米国|EPA、粉塵-鉛危険基準(DLHS)および粉塵-鉛除去後のクリアランスレベル(DLCL)の再検討

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米国|EPA、粉塵-鉛危険基準(DLHS)および粉塵-鉛除去後のクリアランスレベル(DLCL)の再検討

EPAの住居からの特に小児に対する鉛曝露の低減を目指す取り組みの一環

2023年08月01日、環境保護庁(EPA)は、小児期の鉛暴露を低減するEPAの取り組みの一環として、床と窓枠に対する粉塵―鉛危険基準(DLHS)と床、窓枠、窓周辺部分に対する粉塵―鉛クリアランスレベル(DLCL)を変更することを提案しました。この提案では、床と窓枠のDLHSは、それぞれのDLCLと同じにはならず、切り離されることになります。また、 DLCLとDLHSに差がある事から、除害の定義の変更も提案されました。さらに、粉塵―鉛負荷量がDLCL以上の場合に対策勧告が適用できるように削減の定義を変更すること、および法令に適合するように対象住宅の定義を修正することなど他のいくつかの修正も提案されています。この変更案に対する意見募集は、2023年10月02日まで行われます。

背景・概要

鉛曝露は、様々な年齢の人に影響を与える可能性がありますが、特に幼児・小児にとって有害という報告があります。これは、発達中の脳が環境汚染物質に敏感であるという報告があるからです。すでに、鉛の粉塵の摂取が、1978年以前に建てられた家に住む小児の血中鉛レベル(blood lead level、BLL)上昇の主な原因であるという報告もあります。乳幼児や幼児は、床を這い回り、ほこりから鉛が付着した可能性のある手やその他の物体を口に入れることが多いため、家庭や保育施設の床等のほこりが鉛曝露の主な経路です。幼児の鉛曝露は、知能の低下などの神経認知低下を引き起こす可能性があり、さらに、身体発達、神経行動、血液や免疫の状態、聴覚などの感覚器にも有害な影響が懸念されています。一方、成人でも、鉛曝露は、心血管、血液、腎臓、脳神経、免疫、および生殖器に悪影響を与える可能性があると考えられています。「国家毒性プログラム(National Toxicology Program、NTP)においても、鉛は発がんと因果関係があると結論付けられています。EPAでは、「平均BLLが10μg/ dLと低い小児のグループでも認知への有害な影響が観察された」という結論を問題視し、「幼児に対する検査ではBLLの測定可能範囲が4〜17μg/ dLであるので、検査では認知機能の低下を起こすBLLの閾値が判別できない」としています。

以上の理由から、米国政府は特に鉛曝露の可能性がある地域で、影響が出やすい小児への鉛曝露を減らすため近年様々な行動を取っています。米国政府は「すべての住宅で鉛含有の塗料(lead-based paint、LBP)の危険性を可能な限り迅速に排除するために必要なインフラストラクチャを構築するための国家戦略」を実施し、EPAなどの行政機関に規制の立案、変更や追加を指示しています。これにより例えば、EPAは住宅およびコミュニティ開発法(Housing and Community Development Act of 1992)のタイトルXとしても知られる「1992年の住宅用鉛ベースの塗料ハザード低減法(Residential Lead-Based Paint Hazard Reduction Act of 1922)」の一部を成文化しました。この成文化されたタイトルXの一部は有害物質規制法(Toxic Substances Control Act、TSCA)にも記載されました。さらに、EPAと米国住宅都市開発省(Department of Housing and Urban Development、HUD)は、LBPの危険性を排除するために、共同および個別の規制措置の両方を公布しています。これらの措置には、「既知のLBP、またはその危険性の開示の要件」、「LBP活動を実行する請負業者のトレーニングおよび認証要件」、「鉛ベースの塗料の危険性(dust-lead hazard standards、DLHS)および削減後のクリアランスレベル(dust-lead clearance levels、DLCL)を特定する基準」、「改修または改造活動に関する規制」、「州、準州、および部族が独自のLBP活動および改修、修理、塗装(renovation, repair and paintin、RRP)プログラムを管理する許可を申請して取得するための規定」、および連邦政府が支援する「対象住宅におけるLBPおよびLBPの危険を管理するための要件」などの確立や改正が含まれています。

注目すべき内容

小児期の鉛暴露を低減するEPAの取り組みの一環として、また2021年5月14日に第九巡回区控訴裁判所より表明された「2019年の規制は鉛レベルを下げてはいるが、健康への悪影響を取り除くには至っていない」という意見に従い、EPAは、DLCLとDLHSにおいて、以下の点を変更する修正案を提案しています。この修正案は、住宅建設、集合住宅建設、住宅リフォーム業者、配管、暖房、空調、塗装および壁装材、電気設備、仕上げ大工、乾式壁および断熱関連、タイル関連、ガラス、グレージングなどの請負業者やその専門貿易請負業者、住宅用建物の賃貸・管理人や所有者、小児デイケアサービスや幼稚園・小中学校・専門学校等、粉塵検査を行う建物検査やエンジニアリングサービス業者、LBP活動に従事する企業や監督者や専門家などに関係があります。

  • DLHSにおいて、床および窓枠の基準値を1平方フィート当たり10μg(単位はμg/ft2)100μgから、試験所が測定可能な値に引き下げることを提案しています。つまり、値は試験所や試験によって異なりますが、0 µg/ft2(検出不可能)より大きい、測定可能最低値となります。EPAのDLHSでは、不動産所有者や居住者に対し、鉛含有の塗料(LBP)の危険性を評価し、管理措置を講じることを強制してはいませんが、汚染除去などが実施された時の基準の値として定めることを提案しています。
  • DLCLにおいて、汚染除去作業が完了を示す値を、床10µg/ft2、窓枠100µg/ft2、および窓周辺部分(window trough) 400µg/ft2から、それぞれ3µg/ft2、20µg/ft2、および25µg/ft2に引き下げることを提案しています。ちなみに、この提案により、床と窓枠のDLHS値はDLCL値とは切り離され、値が異なることになります。
  • DLCL値がDLHS値と切り離されたため、汚染除害の定義の変更も提案しています。
  • その他、鉛含有の粉塵の負荷量(dust-lead loadings)がDLCL以上の場合に対策勧告が適用されるように削減の定義を変更すること、法令に適合するように対象住宅の定義を修正すること、などいくつかの修正を提案しています。

参考情報

EPA、粉塵-鉛危険基準(DLHS)および粉塵-鉛除去後のクリアランスレベル(DLCL)の再検討

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