍工業会(AHRI)、または米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)が開発または承認した、一般に認められた業界の試験方法または評価方法とすることを義務付けています。
したがって、業界試験方法が修正された場合、DOE は、DOE が連邦官報に掲載された規則により決定しない限り、修正された業界試験方法と整合するようにその試験方法を修正しなければならないとされています。
但し、改正された試験方法の実施が不当に負担となる、あるいは代表的な平均使用サイクルにおける当該機器のエネルギー効率、エネルギー使用、及び推定運転コストを反映した試験結果を得られないと、連邦官報に掲載された規則により、明確かつ説得力のある証拠により裏付けられている場合は、この限りではないとされています。
また EPCAでは、少なくとも 7 年に 1 度、DOE に対し、VRF マルチスプリットシステムを含む各種対象機器の試験方法を評価し、試験方法の修正が試験方法の実施に不当に負担をかけることなく、 代表的平均使用サイクルにおけるエネルギー効率、エネルギー使用、及び推定運転コストを反映した試験結果を得るために合理的に設計されているかという要件を、より正確または完全に遵守することができるかを判定するように求めています。
さらに、長官が試験方法の修正が正当であると判断した場合、DOE は、試験方法案を連邦官報に公 表する義務が生じます。
また、長官が試験方法の修正を必要と判断した場合、DOEは、試験方法案を連邦官報に公表し、利害関係者に試験方法案に関する口頭及び書面によるデータ、見解、及び意見を提出する機会(少なくとも45日間)を与えなければならないとされています。
DOEは、EPCAのもとでの法定義務を果たすために、VRFマルチスプリットシステムの試験方法を修正する本最終規則を公表します。
背景、経緯
VRFマルチスプリットシステムに対するDOEの既存の試験方法は、10CFR431.96に記載されており、連邦試験方法の最後の改正は、特定の業務用冷暖房及び給湯機器の基準及び試験方法に関する最終規則において行われています。
2017年7月、ASHRAE規格90.1-2016に含まれる試験手順の更新を伴う業務用パッケージ空調機器に対して、DOEの試験手順の修正を検討するための情報とデータを収集するための情報要求を発表しました。
DOE は、ルックバックレビュー要件(1回/7年)のもと、VRFマルチスプリットシステム試験手順について意見を求めました。DOEは、適用されるVRFマルチスプリットシステム試験手順の修正を正当化する可能性のある幾つかの問題を特定し、特に関連業界標準(複数可)の最新バージョンの参照による組み込み、効率指標と計算、及び試験方法の明確化に関する問題を指摘しました。
2018年4月11日、DOEは、連邦諮問委員会法に基づき、アプライアンス基準・規則制定連邦諮問委員会(ASRAC)の下に交渉による規則制定ワーキンググループを設置する意向を通知し、検討を開始しました。
2019年10月1日、ワーキンググループは、最も実質的な変更を強調する以下の推奨事項を含む用語シート(VRF TP用語シート)について合意に達しました。
■ (1) VRFマルチスプリットシステムは、消費者が屋上型空調機の評価と一貫して比較できるように、統合エネルギー効率比の指標で評価されるべきである。
■ (2) 改正された試験方法は、改正された省エネルギー基準への適合日まで要求されないこと。
■ (3) VRFマルチスプリットシステムの連邦試験手順は、2019年9月20日のAHRI 1230のドラフト版と一致すべきであり、ASRAC交渉終了後に追加修正を実施すること。
2021年5月18日、AHRIはVRFマルチスプリットシステムに関する最新の業界試験規格AHRI規格1230(I-P)を発表し、DOEは、規格内の電気駆動式ユニット型空調及びヒートポンプ機器の評価のための試験方法を参照することになりました。
DOEはまた、更新された業界試験手順AHRI1230-2021と整合するVRFマルチスプリットシステムの試験に必要な情報を提供するために、VRFマルチスプリットシステムに関する認証、準拠、及び実施(CCE)規定を更新することを提案しています。
最終規則の概要
本最終規則において、DOEは、10CFR431.96「業務用エアコン及びヒートポンプのエネルギー効率測定のための統一試験方法」を修正し、業界試験手順の最新版への関連参照を以下のように改定します。
■ (1) 2019年3月27日に発行された正誤表により修正されたAHRI1230-2021及びANSI/ASHRAE37-2009を参考として取り入れる。
■ (2) VRFマルチスプリットシステムに対するIEER(総合エネルギー効率比)決定のための規定を設定する。DOEは、part 431のsubpart Fに、「可変冷媒流量マルチスプリットエアコン及びヒートポンプ(空冷式以外の定格冷却能力が65,000Btu/h未満)のエネルギー消費量を測定するための統一試験方法」(それぞれ「付録D」及び「付録D1」)という表題の新しい付録D及びD1を追加する。
VRFマルチスプリットシステムに関する現行のDOE試験方法は、10CFR431.96から10CFR part 431、subpart F、appendix Dに変更なく移され、AHRI1230-2021を採用した新しい試験方法が付録D1に設定される。DOEがIEERに依存するVRFマルチスプリットシステムに対する改正省エネルギー基準を採用する場合、その基準への準拠が求められるまで、附属書D1への準拠は求められない。
この最終規則において、DOE は、VRFマルチスプリットシステムに関する認証、準拠、及び施行 (CCE)規定も更新し、更新された業界試験方法であるAHR1230-2021と整合するVRFマルチスプリットシステムの試験に必要な情報の報告を義務付けます。
最も重要な点として、これらの変更は、AHRI1230-2021からの制御検証手順の10CFR429.134におけるDOEの製品固有の施行規定への組み込み、及び10CFR 429.43 における付随する認証要件も含みます。
さらに、DOE は、AHRI1230-2021と整合するように試験される組み合わせを規定し、試験中の製造事業者の関与の役割を明確にし、異なる室内機の組み合わせを使用するシステムの代表値を決定する方法を規定しています。
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