米国|PFAS報告・記録保持要件を定めるTSCA規則が公布

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米国|PFAS報告・記録保持要件を定めるTSCA規則が公布

混合物や成形品中の物質も対象

2023年10月11日、米国連邦官報にて、PFAS(ペルフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質)の報告・記録保持要件を定めるTSCA規則が公布されました。同規則は11月13日より発効となります。報告時期は2024年11月12日から2025年05月08日、記録保持は報告から5年が必要となります。

概要・背景

■ 2020会計年度国防権限法(NDAA)により、TSCA第8条(a)(7)が追加され、2011年01月01日以降のいずれかの年にPFASを製造した各人に対し、2011年01月01日以降の各年について、指定の情報を含む報告書を当局に提出するよう求める規則を公布することが求められていた。

■ 対象者:2011年01月01日から2023年11月13日に先立つ最後の暦年の末日までのいずれかの期間において、セクション705.5で特定される化学物質を商業目的で製造した者(「製造」は輸入を含む)

■ 報告時期:2024年11月12日から2025年05月08日 ※小規模製造者の場合:2024年11月12日から2025年11月10日

■ 対象物質:セクション705.3の定義に該当するPFASで、混合物や成形品中の物質を含む

■ 報告内容:セクション705.15に規定

<大項目のみ紹介>

(a) 企業及び工場所在地情報
(b) 化学物質固有の情報
(c) 用途カテゴリー
(d) 製造量
(e) 副産物報告
(f) 環境および健康影響
(g) 作業者ばく露データ
(h) 処分データ

■ 報告方法:電子報告(CDX

■ 報告先:環境保護庁(EPA)

■ 適用外:廃棄物の処分または破壊を目的とした都市固形廃棄物の輸入

■ 成形品中の物質およびR&D用途の物質についての特別規定:セクション705.18を参照

■ 記録保持:報告期間の最終日から5年間保管が必要

■ 秘密保持の主張:一部の場合を除き可能(報告提出時に指定の情報を含む主張が必要)

注目すべき内容

40 CFR

PART 705—ペルフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質)の報告・記録保持要件

705.1 適用範囲、コンプライアンスおよび執行

705.3 定義

705.5 報告の提出が必要な物質

705.10 報告が必要な者

705.12 報告が必要ない活動

705.15 報告内容

705.18 成形品輸入者およびR&D物質の報告オプション

705.20 報告時期

705.22 重複報告

705.25 記録保持要件

705.30 機密性の主張

705.35 電子報告

参考情報

■ 米国連邦官報2023-22094

有害物質規制法(TSCA)とは?

米国の「有害物質規制法」、通称「TSCA」は、化学物質の管理・規制に関する米国の国レベルの基本的な法令の一つです。日本の化審法、EUのREACH規則と並べて、あるいは比較して言及されたりもします。 合衆国法典では第15編、第53章に収載されており、全部で6つの大項目から構成されています。このうち、日本の事業者が関心が高く、よく相談が持ち込まれる大項目は、「有害物質の管理」、「複合木材製品のホルムアルデヒド基準」です。

目次

SUBCHAPTER I 有害物質の管理 SUBCHAPTER II アスベスト有害性緊急対応 SUBCHAPTER III 屋内ラドン削減 SUBCHAPTER IV 鉛ばく露低減 SUBCHAPTER V 健康的な高いパフォーマンスの学校 SUBCHAPTER VI 複合木材製品のホルムアルデヒド基準

注目される制度

TSCAのもとでは様々な規制が敷かれていますが、事業者からの相談・問い合わせが多く、注目度が高い制度には次のものが例として挙げられます。

新規化学物質の製造前届出制度

■ 第5条(§2604)(a)(1)に基づき、新規化学物質の製造・輸入・加工については、90日前までにEPAへの届出が必要

化学物質の試験制度

■ 第4条(§2603)に基づき、EPAが人の健康や環境へ不当なリスクをもたらすと判断した場合には、化学物質や混合物の製造、商業流通、加工、使用、廃棄、またはそのような活動の組み合わせに関連して、関連事業者に試験の実施を要求することができる。関連規則に基づき、規則や同意命令などの形で発出される。

重要新規利用規則(SNUR)

■ 第5条(§2604)(a)(2)に基づき、化学物質の使用が、通知が必要とされる重要新規利用(Significant New Use)であるかどうかをEPAが判断し、必要に応じて規則を設ける。特定されたものについて、製造者・輸入者や加工業者は、当該新規利用を開始する90日前までに関連規則に基づいた通知(SNUN)が必要とされる。

化学物質のリスク評価制度に基づく個別の規制

■ 第6条(§2605)に基づき、EPAが化学物質または混合物の製造、加工、商業流通、使用、廃棄、またはそのような活動の組み合わせが、人の健康や環境へ不当なリスクをもたらすと判断した場合には、規制を定める規則の検討を行う。

既存化学物質の管理制度

■ 第8条(§2607)に基づく記録保持・報告要件は、インベントリー制度としても知られている。EPAが化学物質についての情報をインベントリーとして管理するために、事業者には情報の提出や更新が求められている。

輸出入規制

■ 輸出(§2611)や輸入(§2612)についても規制が敷かれているが、特に注目されるのは、輸入時における「TSCA証明」である。詳細は規則で規定されているが、輸入化学物質が TSCA に準拠していることを証明する方法(positive certification)と、TSCAの適用外であることを証明する方法(negative certification)が存在する。

複合木材製品規制

■ 米国内で販売、供給、販売促進、製造、輸入される複合木材製品は、TSCA Title VI適合と表示されなければならない。これらの製品には、広葉樹合板、中密度繊維板、パーティクルボード、およびこれらの製品を含む家庭用品やその他の完成品(finished goods)が含まれる。自主的合意基準、第三者認証制度など要件遵守保証のための制度が導入されている。

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